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この世界がいずれ滅ぶことを、俺だけが知っている  作者: 灰島シゲル
二章

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66/351

その終わりは唐突に



 ――――――――――――――――――


 現在の世界反転率:3.01%


 ――――――――――――――――――




 画面の中の数値が進むのを見て、明は安堵の息を吐き出した。


(良かった。目覚めてすぐに強化される――なんて事態にはならずにすんだみたいだ)


 明は手を払って画面を消す。

 それから、宙を見つめると小さく言葉を吐き出した。



「シナリオ」


 ――チリン。

 軽やかな音が響く。すると、今度は別の画面が明の前へと開かれた。




 ――――――――――――――――――


 七瀬奈緒のシナリオ【あなたと共に】を進行中です。


 ――――――――――――――――――




 その画面を見つめて、明はゆっくりと息を吐き出す。


(いったい、()()()()()()()()()()なんだか)


 心で呟き、明は大きなため息を吐き出した。

 それから、じっと画面を見つめると考えを巡らせる。



(……なんで、俺に黄泉帰りなんて力が与えられたんだろうな)



 意図的か、偶々か。

 その真実を知る術は、今の明には存在していない。

 だが、〝あなたと共に〟だなんて、あの時の奈緒の言葉に反応したかのように表示されたその言葉に、明は何かしらの意思を感じざるを得なかった。



(――――つっても、それが何か分からねぇんだよなぁ……)



 第六感は沈黙している。

 魔力回路が魔法陣である、という時のような、()()はもう働いていない。

 それはつまり、現状でいくら考えたところで意味がないということに他ならなかった。



(ひとまず今は、ボスを倒すことが優先だな)



 シナリオにはクリア条件が設定されていた。

 ということはつまり、クリア条件を満たせばシナリオが何なのかはある程度分かることだろう。


(大丈夫だ。今の俺は、大丈夫。もう、一人じゃない)


 共に戦うと言ってくれた人がいる。

 自分はもう、決して一人ではない。

 今はもう、二度と。あの孤独を味わうこともないのだ。



(次の強化がいつ行われるのかが分からない。出来るだけ早く、ボスを倒そう)



 明がそう結論を出して、眼前に浮かぶ画面を消したその時だった。


 ――チリン。






 ――――――――――――――――――


 シナリオ【あなたと共に】を進行中です。

 七瀬奈緒の死亡を確認しました。


 ――――――――――――――――――


 固有スキル:黄泉帰り が発動します。


 ――――――――――――――――――





(…………え?)


 出現した画面の意味を、明はすぐには理解出来なかった。

 ただただ呆けるようにしてその画面を見つめていると、ふいに視界が回って、明はベッドに倒れ込んだ。

 そしてそのまま、明の意識は闇に溶ける。


 それはまるで、画面に表示されていた七瀬奈緒の死に引きずられているかのように。

 一条明の呼吸と心臓は唐突に動きを止めて。




 彼は、二十五度目となるこの人生に、幕を下ろしたのだった。


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― 新着の感想 ―
アナウンスの無情さと自分が何もしてなくてもご丁寧にシステムが殺しにきて戻るのでちょっと笑いました うわあああ奈緒さん(嘆)とかやる時間や手間を省いてもらってるので、楽と言えば楽ですがw テンポが良くて…
[一言] シナリオの洗礼(バッドエンド「夜間注意」)
[良い点] 鬼仕様ではあるけど、道連れシステムで良かったよ。 死んだまま置いてっちゃうかクリアしちゃうかで究極の選択にならなくて良い
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