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この世界がいずれ滅ぶことを、俺だけが知っている  作者: 灰島シゲル
二章

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55/351

新たな効果

 


 ――――――――――――――――――

 一条 明 25歳 男 Lv9(38)

 体力:65

 筋力:115

 耐久:84

 速度:99

 魔力:13【14】

 幸運:39



 ポイント:58

 ――――――――――――――――――

 固有スキル

 ・黄泉帰り


 システム拡張スキル

 ・インベントリ

 ・シナリオ

 ――――――――――――――――――

 スキル

 ・身体強化Lv2

 ・解析Lv1

 ・魔力回路Lv1

 ・疾走Lv1

 ――――――――――――――――――

 ダメージボーナス

 ・ゴブリン種族 +3%

 ・狼種族 +3%

 ・植物系モンスター +3%

 ・獣系モンスター +5%

 ――――――――――――――――――




 ミノタウロス戦以降、初めて開かれたその画面には、様々な変化が生じていた。

 まず、真っ先に明の目に留まったのは魔力項目に追加された新たな括弧と数字だった。

 次いで、ミノタウロスを倒したことで生じたレベルアップと、達成したクエストの報酬によって得た大量のポイントが目に留まる。

 そして最後に、新たに追加された項目である『インベントリ』と『シナリオ』という単語が、順に明の目に入った。


 明は、それら一つ一つへと目を向けると、怪訝な表情となって宙に浮かぶ画面を見つめた。


(なんか、いろいろ増えてるな……。謎の括弧と数字に、『インベントリ』と『シナリオ』? ……ああ、そう言えば、この二つもミノタウロスを倒してから出てきたんだっけ。確か、黄泉帰りの追加効果がどうのこうのって出てたけど……)


 インベントリもシナリオも、ゲームでよくある単語の一つだ。

 しかし、以前の人生の中で、明はその項目の名前を試しにと口に出している。

 その時は何も起こらなかったが、今ではその状況が変わったということだろうか。

 『システム拡張スキル』という文字があるのを考えると、これらの文字は一応スキルの扱いのようだ。



(それにしても『システム』、ね。ますますゲームっぽくなってきたな)


 そう考えて、明は鼻を鳴らすように息を吐いた。



(結局、これってなんだったんだ?)



 システムという文字が頭にあるが、スキルならば詳細が出てくるだろう。

 そう考えて、明は画面の中の『インベントリ』の項目に手を触れた。


 ――チリン。




 ――――――――――――――――――

 インベントリ

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ――――――――――――――――――




 明の前に新たな画面が表示される。

 その画面は、明の考えていたようなスキルの詳細画面などではなかった。

 インベントリという名前だけが表示されたその画面には、五つの空欄が表示されている。

 シンプルすぎるその画面を見つめて、明の眉間には小さな皺が寄った。


(……なんだこれ? インベントリって名前から考えると、アイテムとかを収納出来たりするのか?)


 試しに、明は枕元のスマホを手に取って、それを見つめる。



「インベントリ」


 呟くと同時に、その画面には変化が生じた。




 ――――――――――――――――――

 インベントリ

 ・スマホ×1

 ・

 ・

 ・

 ・

 ――――――――――――――――――




(表示に追加がされたな。けど…………)


 ちらり、と明は手元に視線を落とす。

 そこには、インベントリに表示されたはずのスマホが残っている。


(ネット小説やゲームでよくある、アイテム収納とかそういうやつじゃないのか?)


 手元のスマホが消えていないのを見る限り、単純にアイテムを仕舞うものではないようだ。

 明はじっと画面を見つめて、今度はインベントリと称された画面に表示された、スマホの文字に手を伸ばした。




 ――――――――――――――――――


 インベントリの『スマホ』を消去しますか? Y/N


 ――――――――――――――――――




 画面が切り替わって、確認を問いかける画面が現れた。

 ひとまず、『Y』を押してみる。

 すると、画面に表示されていたスマホの文字は消えて、再び空欄となった画面がそこに表示されていた。


(よく分からんな……。個数表示を示すものがあったのを見る限り、同じ種類のものなら纏めることが出来るみたいだけど)


 収納するわけでも、取り出すことが出来るわけでもなく、ただ画面に物の名前を表示させるだけ。

 そのことに、明は小さなため息を吐き出すと、インベントリの画面を消した。



(シナリオはどうなんだ?)


 明は心で呟くと、ステータス画面の中にあるシナリオへと手を伸ばした。




 ――――――――――――――――――


 現在、シナリオの活性化はありません。


 ――――――――――――――――――




(活性化? まだ使えないってことか?)


 試しに画面の文字へと触れてみるが、変化は生じない。

 明は画面を手で振り消すと、大きなため息を吐き出した。



「何か、説明的なものはないのかよ……」



 これがスキルだとするならば、その使い方ぐらいは説明があっても良いだろう。

 追加されたものがどんなものかが分からなければ、どうしようもない。


(黄泉帰りの方を確認すれば、詳細が載ってたりするのか?)


 これら二つは、黄泉帰りの追加効果によって現れたものだ。

 眉根を寄せながらそう考えると、黄泉帰りの文字に触れて、明はそのスキル詳細を表示させた。




 ――――――――――――――――――


 黄泉帰り

 ・パッシブスキル

 ・スキル所持者が死亡した際に発動し、スキル所持者はあらゆる因果律を歪めた状態で過去の特定地点へと回帰する。

 ・スキル所持者が特定地点へと回帰する際に、スキル所持者が選択した物も因果律を歪めて回帰することが出来る。

 ・特定の条件を満たした人物がいた場合、一定期間、スキル所持者が死亡し過去の特定地点へと回帰する際には、その条件を満たした人物も因果律を歪めた状態で回帰する。


 ――――――――――――――――――




(――――マジで?)



 そこに追加されていた文字を読んで、その衝撃に、明は言葉を失くした。

 何度も、何度もそこに書かれた文字を読んで、ようやく追加された『インベントリ』と『シナリオ』の二つがどういうものなのかを理解する。


(死んだとき、俺だけじゃなくて俺が選んだ物も一緒に巻き戻る? いや、それだけじゃない。条件さえ満たせば、俺以外の誰かとも死に戻ることが出来るのか?)


 本当にそれが出来るのだとすれば、これから先、大きな力になるのは間違いない。

 選んだ物も一緒に死に戻るということは、これまで目覚めと同時に行ってきた物資を集める作業が必要なくなる。さらにいえば、黄泉帰りが過去の特定地点へと戻る特性を考えれば、本来ならば未来で手に入れるはずだった物が、死に戻った過去の時点でも使えるということになる。

 またもう一つの追加された効果では、自分以外の人物がレベルやステータスを過去へと引き継ぎやり直すことが出来るようになることが示唆されている。もしも、本当にそれが出来れば、戦力という意味でも今後、仲間を増やせるかもしれない。



(……けど、俺以外の人も一緒に死に戻る、か)


 心で呟き、明はその文言を見つめた。



(本当に、俺の黄泉帰りに……他の人も一緒に付き合わせていいのか?)



 黄泉帰りの力は強力だが、残酷だ。

 この力は、死という終わりを無かったことにしてしまう。

 死という終わりは新たな始まりとなって、また、次の人生を強制的に歩まされる。

 それがどれだけ辛くて苦しいことになるのかを、明はもう、十分に知っている。

 だからこそ、その苦痛に他者を巻き込んでいいものなのかどうか悩んでしまう。



(力が適用されるのは一定期間だけ、らしいけど……。それって、どのくらいの期間なんだ?)


 その答えは、考えたところで出るはずもない。



(……………ダメだ。一旦、保留にしよう)



 明はため息を吐き出すと同時に、これらに関する思考を一度切り上げた。

 まず、その特定条件とやらも分かっていないのだ。

 ならば今からそれを考えても意味がないと、そう考えた。


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― 新着の感想 ―
[一言] この黄泉返りの条件だと老衰で死んでしまっても戻ってしまいそうですw 老衰で死ぬ前にこのゲームのような世界がクリアされるなら問題無さそうですけども
[一言] インベントリによる品物の引き継ぎ、これで身近な存在が怪我や病気になった際の保険が出来たって考えればマシなほうか………。まぁ、初日だけしかインフラが持たなかったから今後は拠点を何処にするかだな…
[良い点] 色々感想欄で書いた点が良い感じにアップデートされていて、ひっかかることなくストーリーが入ってくるようになりました。 お疲れ様です。 ・・・と言っても、ネットインフラを初日だけに変えたの…
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