表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世界がいずれ滅ぶことを、俺だけが知っている  作者: 灰島シゲル
第一章 すべてのはじまり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/351

死を越えて

 


 モンスターを倒し続けて、夜が明けた。

 明は、奈緒と別れてからずっと、一度も休むことなくモンスターとの戦闘を続けていた。


「ふっ!」


 路地の先にブラックウルフの姿を確認した明は、両足に力を込めて一気に加速する。

 瞬く間に近づく明の存在に、ブラックウルフはすぐに気が付いたのだろう。ゴミを漁る手を止めて、顔を上げて明の姿を目に入れたかと思えば、その鋭い牙を見せつけるようにして唸り声を上げた。


「ガァウ!」


 叫び、ブラックウルフが明の喉笛を噛み切らんと牙を剥く。

 けれど、その攻撃を明は読んでいた。


「テメェらの攻撃は、もう知ってんだよ!!」


 叫び、身体を捻るようにして回避をすると、握りしめた拳をブラックウルフへと叩きつけた。

 肉を穿つ感覚と同時に、明の拳に伝わる、ブラックウルフの骨が折れる感触。



「――――ガ、ァ!」



 ブラックウルフは奇妙な声を吐き出すと、その口から涎を垂らした。

 すかさず、明は腰を捻ってブラックウルフを蹴り飛ばす。


「キャインッ!」


 悲鳴を上げて吹き飛んだブラックウルフが、路地のブロック塀へと身体をぶつけた。

 ブラックウルフはすぐに立ち上がろうと藻掻いたが、足に力が入らないのだろう。立ち上がろうとする度にその足は折れて、何度も身体を地面へと突っ伏した。

 その隙を、明は逃さなかった。


「っ!!」


 地面を蹴ってブラックウルフへと近づき、その勢いのまま、明は跳び上がる。



「終わりだ!」



 叫び、明は振り上げた踵をブラックウルフの頭蓋へと向けて落とした。

 バキッ、という骨を砕く感触。

 ブラックウルフは身体を震わせると、やがてその身体を横たえる。

 明は、ブラックウルフが死んだことを確認すると、すぐにまた、次のモンスターを探して駆け出した。

 一匹、一匹と。明は出会ったモンスターすべてに挑んで倒していく。

 そうして、休む暇もなく出会うモンスターのすべてを殺し続けて、時間の感覚も忘れかけた頃、ようやくそれは訪れた。




 ――――――――――――――――――

 レベルアップしました。


 ポイントを獲得しました。

 消費されていない獲得ポイントがあります。

 獲得ポイントを振り分けてください。

 ――――――――――――――――――




 表示されたその画面を、明は無言で見つめた。


(――よし。あとは、このレベルアップで魔力が伸びてるかどうかだな…………)


 結果次第では、ミノタウロスに挑むための準備である、繰り返しの回数は変わる。



「すぅ……はぁ……」



 知らず知らずのうちに跳ね上がる心臓を鎮めるよう何度か深呼吸を繰り返して、明は乾いた喉を潤すよう生唾を飲み込む。

 そして明は意を決すると、その画面を開く言葉を口にした。


「ステータス」


 ――チリン。

 声に反応するように、明のステータスは開かれた。




 ――――――――――――――――――

 一条 明 25歳 男 Lv2(26)

 体力:33(+1Up)

 筋力:73(+1Up)

 耐久:72(+1Up)

 速度:67(+1Up)

 魔力:2(+1Up)

 幸運:27(+1Up)


 獲得ポイント:6

 ――――――――――――――――――

 固有スキル

 ・黄泉帰り

 ――――――――――――――――――

 スキル

 ・身体強化Lv2

 ・解析Lv1

 ・魔力回路Lv1

 ――――――――――――――――――

 ダメージボーナス

 ・ゴブリン種族 +3%

 ・狼種族 +3%

 ・植物系モンスター +3%

 ――――――――――――――――――




「ッ!」


 表示されたその画面に、明は固く拳を握り締めた。

 魔力の項目が上昇したことを確認したからだ。


(よしっ、これであとは……レベルを4つ、あげるだけ)


 心で呟き、明は息を吐くとすぐにレベリングへと戻った。

 モンスターが強化される、午後十二時まで必死に戦闘を続ける。

 そして、その時間は訪れて。

 一条明は、強化されたミノタウロスによって、十五度目の人生に幕を下ろした。



 ――十六度目。

 一条明は、変わらずレベリングを続けた。

 幸いなことに、一度、黄泉帰りが行われると、それまでに受けた傷や疲労が全て癒えることから、目覚めた明は最初から全力でモンスターを倒し続けた。

 結果、明の総合レベルは27となった。



 ――十七度目。

 その人生でも変わらず明はレベリングを続けた。

 しかし、さすがにそう毎回レベルが上がるわけではない。

 その人生では、明はレベルアップをせずに終えた。



 ――十八度目。

 その人生では、レベリングを始めてすぐにレベルアップをした。

 どうやら、前回の分のモンスターを倒した経験も引き継がれているらしい。

 結果、明の総合レベルは28となり、やはりと言うべきか、ミノタウロスに殺されて人生を終えた。



 ――十九、二十度目。

 総合レベル29となったのは、二度の人生を丸々使ってからだった。

 さすがに、この街のモンスターではレベリングが厳しくなってきたと言わざるを得なかった。

 しかしだからと言って、オークとのステータスに開きがある今、取れる選択肢はこの街のでのレベリング一択だった。



 ――二十一、二十二、二十三……。

 三度の人生を終えてもなお、総合レベル30には達しなかった。

 しかし、収穫もあった。

 本当に久しぶりに、明はトロフィーを獲得したのだ。

 『狩人』という名前のブロンズトロフィーであるそれは、獣系のモンスターからの敵対心が+30の上昇をする代わりに、獣系モンスターへのダメージボーナスが+5%上昇するというものだった。

 おそらく、ボアやグレイウルフ、ブラックウルフといったモンスターを狩り続けていたからだろうと明は考えた。





 ――そして、二十四度目。

 モンスターが強化される、制限時間の数分前。

 叩きつけた拳によって絶命したボアによって、明の総合レベルは30へと上がった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
レベルの上がり方が総合レベルに準じていて、体力などが引き継がれるなら、レベルがリセットされる意味がなにかあるのでしょうか? この話まで、戻るたびにレベルリセットされるから、レベル上げしやすいのかと思っ…
[気になる点]  この町のモンスターを狩りまくったって事だけど、蜂型は?  死体を運んでる描写は出てきてたけど、巣を確認したって話は一切無いし、数狩ってるなら虫系モンスター特攻が付いてないのはおかしい…
[一言] 面白いが時系列が曖昧にならない様にお願いします、紛らわしいのも読んでいて疑問として残るので排除して下さい、電気とか
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ