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この世界がいずれ滅ぶことを、俺だけが知っている  作者: 灰島シゲル
第一章 すべてのはじまり

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解析



(ひとまず、ゴブリン狩りは継続するとして……。問題は、それが終わった後にレベリングの相手をどうするか、だな)


 街中を歩き回りながら確認すると、出現するモンスターは更に増えている。

 以前から見かけていた蜂やイノシシのモンスターはもちろんのこと、今では灰色や黒色の狼や、蔦をうごめかし人間を捕食する食人植物まで現れているようだ。

 空には甲高い鳴き声を発する巨大な翼を持つ怪鳥が縄張りを主張する様に円を描いて飛び回り、空を飛ぶ自衛隊の輸送機やテレビ局のヘリコプターを見かけた途端に襲い掛かる様子が遠目でも見て取れた。


「んー……そうだなぁ」


 確認したモンスターの姿を思い浮かべながら、呟く。

 ゴブリンとは前世で戦ったことがあるから、明はゴブリンの強さをある程度は知っていた。

 しかし、それ以外のモンスターに関しては情報を持ち合わせていない。

 黄泉帰りのスキルを使って、手あたり次第にモンスターに挑み、死に戻ることでこの時間を繰り返すことも考えたが、いくら生き返るとは言え、自分の命を安く売り叩くような真似はどうにも気が進まなかった。


(黄泉帰りのスキルが死んだときに発動するのは分かったけど、その発動がずっとなのかどうかも分からないし……。黄泉帰りが発動しなかった時のことを考えると、ゾンビアタックで手あたり次第に挑むのはリスクが高いよなあ)


 改めて、明は自分自身に言い聞かせるように、黄泉帰りを使う時の方針を口に出した。


「んー……、イノシシも蜂も、狼も、どれも強そうなんだよなぁ。せめて、相手の強さが分かればいいんだけど」


 強さが分かれば、次に挑むべきモンスターも注意するべきモンスターも見えてくる。

 そう考えて明は頭を悩ませていると、ふとそのスキルの存在を思い出した。



(そうだ、解析スキル! 確か、あれって相手の情報を見ることが出来るってスキルだったよな?)



 スキルレベルによって、解析を使った際に分かる情報は差があるらしいが、それでも解析スキルを使えば、現状の何もわからない状況よりかはマシになるはずだ。


(それに、これから先、もっともっと色んなモンスターが出てくるかもしれないし。戦うためにも、身を守るためにも、相手の情報を知っておく必要はある。身体強化のスキルレベルを上げるために、ポイントは溜めておきたいけど…………、まあ仕方ないか)


 心の内でそう呟き、明は自分自身を納得させた。



「ステータス」



 ステータス画面を表示させる。

 それから、画面に表示される獲得ポイントの文字に触れて、ポイント割り振りの画面から新規スキルを選択して、解析スキルの取得に許可を出した。




 ――――――――――――――――――

 スキル:解析Lv1を取得しました。

 ――――――――――――――――――




 スキル取得を知らせる画面が表示された。

 明は、それを確認するとすべての画面を消して、新たに獲得したスキルを試すべく周囲を見渡した。

 すると、地面に転がるゴブリンの死体が目に入る。


(死体も、一応は生物枠に含まれる……よな?)


 もし、これでダメなら生きているゴブリンを探そう。

 そう思いながら、すでに事切れたゴブリンを視界にとらえて、その言葉を口に出す。


「それじゃあ、お試しってことで。――――解析!」


 ――瞬間。

 軽やかな音が響いて、死体となったゴブリンの上にその画面は表示された。




 ――――――――――――――――――

 ゴブリン  Lv3

 体力:12 

 筋力:10

 耐久:10

 速度:5

 魔力:2

 幸運:1

 ――――――――――――――――――

 個体情報:レベル不足のため表示出来ません

 ――――――――――――――――――

 所持スキル:レベル不足のため表示出来ません

 ――――――――――――――――――




「おぉ……。出来た」


 表示される画面を見て、明は言葉を漏らした。

 それから、じっくりとその画面へと目を通していく。


(何々……、体力12!? だからこいつら、そう簡単には死なねぇのか。――ってか、俺……。身体強化とかトロフィーの影響で伸びた数値抜きだと、総合レベル7で、ステータスの項目が軒並みレベル3のゴブリンとそんなに変わらないんだな)


 それは、自分自身が弱いのか。それとも、モンスターが強いのか。

 ――多分、両方だろうな。と、明は思った。


(んー……、あとは…………。あ、幸運は元から勝ってるっぽい。それと、ゴブリンに魔力の項目があるのは、なんとなくモンスターっぽいな。その後の画面は……ああ、なるほど。ここの、個体情報とか相手の所持スキルとかを見るにはレベルを上げればいいわけね)


 明は思考を巡らせる。

 身体強化のスキルレベルアップを行うのに必要な獲得ポイントは20だった。

 おそらくだが、この解析スキルも次のレベルへとあげるには、身体強化と同じようにポイントが必要だろう。


「一応、念のために見ておくか」


 呟き、明は再び自らのステータス画面を呼び出し、その中のスキル欄に新たに記載された解析の文字に触れた。




 ――――――――――――――――――

 解析Lv1

 ・アクティブスキル

 ・生物に対してのみ有効。生物の詳しい情報を視覚化することが出来る。視覚化出来る情報は、スキルLvに依存する。


 獲得ポイントを5つ消費して解析のレベルアップをしますか?  Y/N

 ――――――――――――――――――




(思ったよりも、次のレベルにあげるためのポイント少ないな。つっても、5つも必要だけど)


 身体強化よりも必要なポイントが少ないなら、このままポイントを5つ溜めて解析のレベルでも上げてみるか。

 そんなことを明は考えたが、すぐに首を横に振って自分の考えを否定した。

 解析Lv2になれば、次に見られるようになるのは個体情報の欄だろう。

 その、表示される個体情報の意味は分からないが、現状のスキルレベルでも相手のレベルやステータス項目を見ることが出来ている。充分だ。


「身体強化のレベルを上げるポイントも溜めたいし、解析のレベル上げは余裕が出来てからでいいかな」


 そう言って、明は再び自分のステータス画面を消した。

 それから、すぐに思考を切り替えて。明は、次のレベリングの相手を見定めるためにも、比較対象であるゴブリンのステータスを覚えておこうと、無言となってその画面を目に焼き付けた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 生き物は生きてる、死んでても生物、そんな感じ 生き物を飼う、生物の死骸、とか言うし
[気になる点] 死体は生物ではないですよね?生きていませんし… そもそも生物の定義って生命活動をしているものなので、やはりおかしいと思います。
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