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忙しい日々を過ごしていると時間なんてあっという間に過ぎていく。今回は兄上だけが参加した下級貴族のお披露が終わり、赤の日のために久しぶりに領都へと戻る日になってしまった。そして、なんと!!! 今回の馬車の旅では初めて熱を出さずに最後まで行けたのだ! まあ、少しだけ体調を崩すことはあったけど、それも夜寝れば回復する程度のこと。うーん、成長した。
これにはもちろん訳がある。せっせせっせとリーロンパ先生が調合してくれた薬を飲んだのだ。なんでも体質を改善するもので、毎日きちんと飲むことで体調を崩しにくくするらしい。そういうのがあるなら、もっと早く出してくれればいいのにと文句を言うと、一人一人の体質に合わせるものだからしばらくは定期的に診なきゃいけないんだよ、と言われてしまった。まあ、この人基本は王都からでないからしかたないか。
僕の体に合う薬も安定したらしく、これからはある程度は一気に出せるそう。うん、ありがたい。
「ほら、アラン。
もうすぐだよ」
ぼんやりと外を眺めていると兄上から声がかかる。そして、言葉の通りそれからすこし走ると馬車は屋敷へと入っていった。
「まあ、おかえりなさい2人とも。
え、え、あら、ん……?」
通されたサロンで待っていたのは母上と姉上。ふふふ、驚いてくれてるみたい! 固まるふたりの目線の先にあるのは、僕の目。今は眼帯をしていない目だ。練習として、これを習った日から基本的にはこうして魔法で目の色を変えることで眼帯を外している。もちろんいちおう父上に許可はいただいています。はじめてこの状態で会った人はみんな驚いていて、それがなんだか面白かったのだ。
「瞳の色を変える魔法を習ったのです」
「ま、まほう。
そう、そうなの……。
神聖な瞳を偽るのはどうなのかしら?
いえ、でも……」
呆然とつぶやく母上。そんなに衝撃でしたか。
「アラン、アラン、よかったね……」
そう言って抱きしめてくれたのは姉上。こんなに喜んで貰えるとは思ってなかったけれど、よかったかもしれない。
そんな一幕もありつつ、基本的には平穏に帰宅の挨拶はすみました。母上はここを出る前よりも背が伸びた僕や兄上を見て、まあ! といいながらなんだかデザインがふってわいていたみたいだけれど、まあ大丈夫でしょう!
久しぶりに帰ったからとまずは屋敷の人達に挨拶をしていく。もちろんキャベルト隊長にもだ。実は王都でもシントと一緒に剣を習うか、という話がでていたのだ。だけれど、数回やったあとはもうお手上げされてしまった。どれだけキャベルト隊長が辛抱強いかわかったよね、うん。これだったら、才のある魔法に時間をあてた方がいいとまでいってきたんだからな!? あのときのシントの顔は忘れられない……。
結局僕は剣を習うのは諦めて、自分の護衛騎士にナイフの使い方をしっかり習いました。
「私が差し上げたナイフが役に立っているみたいですね」
その話をすると、隊長は複雑そうな顔でそういう。もう一度お礼を言ってから、その表情の理由を聞くと、本来守られる対象の僕がナイフを役立てるのもな、という話らしい。いや、でも兄上も剣をもってるよ?
「なににしても、お元気そうでなによりです」
「ありがとうございます」
「背も伸びて、これからどんどん大人に近づきますね」
優しい瞳がこそばゆい。でも、自分の成長をただ喜んでくれる言葉は嬉しかった。




