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すみません、一話抜けていました!
47話部分に抜けていた一話を追加しましたので話数が一つずれます……。
20.01.30
入口入ってすぐのところではきれいな衣装を着た女性が軽やかに踊っていた。その踊りとともに音楽も奏でられていて、とても賑やかだ。周りで聞いている人たちもその様子を見ながら手拍子をしていて、お祭り! といった様子に僕の気分も余計に上がっていく。身長が足りなくて、頑張って背伸びをしていると、兄上がそっと抱き上げてくれた。そして視線が上がると、踊り子たちがよく見える。けれど、僕の視線はその先に行ってしまった。
「ねえ、兄上。
あれは……?」
そう尋ねた視線の先である広場の中心には真っ白な布が引かれている。それも結構大きいやつ。そしてその上には様々な食材が置かれているのだ。まったく手が加えられていないような野菜そのままのものもあれば、屋台で売られているような完成した料理まである。そしてそこに入れ替わり立ち代わり子供たちがやってきては、何かをとって食べているのだ。やってくる子供たちの中にはがりがりに痩せていて、本当に生きているのか怖くなるような人までいる。
「ああ、あれは……。
しまったな、今日はまだやっている日だったか」
そう低くつぶやくと、兄上はすぐに歩き出してしまった。まだ踊り子たちを見ていたかったし、何よりあの子供たちが気になった。もっと見たい、そういっても兄上の足が止まることはなかった。
「あ、兄上⁉」
「いいから、ひとまずここから離れよう。
説明は屋敷に帰ってからでもいいだろう」
なんだか、いつもと違う兄上が怖くて、僕は慌ててうなずいた。そして完全に広場から離れるとようやくおろしてくれた。
「ごめん、もう終わっているかと思ったんだ。
もう少し後に行けばよかったね」
終わっている、ってどういうこと? 疑問には思ったけれど、どうやら今答えるつもりはないらしい。もう少し見て回ったら屋敷に戻ろうか、そういう兄上に私はうなずくことしかできなかった。
なんとなく気まずく思いながらも屋台を回る。そして予定より早く屋敷に戻ることになった。というのも、気まずい、というのもあるのだけれど、初めてのお祭りに気分が上がりすぎて結局へとへとになってしまったのだ。それをみて、これは熱を出すだろう、と早めに帰宅することになってしまった。残念だ。
ちなみに王都に来た今、もうイシュン兄上に診てもらうことはできない。その代わり、リーロンパ先生が診てくれることになっている。いや~、本当にびっくりした!以前薬草の扱いにたけているという話は聞いたんだけど、医学の面でも有名らしい。自在に薬草を組み合わせて、難病も治癒の方向にもっていくと噂のリーロンパ先生。イシュン兄上がどうやら手をまわしてくださっていたらしい。
「ねえ、兄上」
帰りの馬車の中、まだ屋敷ではないけれどもうそろそろいいだろう、と僕は口を開く。そのあとにどんなに興味を惹かれるものを見ても、心にはずっと広場で見た光景が残っていた。僕が気にしていることを兄上もわかっていたのだろう。深いため息をはいている。
「広場でのこと?」
「はい」
「下手に気にしすぎないように話しておくけれど、決して近づかないようにね」
そう注意してから兄上は話を始めてくれた。
「あの布の上に置いてあるのは供物なんだ。
厳しい季節を越えたことを祝うのがあの祭りだけれど、その感謝の気持ちを伝えるのがあそこにあった食べ物。
それで、あの子供たちだけれど……」
そこで兄上は一度言葉を切る。どうしても言いづらいことのようだけれど、やっぱり気になるんだ。ここで引くわけにはいかない。聞くよ、という意志を込めて兄上をじっと見つめた。そんな僕のようすに、兄上は諦めたようにため息をついた。
「あの子供たちは厳しい季節、ご飯をまともに食べられなかった子達だ。
だからとても痩せている。
供物をそういった子達が食べることをこの時期だけは皆黙認しているんだ」
「なぜ、急いであの場から離れたのですか?」
「アランに見せくなかったというのもあるけれど、ああいう子達は悪いものをは運んでくる可能性がある。
アランはただでさえ体が弱いだろう?」
だから、とそう兄上は言う。つまり完全に僕の為を思ってやってくれたわけか。
「話して下さり、ありがとうございました」
最後にそうお礼を告げると、いや、と兄上は答えた。




