表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
157/169

157

 次の日、快晴。天気はあまり関係ないけれど、でもなんだか嬉しくなる。


「アラン、本当に行くの?」


「はい、行ってきます」


 うっ、そんな風に睨まれてもかわいいだけなんだけれど。それは置いておいて。そろそろ約束の時間になってしまう。本当にもう行かないと。


「……、行ってらっしゃい」


「ありがとうございます」


 姉上が送り出してくれて、王宮へと向かう。さて、本当にどうやって行くのか。



「お待ちしておりました。

 早速向かいましょう」


 王宮に着くと待ち構えていたモノローア殿下。さすがに準備万端らしい。様子を伺いたいということで、バレティエラ殿下も一緒に来るらしい。様子を伺いたいって……?


「あの、どこに向かうのですか?」


「『守り人』のところです」


 ……守り人? かなり懐かしい名前だ。そこから他大陸にって、一体? 疑問はきえないまま、いいからと馬車に乗ることに。あそこには特に海につながっていないよね。


 結局楽し気に笑っているだけで、詳しいことは言ってくれないまま馬車は進んでいく。かなり懐かしいこの場所。本当にあれ以降行くことなかったもの。そう言えば、今日は白い服じゃないけれどいいのかな?


 中に入っていくと、前と同じように女性が迎え入れてくれる。そしてそのまま奥に進み、扉の中、あの不思議な空間にたどり着いた。ああ、ここは本当に変わっていない。この神秘的な場所は変わらずにここにあったのだ。


「おや、珍しいお客方ですね」


「急にすまない。

 奥の部屋に入っても?」


 モノローア殿下の言葉に驚いた顔をする『守り人』。だが、すぐに一礼すると、あの時は入らなかった扉へと案内してくれる。ここは一体?


「ご無事を祈っております」


「ありがとう」


 そして、去っていく『守り人』。僕一人だけ全くこの状況についていけていないみたいだ。しかも、無事を祈るってなんだろうか。


「この空間は、いろんなところにつながっているんです。

 その事実は知っていても、その仕組みを動かすことは我々にはできませんが」


「仕組み、ですか?」


 はい、と言って示したのは不思議な文様が刻まれた扉。ああ、この文様見覚えがある。村のはずれにあった、決して入ってはいけないと言われていたあそこにあったもの。僕は一度だけ特別に、と言って入らせてもらったところに。


 なるほど、これを使って行き来していたのか。と、わかったのはいいけれど、使い方はわからないよ?


「あの、これ一体どうやって動かすのですか?」


「えーっと、確か……」


 扉の前をうろうろとしているモノローア殿下。もしかしてわからない? バレティエラ殿下は!?


「あまりちゃんと聞いたことはないので、確信はないんですが。

 ドアノブを握って、この文様全体に力をいきわたらせる、とかなんとか」


「ドアノブ、ですか?

 こうですかね」


 ひとまずやってみるか、とドアノブを握ってみる。すると、扉が力を求めていたかのように、ずるずると魔力が引き出されていく。これ、あの聖樹みたいだ……。どこもかしこも、魔力が足りていない。


「あ、アラミレーテ殿!

 リンキュ王国を思い浮かべてください!」


「え!?

 いや、リンキュ王国がわからないのですが!?」


「少々失礼いたします」


 そういうと、僕の手にモノローア殿下が手を重ねる。


「アラミレーテ殿は何も考えないで」

 

 何も考えない。無……。


 少しすると、扉がひときわ光る。そして徐々にその光は収まっていった。


「成功、したのか?」


 成功したかはわからない。でも、何となくドアノブをひねる。ガチャリ、と音を立てて開いた扉の先、あまり景色は変わらない? でも、この扉はもともと『守り人』のところにあったものだ。ならば、繋がったとしてもその先はまた別の国の『守り人』のところ?


「行ってみましょう。

 すぐに閉じてしまう」


 おお、すごい。なんの迷いもなく進んでいった。バレティエラ殿下も続いて扉をくぐったのを確認すると、自分も扉をくぐってドアノブから手を放す。すると、すぐに扉はしまった。そのあとは、開けようとしても開かなくなってしまった。


 バレティエラ殿下に続いて、とりあえず進んでいく。そして現れた扉を開くと、そこに広がっていたのはアルフェスラン王国と同じ神秘的な光景。でも、違うところが一つある。


「ああ、ああ……。

 あの扉が使われたのは一体いつぶりでしょうか。

 まさか、この目でそれを見ることが叶うとは……」


 泣き崩れたこの男性。恐らく、『守り人』だよね? 本当に、リンキュ王国に来れたのか?


「成功、したのか……。

 アラミレーテ殿、すぐに王城へ!」


 「え、あ、はい」


 いまだ頭はついていけていないけれど、とりあえずついていく。その先。今度は全く異なる景色が広がっていた。景色だけじゃない、空気も違うし、天候もおかしい。どうしてここは晴れているのに、少し先では雷鳴がとどろいているの?


「ここは……?」


「ここが、リンキュ王国です」


 リンキュ、王国。ここが……。呆然としてしまう僕の手をモノローア殿下が引く。そして、そのまま王城に向かうことになった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ