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 アシュート領領主であるアシュート侯爵の屋敷はもちろん領内にある。たいていの領では領全体を見やすいように、といった理由から中心近くにあるのだが、ここは違った。白爛石が取れる鉱山が領の中心近くにあるため、そこから距離を置いた、少し端のほうにあるのだ。有害な何かは採掘時に出ると言われているため、屋敷がある程度近くても大丈夫だとは思うけれど、一応少しでも離しておきたかったのかな。


「ようこそいらっしゃいました、視察団の皆様。

 本日はひとまずゆっくりとお休みください」


「出迎えていただき感謝します。

 今回はよろしく頼みます、アシュート侯爵」


 出迎えにはいつものように領主とその家族。実はアシュート侯爵家のことはあまり知らなかったのだけれど、侯爵とその夫人、そして男性がもう一人。侯爵とよく似ているしおそらく息子だろう。侯爵家だけどここにいるっていうことはこの方はもう成人されているっていうことだよね。

 

「初めまして、シフォベント殿下、アラミレーテ殿。

 アシュート侯爵が嫡男のヒデシャルテ・アシュートと申します。 

 こちらに滞在している間、なにかと行動を共にすることがあると思いますがよろしくお願いいたします」


 びっくり。思っていたよりもごく丁寧な方。ほかの領での話だけど、一回り年下だからか、こう、なんだか馬鹿にしてくる人がいたのだ。もちろん直接口にはしなかったけれど、態度からそんな感じがしたのだ。ものすごく不愉快だった、うん。でも、この人は全然違う。


「よろしくお願いいたします、ヒデシャルテ殿」


「よろしくお願いいたします」


 そのままヒデシャルテ様が僕らを部屋へと案内してくれる。ここでは一応一人一部屋使っていいみたいだ。そしてたいていそうだけど、ここでもシントは隣の部屋でした。


「ここまでの旅でお疲れでしょう?

 今、お茶を用意させましょう」


「あ、ありがとうございます」


 至れり尽くせり……。それに思っていたよりもフレンドリー。なんだかいつのまにかお茶が始まっているし。


「ふふ、実はお二人が来ることを楽しみにしていたんです。

 昨年学園を卒業してしまいましたし、弟はまだ学園生ですから王都にいますし」


「そう、なのですね。

 えっと、弟というのは……」


「まだお会いしたことないのですね。

 モノワード、という名前で今15歳なんです」


 うーん、やっぱり聞いたことないや。15歳ならお茶会とかで一緒になっていてもおかしくはないけれど、僕自身が全然お茶会に顔を出さなかったからな。あれ、15歳?


「姉上と一緒……?」


「はい、そうですよ。

 マリアンナ嬢ですよね?」


「ご存じなんですね」


 そう返すと、まあ、有名な方ですから、と言われてしまった。姉上が有名……。あ、なんだか殿下が関係している気がする。ということで、深入りはやめておきます。


 穏やかで、大人な感じのヒデシャルテ様。兄のように僕らを暖かい目で見てくれるからなんだかこちらも気が緩むというか……。和やかなお茶会になりました。




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