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愛される王女の物語  作者: ててて
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お茶会①

落ち着きを取り戻した私は陛下に手を引かれ、煌びやかなティーテーブルへやって来た。


白のアンティーク調の丸テーブルに、レースのクロスをひき、上にはカップや小さなケーキ、クッキーが置かれ花で飾られていた。


「かわいい…」


イスをひかれ座ると、陛下は向かい合わせに置いてあるイスを隣に移動させ座った。


変に意識してしまい緊張する。でも、せっかくのお茶会だからマナーが出来るようになったことを見て欲しい…なんて。


陛下はメイドから差し出された濡れタオルを受け取ると、私へ向き直り私の手を柔く包み拭き始めた。


(…え……えっ!?)


驚いて陛下のお顔を見つめてしまったことは安易に想像が出来るだろう。

男の人の手だ、と思わず感じてしまうほど強く分厚い手は壊れ物を触るような優しい手つきで私の両手を吹いていく。


「…へ、陛下…?」


「…きちんと手を拭かないと衛生上悪い」


「あ、ありがとうございます」


何か、やけに周りの目が生暖かい

ニクロスなんて手で口を元を隠してるけど笑ってるのが分かる。

あんまり笑うと…あ、陛下が投げたフォークが服の襟に……


「ちょ、うわぁっ!危ね、危ないでございましょうが!!」


取り乱しすぎて言葉が変に…

陛下はそれを鼻で笑う


なんだかいつも通りで、ほっこりしてしまう。メイドがいれてくれた紅茶を一口含むと口の中に砂糖の甘みと紅茶の香りが広がって口元が緩んだ。


テーブルに目を映せばたくさんの焼き菓子が並びどれを手に取るか悩んでしまう。


「……」


陛下はおもむろにクッキーのバスケットからピンクのクッキーを引き出すと、私の目と鼻の先に差し出してきた。


陛下は一体今日はどうされたのか。

理解しがたく、しかもこれは立派なマナー違反。差し出されたのであれば食べろと言うことだろうか。


分からなくてニクロスに助けを求め視線を移せば、ニクロスを初めとするメイドや騎士まで口パクで「食べて!!」と言っている気がする。いや、言ってる。

口元を指さしたり、咀嚼する真似をしたり、口を開けたり…(お願い、シルフィオーネ様!食べて!!お願いだから!!)と一致団結した心の声が聞こえた。


……はい。


口元を小さく開けてサクッと一口食べて、噛んで飲み込む。

…うん、味はしなかった。


陛下、と言えば片方の口元を上げ、いつもギラギラした怖い瞳が嘘のように優しい瞳でこちらを見つめている。


目を見開いてしまった。

さっきも助けてくださった時も、そして今も。


血走り、稲妻が走るようにギラついた青い瞳も、深みのある優しさが滲んだ青い瞳も。


好ましく、悲しいほどに暖かい。



その瞳を見つめたまま、近づき残ったクッキーを口に含んだ。苺の味がして、サクサクと食べて紅茶を飲めば、また美味しい幸福感に満たされる。


なんだか恥ずかしくなってしまって、陛下の顔を見ることは出来ないけれど、食べさせてもらうのって案外嬉しいものなんだなと思った。


ん?でも、ニクロスにされたらどうだろう……微妙…というか多分、食べない。


じゃあなんで陛下なら食べられるんだろう?


ん?と首を傾げ、悩み始めると後ろからニクロスの声が聞こえた。


「陛下、お楽しみ中失礼します。

大変申し訳ないのですが、いち早く目を通して頂きたい物がありまして、数分時間を割いてくださいませんか?」


「は?後にしろ」


振り向きもせず次のクッキーを、手に取ろうとする陛下にツカツカとニクロスは歩み寄り、耳元で小さく囁いたようだ。


(シルフィオーネ様のティアラの話ですよ。出来るだけ早く話を進めないとお披露目パーティーに間に合いませんがよろしいのですか?)


陛下は眉をピクっと動かして機嫌が悪そうに立ち上がると「直ぐに戻る、何か食べて待ってなさい」と伝えさっさと使用人のもとへ向かって行った。


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