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賞金稼ぎと魔法使い  作者: 徒 涼他
3/6

止まない雨

おしっこ我慢、放尿がメインのお話です。

まるでバケツをひっくり返したような大雨。

先程まで晴れていた空はすっかり黒く厚い雲に覆われ、辺りはすっかり暗くなってしまった。

「もっと速く走れ!」

「そんなこと言ったって」

レオンは後ろを走っているゼロに向かって叫ぶ。すっかり水を吸ってしまったローブが重く思うように走れないゼロの所まで行くとレオンはゼロの腕を掴み再び走り出す。

「もう濡れてるんだから歩こうよ!」

「うるさい!さっさと走れ!」

大きな雨音に消されそうになるためついつい大声になってしまう。怒鳴り合いながら走り続けていると、二人の目の前に大きな洞窟が現れた。

「あそこに入るぞ!」

「分かった!」

二人はそのまま洞窟へと駆け込んだ。

洞窟の中は雨水が入り込んでおらず、比較的乾いた状態だった。

ゼロはローブを脱ぐと絞った。大量の水がバシャバシャと地面へと降り注がれる。

「もっと奥へ行こう」

「うん」

ゼロはローブを小脇に抱えると先に行くレオンを追った。

光の届かない洞窟内は暗い。

「火を着けよう!」

「火種なんか持っていないぞ?」

「大丈夫だよ。荷物を遠くに置いて、レオンも離れてて」

ゼロは荷物とローブを壁の方へ置くと真ん中だと思われる場所に立った。レオンは慌てて壁際に寄ると、それを確認してからゼロが何やらぶつぶつ唱え始めた。

「いくよ!」

ゼロが叫んだ瞬間、地面から炎が上がった。最初は大きな炎だったが、ゼロが何やら唱えると丁度良い大きさになってゆらゆらと燃えている。

「一体何をした?」

「精霊から火を借りたんだ」

「火を借りた?」

「うん、雨が上がるまでね。だからそれまで絶対に消えないよ」

レオンはぽかーんとゼロを眺めている。

「もしかして、魔法使いを初めて見たの?」

「魔法使い?」

レオンが首を傾げたのを見て、ゼロは肩を落とした。

「まぁ精霊使いとも呼ばれてるんだけどさ」

「それなら聞いたことあるぞ」

「僕はそれなの!」

ゼロはローブを広げる。

そして着ていた衣服を脱ぎ始めた。

ゼロが精霊に力を借りてあちこちに蔓を張り巡らしてそこに濡れた衣服を掛ける。下着まで濡れてしまった二人は裸で火を囲むように向かい合って座っていた。

「精霊使いは自然の中で暮らしている精霊の力を借りて術を使うんだ。だから精霊を見ることが出来て、精霊と心を通わせることが出来る人間しかなることが出来ないんだ」

ゼロは炎を見つめて話していた。レオンも黙って話を聞きながら炎を見つめている。

「精霊の力を借りて術を使って魔物とかを倒したりする人がいるけどそういう人ってあまりいないんだ。だいたいの人は薬を煎じたり呪いとかお医者さんが治せないようなものを治療したりしてる。僕もそうなんだ」

「どうして前者はいないんだ?」

「魔物を倒すだけの力を借りる器が人間にはないからだよ」

レオンが眉間に皺を寄せる。それを見たゼロはクスリと笑った。

「レオンには難しかったね」

「そんなことはない」

「無理しなくていいよ。ねぇ、レオンは何をしてるの?」

「賞金稼ぎだ」

「あぁ、最近増えてるね」

「あぁ。俺は主に物や魔物関係をやっているな。町に掲示板があるだろう?あれに張られた物を持っていくと金と交換出来るんだ」

「それを僕らが買って使う。上手く世の中回ってるね」

「そうだな」

炎が優しくゆらゆらと揺れていた。




「ん・・・・・・」

レオンが目を開けるとまだ炎はそこにあった。遠くから聞こえる雨音と炎の存在がまだ雨が止んでいないことを告げている。

起き上がってゼロの方を見てみるとレオンに背を向けて横になっていた。肩が上下しているのを見るとまだ眠っているようだ。

「うっ!」

レオンの体がぶるりと震える。

腹部に手を当ててみると、かなり溜まっているようで触れて分かる程膨らんでいた。

そういえば地下で済ませてから一度も用を足していない。

(ションベン・・・・・・)

入り口の方へ行ってみたがまだ雨は激しくとても外へ出られない。かといって洞窟内でしてしまえば出した尿と臭いが残ってしまう。それをゼロに見つかることは避けたい。

(何かションベン出来る物は・・・・・・)

レオンは鞄の中身を出してみたが尿を入れられそうなものはない。

(ションベン・・・・・・)

尿意は増すばかり。このままでは決壊してしまうのも時間の問題だ。

(そうだ!)

レオンは再び入り口の方に行くと、雨に濡れないギリギリの所に立った。そして外に狙いを定めるとそのまま放尿を始めた。

尿は上手い具合に弧を描いて外へと飛んでいく。そしてしている先から雨で流されていった。これなら尿がそこに残る心配はない。

「うーん・・・・・・」

突然聞こえた声にレオンは跳ね上がる。声のした方を見ると、ゼロが目を擦りながら近付いてきていた。

慌てて放尿を止めようとしたレオンだったが、思ったより勢いが強く上手くいかない。その間にゼロはレオンの隣まで来てしまう。

「僕も・・・・・・」

そのままゼロは外に向かって放尿を始めた。

「ふぅ・・・・・・」

レオンを体中が熱くなっていくのを感じながらゼロの方を見ないように放尿に集中する。

(早く終わってくれ!)

レオンの願いとは反対に尿はダラダラと出続けている。力を入れてみてもそれは変わらない。まだ当分は終わらないだろう。

「出たぁ・・・・・・」

ゼロの気持ち良さそうな声。

(早く、早く、早く!)

やっと尿を出し終わり、レオンは雫を切ると脇目も振らず炎の近くに戻った。

(2回も見られた・・・・・・!)

レオンは零れ落ちる涙をそのままに目を閉じた。

嫌なことから目を反らすように。

読んでいただきありがとうございます


この世界では魔力を持つ者は一部の人達で、他の人達は魔力を持たないという設定です。魔法も精霊から力を貸して貰って行うものとなっています。

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