見られた放水
おしっこ我慢、放尿がメインのお話です。
深い闇の中。
そこはとある遺跡の地下に当たる場所。地上にある遺跡は既に多くの人々によって調査が行われ何も残っていないが、地下にはまだ足を踏み入れていない部分が多く、賞金稼ぎや研究者たちが何度もそこに向かった。
しかし、未だに誰もその場所に辿り着いた者はいなかった。入った誰もが途中で戻って来てしまう。何故そうしたのか誰も分からない。入った者が口にしようとしないからだ。そのことから好き勝手な噂が広まり、『呪われた遺跡』と呼ばれるようになっていた。
そんな場所に一人の青年がやって来ていた。青年はここに何度も足を運んでいるが未だに目的の場所に辿り着いたことがない。地下へと続く道順を歩いているはずなのに何故か地上に出てしまうからだ。
(今日こそは絶対に!)
大きな剣を背負い直すと青年は地下へと下りていった。
(ちゃんと残ってるな)
真っ暗な地下にぼんやりと光る物が見える。柔らかな光を放つそれは苔だった。先日青年が地下へと向かいながら置いていったものだ。一度通った道筋が分かれば同じ失敗を繰り返すことはない。そこで彼が集めたのがヒカリゴケだ。先も見えない闇の中でこれを置けば目印になる。そう彼は考えた。
(これなら・・・・・・!)
壁を伝いながらゆっくりと前に進んで行く。足元を確認しながら進むのでなかなか先には進まないが、それでも目印のおかげで着実に前へと進んでいるのが分かる。
その時彼の体が震えた。
(あっ、ションベン!)
彼は自分の腹部に触れてみた。少し溜まってはいるようだが、まだ余裕はある。尿意も強いものではない。
(後でしよう!)
青年はそのまま進んで行く。
すると少し広くなっている場所に出た。触りながら確認すると分かれ道になっていることが分かった。目印を確認すると、一方の道の入り口に置かれている。
(今日は違う方に行こう)
鞄の中からヒカリゴケを取り出す。それは道に置かれているものとは違う色の光を出していた。
青年はそれを少し取って道に置くと、鞄の中にしまって先に進んだ。
一歩踏み出した瞬間。
「えっ!?」
突然足元が崩れた。
あまりに突然だったために青年は為す術無く闇の中へと落ちていった。
「ん・・・・・・」
何か眩しさを感じて青年は目を覚ました。
「うわっ!?」
彼の周りが光っていた。
よく見ると、それは青年が持ってきたヒカリゴケだった。鞄の中身があちこちに散らばっていることから落ちた衝撃で鞄の中身が放り出されてヒカリゴケも辺りに撒かれてしまったのだろう。
青年は怪我が無いことを確認してから鞄の中身を集めた。だいぶ苔を被ってしまっていて、それを丁寧に落としてから鞄に戻していく。
(参ったなぁ)
上を見上げれば彼が落ちたであろう穴は遥か高い所にあった。とても登って行ける高さではなく、登るための道具も無い。
青年はヒカリゴケを集めると半分だけ鞄にしまうともう半分はそのままにした。これを見た誰かが下りてくるかもしれないと考えたからだ。
(今日はここまでか)
そこは広い空間ではあるが、四方を壁に囲まれている。特に目立ったものはなく、あるのは先程青年と一緒に落ちてきた床石だけだった。
「うっ」
彼の体が震えた。
忘れていた尿意が強いものとなって彼に襲いかかってくる。
(ションベン!)
慌てて腹部に触れてみたが、そこは既にパンパンに膨らんでいて、いつ溢れ出してもおかしくない状態になっていた。
(ションベンしたい!)
「うっ、ん・・・・・・」
どのくらい時が経ったのだろう。
青年は壁の前に立っていた。股間を両手でしっかりと握りしめ、腰をくねらせて苦しそうに唇を噛み締めている。
(ションベン!ションベンしたい!)
腰を突き出し、足踏み。
まるで幼子のように尿意の波に耐えている彼は瞳を潤ませて穴を見上げる。そこから人の気配はしない。
(もう、ダメ。漏れる。ションベン漏れる)
彼はゆっくり壁に向き直ると、刺激を与えないようにそっと手を離した。
(まだ出るな、まだだ。まだだからな)
ズボンの前を寛げそこから自身を取り出すと壁に狙いを定めた。
「あっ!」
先端から尿が漏れ出る。やがてチョロチョロと流れていき、量が増していく。長く我慢してしまったためかダラダラと出ていたが、だんだん勢いが増していき壁を叩きつけていた。
「はぁぁぁぁぁっ・・・・・・」
青年の顔は緩んでいた。やっと苦しみから解放され放尿する心地よさに身を任せ、履き物を濡らさなかった喜びに涙が零れている。
(気持ちいい・・・・・・!)
全て出し切った後も暫く余韻に浸っていた青年は背後から吹く冷たい風で我に返る。雫を切って自身をしまい身支度を整える。
(風?)
振り返ると、そこに誰か立っていた。
後ろの壁が開かれていて、その前にローブを着てそのフードを被った者がヒカリゴケによってぼんやりと浮かび上がっている。
「あっ、終わった?」
その言葉に青年は絶叫した。
「見られた・・・・・・見られた・・・・・・!」
ローブの者が通ってきた通路を使って無事地上に出られた青年だったがずっと泣きじゃくっていた。
「ごめんね。あんまり気持ち良さそうだったから。あっ!顔は見てないからね!」
「見られた・・・・・・もうダメだ・・・・・・!」
「別に男同士なんだから」
「うるさい!どうせ言い触らすつもりなんだろう!?」
「何でそうなるの?」
青年は泣きすぎて噎せていた。まるで子供のようだ。ローブの者は優しく青年の背中を擦りながら鼻をかませた。
「誰にも言わないよ」
「信じられるか!」
ローブの者はむっとして今まで背中を擦っていた手で青年の頭を叩いた。青年は頭を抱えて転げ周り、それからローブの者を睨み付ける。
「じゃあ四六時中見張ってれば!?」
青年は最初きょとんとしていたが、袖で涙を拭うとにやりと笑った。
「その手があったな!」
「えっ!?」
「俺はレオン。お前は?」
「ゼロ」
「では、ゼロ。お前が信用出来るかどうか俺自身で確かめる」
「確かめるって」
「お前に着いていく」
「はぁ!?」
「四六時中見張っていろと言ったのはお前だぞ?」
「だからって」
ローブの者、ゼロは暫く考えてから溜め息をつく。それから被ったままだったフードを脱ぐ。ローブの下から現れたのは青年、レオンが今まで見たことのないような美青年だった。肌も髪も透き通るように白く、金色の瞳がレオンを真っ直ぐに見つめている。
「もう勝手にしなよ」
そう言うとゼロは背を向けて歩き出した。慌ててレオンはその後を追う。
「おい!待て!」
読んでいただきありがとうございます。