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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

考える我が輩まとめ

考える我が輩。人間ドックについて

作者: 佐々木弁当

残酷な描写が含まれています

 風邪を引いて、治ったかと思ったらまた風邪を引く。それを毎年二回はする事で定評のある我が輩である。


 今日は人間ドックについて考えてみたいと思う。


 実は人生初の人間ドックというものに行ってきた。わんわん。


 結果としては、特に問題も無かった為、正直いえば改まって書く事がない。

 健康体そのものです、とお医者さんに太鼓判を捺されてしまったので、仕方がないから捏造で不治の病だったという事にしておこうかと思う。

 症状は偏頭痛で、ようするに頭が悪いのである。現代の医学をもってしても治らないらしい。我が輩のお先真っ暗。


 初の人間ドックという事でちょっぴりドキドキして挑んだ検査。休みを半日潰した。


 受付に行くと可愛い看護師さんが出迎えてくれた。

 だが、世の中とは残酷なもので、我が輩はこの可愛い看護師にあらかじめ採取しておいた尿と便を提出しなければいけないのである。

 これがくたびれたおっさんだったならば、いっそ顔に投げつけてやろうかとも思うが、可愛い看護師さんにそれをやると危険なプレイでしかないので自重する。

 

 お互い爽やかな笑顔で排せつ物のやり取りを終え、ここからがようやく検査開始である。


 最初は身長、体重、脈拍などの軽いジャブでこちらの緊張をほぐしにかかる看護師さん達。その気遣い、配慮に痛み入る。


 それを終えると、次は内診である。

 耳にイカしたイヤホンをつけたDJ系男性ドクターの前で、おもむろに服をまくって、心音を聞かせるのである。

 「楽にして~」とドクターは言うが、人見知りな我が輩は照れ臭いので無理である。

 1月という事もあり、寒さで我が輩の乳首が立っていた。それが余計に恥ずかしい。


 我が輩が照れていると、次に「息吸ってぇ……吐いてぇ~」とドクターからの指示が飛んでくる。

 我が輩が呼吸を止めて1秒、医者が真剣な目をしたから、そこから何も言えなくなるの星屑ロンリネス。


 別に恋は生まれなかった。


 ドクターに個室でセクハラされた後は、待ってないけどお待ちかねの採血である。

 注射を構える看護師さんの目がキラリと光った気がした。

 こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい……。


 と、注射に怯えつつも我が輩は大人なので澄まし顔。大人なので。

 痛かったけどギリギリ泣かなかった。あれは我が輩じゃなきゃ危なかったね。

 泣かなかったいい子な我が輩を感心したのか、看護師さんは腕の注射跡に【よくできました】と書かれたまあるい絆創膏を貼ってくれた。流石我が輩、出来る男は誉められるのである。


 吸血鬼にスティックシュガー三本分の血を奪われた後は、一旦建物の外に出て、外に待機してあったマイクロバスの中へ。


 ここで初人間ドックの初バリウムを体験する。

 ドキドキである。

 入院患者のごとき服に着替えて待っていると、粉薬を持った看護師さんがやって来る。

 飲めと強要される。


 最近のバリウムは粉薬になったのかと、医学の進歩に感嘆を覚える。

 我が輩が知っているのはコップに入った牛乳みたいなバリウムである。あれを一気飲みしろ、みたいな事を言われるものとばかり思っていた我が輩は、「なんだチョロいじゃん」と勝ち誇った。

 粉薬と一緒に渡された謎の液体は、どぎついレモンスカッシュの味だった。


 ゲップをしてはいけないと言われたので、我慢していると屁がしたくなるという不思議現象に遭遇しつつ、呼ばれたので検査室へ。

 部屋の中には大きな機械を取り付けられたシングルベッドが縦に設置されていた。

 ドクターに強要されるまま、ベッドに立つと、「右側にあるコップのバリウム飲んで~」と指示が。


 なんてこった。

 やっぱり牛乳じゃないか。じゃあさっきの粉薬はなんだったんだ? オナラ促進剤?


 バリウムを一気飲みし、いよいよ機械が動き出す。

 気分は宇宙飛行士である。


 このベッド。まるで宇宙飛行士の訓練の様に右へ左へ、上へ下へととにかく動く。

 動いたまま「体を少し右に傾けて」とか「ちょっと顎あげて」とか、ドクターの指示がひっきりなしに飛んでくる。

 ベルトで固定などされておらず、ぐるぐる回る体を落ちない様に支えるのは我が輩の細い二本の腕のみ。力尽きると頭から墜落する事は必至。しかもその状態で、ドクターの指示するパフォーマンスに答えないといけない。

 なんという拷問だろうか。

「手を離してください」と指示されたら、何も考えずに離して墜落してしまうかもしれない。恐ろしい。


 落ちまいとなけなしの腕力を必死に振り絞り頑張る我が輩。


 力み過ぎて屁が出た。


 臭い匂いの中で右往左往と蹂躙される我が輩。

 非力な我が輩にとって、腕で自身の体重を支えるのは大変な重労働。

 当然、細胞が酸素を求め、自然と呼吸も荒くなる。

 荒くなった分、オナラも大量に吸い込む事になる。


 我が輩、ようやく気がついた。

 これは人間ドックに見せ掛けたガス室での拷問だったのである。

 ナチスドイツのアウシュヴィッツ強制収容所が平成も終わろうという日本に存在したとは驚きである。


 満身創痍、ヘロヘロになってようやく解放された我が輩。

 バリウムを出す為の下剤を貰い、逃げる様にその場を後にした。


 去り際、順番待ちをしていた男性とすれ違う。


 ああ、あの人もこれから蹂躙されるのかと思うと、我が輩はなんだか優しい気持ちになれた。

 と同時に、我が輩のフローラルな香りの充満するあの部屋に入らねばならない男性の不幸に同情した。



 我が輩、二度と人間ドックには行かないと決めた2019年であった。



 今日はここまで。

たけのこの里を踏んづけてのたうち回る我が輩

忍者の使うマキビシならば死んでいたかもしれない

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