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1.告白


警察学校の敷地内にある木々が色づき始めた頃。僕は、彼女を人気はないが落ち着ける──僕や彼女を含む五人の気の置けない友人にとってはいつもの──場所に呼び出していた。

この時期特有の、からっとした気持ちの良い風が僕たちの頬を撫でる。


「好きだ、君が。初めて見たとき、凛としていて美しいと思った」


僕は真っ直ぐに彼女の目を見て伝えた。


「君は、僕のことを友人としか思っていないかもしれないし、僕も最初は伝えるべきではないと思った。でも、友人でいるのは無理だ。君が、女性として好きなんだ」


恋人なるものがいたことは数あれど、こんなにも心を震わせる感情を持ったのは、況してや自分から想いを伝えることは初めてだった。


「ごめんなさい」


彼女から紡がれた言葉に思わず、体が強ばる。

なんとなくそんな気はしていたが、想像するのと現実になるのとでは天と地ほども差があった。


「何故か、教えてくれるかな」


僕はバレないように、急いで取り繕って、困ったように眉を下げて笑い、彼女に問いかけた。


「恋人は、つくらないんだ」


今はもう使われていない赤煉瓦でできた焼却炉を撫でながら、彼女は言った。


そう言った彼女の横顔が寂しそうに見えたのは気のせいではなかったのだと、今更ながらに思い出す。

もう、何もかも、手遅れだというのに。


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