再会
高まっていた気持ちも落ち着き涙も引いたその時後ろから声がかかる
「よう泣いとったな、赤ん坊でもそんななかんど」
振り返るとそこには鉄でできた阿修羅像みたいなのが立っていた
手3対あって顔が3つまさに阿修羅だ
「ばッ化け物!」
「おいおい!化け物はないやろわいやわい!」
真ん中の顔が鉄の仮面から人の顔に変わる、その顔はなんと修夜だった
「あっあんたか、驚かさないでくれよ」
「驚いたんはこっちや、いきなり大声だしよってほんま」
ふぅと一息ついた俺に修夜は優しく肩に手をおいた
「もう大丈夫や、研究所は俺達が潰したもう追っ手がかかることはない」
その言葉に俺はようやく心を休めた
「修夜、いや修夜さん本当にありがとうございました」
「ん?あぁかまへんかまへん」
「いやなにかお礼がしたいです」
あのまま一生あそこに閉じ込められると思っていたこの恩は返せるものじゃないが何かしたい
するとその言葉を聞いた修夜は待ってましたと言わんばかりの笑顔を見せる
「そうかそうか何かしたいか、おまえらでてきてもええど!」
その言葉に応じて四人の男女が降りてきた
顔が同じの男女とおれと同い年位の女の子そして白髪のオールバックの男性
おれは女の子とオールバックの男性に見覚えがあった
「稲穂?それにおじさん?」
俺の声が聞こえると女の子は下を向き男性は俺に近づいてくる
「久しぶりだね。凱くん」
おじさんの目にはうっすらと涙が浮かんでいた
「ってことは稲穂だよ…な?」
俺が稲穂を呼び掛けると勢いよく顔をあげ俺の胸に飛び込んでくる
「ごめんね、凱ごめん」
謝りながら泣き続ける稲穂、こんな姿ははじめてみる
稲穂が泣いている姿に感化されたのかおじさんも涙を流し始める
「本当によかった…そしてすまなかった、助けるのが遅れてしまった、本当にすまないと思っている」
何度も頭を下げるおじさん、俺はまだ事態を受け入れていない
「あぁ感動の再開に水差してわるいけど、財前のおっちゃんそろそろええか?」
「あっあぁそうだなそろそろ本題にいかなければ」
おじさんは涙を拭い真剣な顔になる
「突然だが凱君、君を我々の組織にスカウトしたい」
「組織?]
おじさんの会社のことか?
「あぁ組織の名前はヘパイストス鋼鉄人種を守るために我々が作った組織だ」
会社ではないようだでもおかしいおじさんは普通の人間だ
「鋼鉄人種を守る?なぜそんな組織をおじさんが?」
そう聞くとおじさんはすこしうつむき拳を強く握った
「3年前のあの日君が政府に連れていかれたあの日から私はあれほど自分の無力嘆いたことはない、それから私は君を取り戻すために何でもした政府にも頼んでみたが受け付けてくれなかった、だから私たちは私たちの力で君を取り戻すと決めたその結果生まれたのがヘパイストスだ」
「私たちは強くなったあの頃の弱かった私たちではない」
おっちゃんが喋り終わると今まで俺の胸で泣いていた稲穂が顔をあげ俺の背後を見つめる
その時ドスンドスンと音をたて巨大な警備ロボが姿をあらわした
その姿は大きいが俺達を苦しめた警備ロボそのものまた膝が震える
「どいて」
俺を押し退け警備ロボにまっすぐ歩いてく稲穂
「まっまて近づくな稲穂!」
止めようとした俺を修夜が羽交い締めにしてとめた
「なにすんだよ!このままじゃ稲穂が!」
「大丈夫や、あいつはそんなやわやない」
何をいってるんだこいつはあんなの人間が勝てるわけない
止めにいきたいが修夜の力が強すぎるのと俺が3年間の拘束で弱ってるためか外せない
「ダッソウシャカクニン、コレヨリカクホニハイルジャマスルモノハハイジョスル」
稲穂はポケットからグローブのようなものを取り出し手にはめる
「これは3年間の凱の苦しみ」
警備ロボの足に高速で近づき正拳突きを食らわす
ロボの足が本来と反対方向に曲がり千切れ飛んだ
「これは3年間凱に会えなかった私たちの苦しみ」
残ってる反対側の足を殴り飛ばす
「最後にあの日凱が連れ去られた時の私の痛みだ!!」
落ちてきたロボにアッパーをかましてロボを爆発させた
「嘘だろ」
「ほらゆったやろ」
羽交い締めを離してポンと背中を押された
上空から散ったロボの破片が粉々になって落ちてくる
それを全て避けながら稲穂は俺にかけより抱きついた
「3年間苦しかった…ずっとこうしたかった、もう離さない」
「稲穂…いてぇよ」
弱った体にあのロボを倒した怪力が襲いかった、体からビキビキと悲鳴がなる
「我慢して…もう少しこのまま」
稲穂の肩は少し震えていて、さっき巨大ロボを吹き飛ばした女の子とは思えなかった
俺は静かに稲穂を抱きしめる
三年ぶりの体温を確かに感じながら