脱獄の涙
壁に大穴を開けた男は吹き飛んで変な体勢になっている俺の顔をじーとみて、にやりとわらった
「お前進道凱か?」
俺がうなずくと男はガハハハッと豪快に笑い俺の肩をたたく
「そうかそうか、お前が進道凱か!いきなりビンゴやったんやな」
「何がビンゴかはしらないが、起こしてくれよ」
手錠が邪魔でうまく立ち上がれない
「あぁずっとそうしてるからそうゆう体勢がすきなんかとおもっとったわ」
「そんなわけないだろ手錠と足かせが邪魔なんだ」
男は手錠を見てあぁ~と納得して驚くことに素手で手錠と足かせを破壊した
「よしこれでにげれるやろ」
「あぁ感謝するよ」
男は俺のうでをつかみひょいと立ち上がらせた
「この森真っ直ぐ走ったら街がみえるわ、その先でワイの仲間が待機しとるそいつら頼れ」
「あんた何ものだ?」
「ワイは修夜、お前とおんなじ鋼鉄人種や」
名乗ったと同時に証替わりか両腕に鉄をまとわせた
「63839番何をしぐっ!!」
爆発音を聞きつけてきた看守やって来たが吹き飛んで壁に激突した
男の背中から急に生えた鉄の腕によって
「ん?なにハトが豆鉄砲くらったみたいな顔して」
「せなっ背中から」
「これかいな、そうかお前はまだできんかまぁ特殊能力みたいなもんや」
鉄の腕をわしゃわしゃとうごかす修夜そんなばかなといおうとしたその時
ビービーと急に警報がなりひびいた
どうやら吹き飛ばした看守が警備システムを発動させたらしい
ぞろぞろと集まる警備ロボと看守達、そんな後景を見た修夜は俺を掴んで外に投げた
「走れ!ワイはやることあるさかい」
俺はうなずくと礼いってから森にはしった
「ありがとう、この恩は忘れない」
「かまへんかまへん、ワイも仕事やさかい」
それから俺は走った、ただ走り続けた、あの地獄に戻りたくなかったから、枝が当たり傷ができてもお構いなしに走り続けた止まらなかった、止まれなかった
止まってしまったら連れ戻される気がしたから
どれだけ走ったかわからないがいつしか森を抜け小さな丘にたどり着いていた
「光だ」
まだ遠いが丘になっているからか遠くの町の夜景がみえ、あまりの眩しさにめを細める、そして頬に暖かい何かが通った
つかまってから3年、3年ぶりにみる町の光にいつしか俺は涙をながしていた
「ぅ…うぁ……あぁああぁあ!」
膝から崩れ落ち、子供のように泣きわめいた
安堵の涙、涙などとうに枯れ果てたとおもっていたがどんどんあふれでてくる
そのまま大声で泣き叫び続けた、まだ奴等がいるかもしれないだが涙が止まらない、心の叫びが収まらない