Valentine's kiss
「ちゅうしたいよ〜!!」
寒空の下、こんなイケないこと口にしてる私は、明くんの彼女です。
「あっくん、今日からよろしくね♪」
そう口にしてから早いものでもう半年。
最初は小さなかけらだったのが、今ではもう大きい大きいたくさんの想い出に…♪
初めてデートした日も。
初めて名前で読んでくれたあの日も。
初めて手をつないだ日だって。
私にとっては君と過ごす毎日が、宝物。
だけど一つだけ…
「何であっくんはちゅうしてくれないの〜…」
私は愛されてないのかなぁ…。
「じゃあ自分からすればいいじゃん!」
「出来ないよーそんなの!!恥ずかしい〜」
「じゃあちゅうしてってお願いしなよ。」
「嫌だって言われたらぁ?!」
「は〜ぁ…もう知ーらない!」
友達にも見放されちゃいました。
もうすぐバレンタインデー。
私は、ある作戦を決行することにしたのです!!
「題して…バレンタインキッス大作戦!!」
我ながらなんて単純な…。
でもでもでもでもそんなの関係ね〜!!
「何それ何それ?ウケる〜!」
「ウケないよ!!私は真剣なの!では、行ってきます!まずはフォーメーションA〜♪」
「明くん、帰〜ろ♪」
まずは、帰り道に公園に寄って、ベンチに座るの♪
そしておしゃべりが途切れたら…チャ〜ンス!
「あ!公園だ〜懐かしい〜寄ってかない?」
「…何で?公園で何すんの?」
…フォーメーションA、失敗!!
でも、負けない!!
「じゃあ俺ん家行こ〜よ。」
およよ♪
「行く行く行く〜!!」
「テンション高いよ…」
本文;
これはチャンスです!!フォーメーションBですでに目標達成かもだよ♪♪
思わず勝利の確信を感じて送信しちゃいました!
でも…
今まであっくんの部屋には、何回も行ったことあったんだよなぁ。
でも…
二人っきりでいたって、別に何もなかった。
今日もいつもと一緒なのかなぁ…。
「あ、リップ塗り直そう〜♪このリップすごい潤うんだぁ!!」
「へ〜ぇ。」
負けない!!
「あ、ガム食べる〜?」
「あ〜ありがとう。」
手強い…!
「ね、ねぇねぇ〜見て〜可愛くない?このページに載ってる女の子!」
「どれどれ〜?」
よし!
これで顔が近づいて…♪
「そう?別に普通じゃない?あ、何か飲み物持ってくる〜」
「あ、ちょっと…!!」
私にはやっぱり…
魅力がないってことなんだね。
「コーラしかなかったんだけど平気〜?…って、どうしたの!?何で泣いて…」
「……。」
もう出来ない。
バレンタインキッス大作戦は完全に大失敗だよ!
「雛…?」
「……。」
「ひ〜な!いいこ、いいこ〜。」
「…あっくん、好き〜!ちゅうしてー!!!」
あっくんは、優しく笑ってくれました。
それからいつもは絶対してくれない、ぎゅ〜っもしてくれた。
「あっくんの心臓の音がする…。」
トクトクトク♪
「あたしと一緒♪」
「俺だって、緊張してんの。恥ずかしいんだよ!!」
その綺麗に整った顔を真っ赤にする君。
「じゃあ雛のこと好き?雛とちゅうしたいって思ってた?」
「…大好きだよ。好きに決まってるじゃん!!」
ドキドキドキ♪
どんどん早くなっていく君と私の鼓動が、愛しい。
「…ちゅうは??」
「大事だから…だから。俺だって別にしたくなかったわけじゃ…」
「大事だから?」
魅力がない、
愛されてないから、
じゃなかったんだ。
「じゃあこれからは大事って思った分だけ、ちゅうして♪ね?分かった?」
「うん、分かった。」
──2月14日。
「はい、あっくん!!チョコレート♪」
「ありがと。」
………チュ♪
「作戦大成功♪えへ♪」
「何か言った?」
「ううん、何でも!!それより早く♪もう一回♪」