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1.まずは移動しましょう
今日は“女性が手作りお菓子を思い人に渡すと愛が深まる日”です! 普段、なかなか恋が進展しないお二人にはこのイベントを利用するしかありません!
私は失礼を承知で明け方の3時、ルミリア様の寝室へ静かに入りました。
「おはようございます、ルミリア様」
ルミリア様に近付き小声で声を掛けます。ルミリア様は眠そうな顔で私を見てきました。
「おはよう……、今何時?」
「今は明け方の3時過ぎです」
「3時過ぎ? ちょっと起きるには早くない?」
ルミリア様は口元に手をあてて欠伸をしながらそう仰いました。
「確かにいつもより早いですが、これには理由があるのです」
「理由?」
「今の時間しか厨房に誰もいない時間が無いからです」
「厨房? え、どういうこと?」
「説明はあとでさせていただきます。今は、早く厨房に行きましょう!」
私はルミリア様を起こし、身だしなみを素早く整えるとルミリア様を連れ出しました。