とある黒猫の1日
実家にいる5匹の猫のお母さん視点で、書いてみました。
最終的に猫っていいよね!!って思っていただけたら幸いです(笑)
今日も私の家は騒がしい。
ドタバ走り回る子供。
万年発情期のように甲高く執拗になく子供
本当に去勢したのかと疑うくらい。
私の名前は、カギ。
目も開かない幼い頃に、この家に貰われてきた。
…というよりも、この家の親戚のオバサンが、
自分は飼えないクセに、この家の娘に押し付けたのだ。
私は、彼女達に感謝しているのだけれど。
なぜなら時々家に来て愚痴をこぼすオバサンの家は
とても窮屈そうなんだもの。
私の朝は毛繕いと、バカ息子を叱り飛ばすことから始まる。
朝っぱらから五月蝿い!!
とひとしきり追いかけ、噛みついて猫パンチをした後は、家人が起きてくるのをゆっくりと待つ。
幸い、水は湧き出るように1日中音がする機械から新鮮なものが飲めるし。
余談だけれど、コレを意気揚々と買ってきたこの家の家人
(例のオバサンに私を押しつけられた張本人)は、最初私たちが機械音を警戒して一口も口をつけなかったのを大変嘆いていた。
まぁ、そんなことは私の知ったことではないけれど。
私達は、自分が気に入ったものしか認めないし、理解できないものには近付きたくない。
なので、未だにそこから水を飲むだけで
「偉いねぇ、ありがとねぇ」
と、言われる。いい加減鬱陶しい。
でも、あなたたちもそうでしょ?
安全かどうかも分からないものに手を出したりしないわよね?
そういう意味では病気やノミが沢山ついてるかもしれない私を引き取ったこの家族はお人好しなのかも。
そんなことを水を飲んだり、家人の上でうつらうつらしながら考えて居たら
とても騒がしい音が響き渡る。
人間って本当に面倒ね。あんな大きな音がするものがなければ起きることすら出来ないなんて。
その音に娘たちも寝ぼけ眼で顔を上げる。
大抵みんな家人の布団だったり、図々しい子は
家人の上に乗っかって寝てたりする。
同じ部屋で寝てる家人はそのうちの誰かと目が合ったのか
「はぁい、ご飯ねぇ…」
と、自分も寝ぼけているのに食事の準備を始める。
ま、ただご飯の器にカリカリと、水の量を確認するだけなんだけど。
「しっかり食べて大きくなってねー」
なんてにやけた顔で言うけれど!
娘たちは、私の倍は大きいし、息子だって太ってはいないけどヒョロ長い。
これ以上大きくなられたら、こっちが困るのよ!!
と、恨めしげに見上げて見てもアイコンタクトの一つもできない。
まったく、嘆かわしい限りだわ。
しばらくすると、家の中がバタバタしてくる。
ご飯を食べるもの、着替えをするもの、洗濯にとりかかるもの。
そして、支度が済むとみんなが私達を撫でて出て行く。
セリフも毎回同じ
「行ってきます、イイコにしててね?」
大人しく撫でられながら、内心毛が乱れる!と
思ってるんだけど、ダメね。
結局、この家の家人が好きなんだわ。
最後に家を出る家人が、私に
「ご飯とトイレは終わった?私の部屋行こうか」
と声をかける。
私は、最初に匂いを嗅いだ家人の匂いが好きで、
彼女が仕事から帰るまで、彼女の部屋でお昼寝するのが日課
家から出たくないのかって?
勿論、出たくなる時だってあるわ。
実際、家人の隙をついて飛び出したこともあるしね。
いつもは感じることのないお日さまや風の匂いも、
足から伝わる土の冷たさや風に毛が撫でられる感覚も
どれだけ走り回っても起こられない自由さも
それはもう楽しくて仕方なかったもの。
でもねぇ、ある日のこと。
その日はなんだか朝から外に出たくてウズウズしてたの。
だから、家人が仕事に出る一瞬を狙って飛び出したわ!
そしたら、見事に外は雨。
最初は、水たまりに片足つっこんで騒ぐのも、
空から水が降る中走り回るのも楽しかった。
けど、気付いたら、自慢の黒い毛並みは泥と雨でボサボサ。
寒いし、お腹はすくし、もう最悪だったわ。
そしたら、家人達が探しに来てくれて、無事家に帰ることが出来たってワケ。
その後の事は聞かないで。温かい水でゴシゴシやられて大変だったんだから。
ま、それはいいとして。そこで、確信したの。
楽しい時間は、暖かい帰る場所あってこそ、ってね。
毎回ウルサイし、ご機嫌伺いの家人は面倒だけど。
結局、この家が好きなのね。
寒い日は、ヒーターの前陣取って
「カギちゃん達ちょっとどいてよー」
なんて情けない声を聞きながら、親子で丸まって暖かい部屋で過ごす、そんな冬の日が、とても心地いいの
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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