日常の中の非日常
今、若者に流行りの洒落たカフェに入った瞬間、客の視線を集める。
真っ黒で艶やかな髪は鎖骨の下で揺れ動いている。腰の位置は隣にいる店員の肋骨位の高さまであり、長い脚がピンクの春らしいふんわりとしたミニスカートから覗いている。
「見て!あの人!!」
「なんか…凄いよね!」
店内がざわつく。
どれを食べようかなぁ。
苺のパンケーキにしようかなぁ…?可愛いし、あーバナナチチョコのパンケーキもある…
この人には周りの声が聞こえないらしく、どのパンケーキを食べるか真剣に考えている。
メニュー表にはふわふわのパンケーキの上に苺と生クリーム、イチゴソースが輝いている。
バナナチョコはパンケーキにバナナとチョコ、生クリーム。
ここのパンケーキ屋は舌触りのよく、甘さ控えめの生クリームが美味しいと有名である。
そのせいか、お店に入るために一時間も並んだ。慣れないヒールを履いているせいか、足が疲れてきている。
んー迷うなぁ
うん。決めた。
「店員さーん、苺のパンケーキと、バナナチョコパンケーキください。あ、クリーム多めで」
女子とは思えない量を頼む。
その姿に店員は頬をひきつらせながら応答する。
「はい。お飲物はいかがなさいますか?」
コーヒーにするか紅茶…
「コーヒーで。」
「はい。」
んー楽しみ!
私、パンケーキ大好きなんだよねぇ。美味しいし、可愛いし!食べているだけで女子力を感じる!
「お待たせいたしました」
ことん。と置かれたのはパンケーキ!
ああ、パンケーキが私を食べて♡と囁いている。
ふわふわのクリーム、艶々と輝くイチゴシロップ。私を誘惑してくる。
勿論私は抗うことはできない。
うん!たべるよパンケーキちゃん!!!!
「頂きまーす」
まずは苺のパンケーキからナイフを通す。バターの香りが鼻をくすぐる。
口に含めば苺のソースの甘酸っぱさ、パンケーキの甘さがぴったりと合っていて美味しい!!
次はバナナチョコパンケーキ。定番なパンケーキだけど、やはりとても美味しい。
流石有名なだけあってとっっても美味しい!
んー
美味しかった。
御馳走様でした。
お会計を済ませ、店を後にした。
「おい、駿。あ。お前、また女装して…はぁ」
学校の友達、眞駒に呆れたような声をかけられた。
私、いや、俺の名前は駿。男子校に行っているれっきとした男である。
「いいだろ。別に誰にも迷惑かけてないんだし」
「まぁな」
女主人公だと思っていたが、実は男だった!!的な物語をかいてみました。
別に主人公は体は男だけど、心は女というわけではありません。
一人称が私だったのは女になりきっていたからで、いつもは“俺”と言っています。