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1-1-7 探し人
「この剣、ありがとうございました。怪我はありませんか?」
辺りの安全を確認した後、シグは少女に声をかけた。
少女は木箱の上に座ったままだったが、恐怖からか呆然としたような顔を浮かべていた。
ややあってから、焦点の合わないような目できょろきょろと辺りを見回しはじめる。
「あの、大丈夫ですか?」
もう一度声を掛けるが、聞こえているのかいないのかよくわからない。
少女は木箱から降りて立ち上がった。
そして、やはりキョロキョロと辺りを見回している。
「お母様……」
「えっ?」
「……お母様はどこ?」
そう呟いた後、少女の体がふらりと傾きだした。
シグは倒れそうになった少女を抱きとめる。
「だ、大丈夫ですか!?」
気を失っているのだろうか、揺さぶってみたが返事はなかった。
「一体、何なんだ……?」
わけがわからず、シグはそう呟いた。
1章完結です。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
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