六角家と浅井家の争乱
当時の近江は、北は浅井で南の六角の争いが続いていた。
しかし、浅井家の嫡男新九郎が家督を継いで以来
浅井が盛え六角が衰えてきている。
「実道殿、新九郎様の強さは中々のものでございますな。」
たしかに、久政の代の時に比べると家臣も一致団結している。
「野良田の戦いで見事な戦いっぷりを見せたものだ。それからと言う物
重臣の赤尾氏や海北氏らが新九郎殿に心酔しているそうだ。」
この戦、恐らく勝は浅井だろうな。
となると、早めに手を打っておくべき。
「兼義、この戦、新九郎殿勝ちだ。となると俺達は俺達の仕事をしなければならない。」
俺達、そう浪人党の仕事だ。
勝った国の国主と話し合い、大名の統括地ではなく
農民たちの自治区にしてもらうこと。
「この仕事が、なかなか大変なんですよね。」
実道の言う通り
大名側に取ってはこの交渉は損失になる。
そんなことを、好き好んでする馬鹿はいない。
「でも、少しずつ緻密な努力を重ねていかねば天下は変わらぬ。」
そう、誰かが何かを始めなければ何も変わらない。
変えていかなければならない
こんな悲しい世の中を。
「しかし、浅井は聞き入れてくれるでしょうか。」
不安そうに言う
兼義の意見はもっともだった。
俺達がここに来る前に加賀の国主
畠山氏が、農民の一揆で国を追われた。
我らからすると、この国初の農民自治国ができ嬉しく思った。
が、結局は朝倉氏に攻め入られた。
一つの国が変わったところでこの国は変わらぬ
それは、俺とてよく分かっている。
だから、我ら浪人党ができたのである。
「可能性は高くは無い。しかしほんの少しだけの領土を解法して
そこの自治を見守って欲しい。義理に厚い男と噂の新九郎殿なら
あるいは。」
ここから始まる
この国の変化が
「それなら、小谷城へ行きましょうか。」
俺達の戦いが始まる。