その3:人が吹き飛ぶには41〜47kt(ノット)・20,8〜24,4m/s(メートル毎秒)必要
大戦により荒野となった場所に一軒の家がある。
主は『ギア=コールリッジ』先の大戦の生き残りの一人だ。
約175cmの身長で、オレンジの髪型に前髪だけ赤のメッシュが入っているのが目立つ。
そして眼も朱というオプション付きだ。
両親はともに先の大戦より他界。
兄は大戦の時、いきなり姿を消した。
―ギアの目の前で―
「兄貴はあの時、何があったんだろう…」
呟いてみるがその質問に答える者がいなかった。
分かってはいるがどうやら癖になっているみたいだな。
そう心の中で笑い、また黙り込む。
…ふと気づけば、誰かが近づいてくる気配がした。
いつの間にか集中してしまったためか、五感が敏感になっていたようだ。
その気配は家のドアの前で止まった。
ソレと同時にドアがたたかれる音がした。
「…俺に客人?」
珍しいな、というのは心の中で付け足した。
急いでドアに駆け寄るが、ドアに手をかけた瞬間、体が凍り付くような悪寒におそわれる。
…まずい!
直感でそう思ったギアはすぐに横の窓を破り、外へと出る。
地面に着地したのとほぼ同時に、すさまじい閃光と爆音がした。
その衝撃によりギアはそのまま数10m吹き飛ばされることになる。
そして岩に激突するが何とか受け身を取り、最小限に衝撃を抑えた。
「くっ!」
衝撃に思わず声を漏らす。
しかし、いつまでも岩に張り付いてるわけにはいかないので、すぐに起きあがる。
家がある方と対になるようにして岩陰に隠れ静かに銃を取り出す。
だが、家があると思っていたところには
……何もなかった…
「!!」
ギアが驚いて立ち上がると同時にどこからか声が聞こえた。
「あの距離からコレをよけるなんて…さすがにいい反射神経をお持ちですね。」