第41話 専任シェフにしようなんて思ってませんよ?
タイトル、どーでもいいですから、ご心配には及びません。(え? してない?
最近、話がなかなか進まず題名に困っているだけですから。
主人公の台詞になってたり、シリアス調になってたりと、統一性の欠片もないですが、何時の間にやら40話を超えておりました。前回投稿してから正しくそのことを認識したのですが、いまさら40話の後書き変えるのも面どっ、げふんげふん、大変だったので41話の前書きにてよくやるわ、と自分で自分に呆れ半分嬉し半分でやっております。
ここまで来れているのもアクセス解析でいろんな方が読んでくれているということを実感させてもらい、お気に入り登録していただいてもらっているおかげです。
今後ともどうぞ龍旅をご贔屓に
ではでは、本編をどうぞ
9月18日:不備により後書きの一部を削除
「はあっ!」
庭にエリカの威勢の良い声が響き渡る。
くれぐれもヒナには内密に、と言われたエリカは、その後何食わぬ顔で母屋の4人と合流した。正確には、今夜にもヒナに自分の口から伝えたいから、黙っていてくれというものだった。それを言うムラミツの表情は、どこか憑き物が落ちたような晴れやかなものだった。それを見たエリカは安心してそれを了承して母屋に戻った。
どうやらジャックが自らの武勇伝をヒナに語っていたらしく、ジャックのテンションが異様に高く、実際の熱とはまた違う熱気に満ち溢れていた。襖を開けた瞬間、「武勇伝武勇伝♪」という理解不能な踊りをジャックがしていたのを見てしまったのだが、理解不能で1度襖を閉めてしまったほどだ。
慌てたジャックがすぐさま弁解してきたのだが、エリカとしては面白いものが見れたので何か言いたそうな笑みを浮かべて無言で部屋に入る事にした。とりあえず、ジャックをいじるネタが出来たので、フィア、ジーンと裏が思いっきり表に出ているアイコンタクトをして、ジャックが床を転がりまわる光景を眺めていたのだ。
ジーンとフィアにはどうやら以前にも酔った勢いで見せてしまったようで2人は冷静だったがヒナはツボにハマったのか苦しそうな笑い声を上げていた。ジャックはエリカにだけは見せたくなかったのか、どうにかしてエリカに誰にも言わないようせがんできたのが、エリカには印象が深い。
その後、エリカはヒナとの特訓のために庭に出て鍛え直してもらったばかりの黒羽で技を習得しようと躍起になっていた。
「岩を斬ろうとするのではありません。そこにある空間を斬る、という感覚です。岩を斬るのに十分な威力を放つのはその手の人には簡単です。ですが、空間すらも斬るという事を心がければ、斬れない物などほとんど存在しません」
朝見かけた大きな岩を目標にして、エリカは黒羽を構えて立っていた。岩には無数の傷痕が付いているが、貫通するに至るものはまだない。
「空間を斬る、んですか……。出来るようになるのにヒナさんはどのくらいかかったんですか?」
少し息が上がってはいるが、限界には程遠い。
黒羽を一度鞘に戻して、大きく腕を回しながら岩ではなく、空間を斬るというイメージを頭の中で反芻させる。
ヒナはエリカの問いに少しの間を開けた。指を順に曲げているところから見るに、1年ずつ数えているのだろう。
「……そうですね、私が刀姫流を始めたのが5歳。実際に技を伝授してもらったのは15歳くらいでしたので、まあ技に関して言えば3、4年でしょうか」
「それをほんの数日でやれとは、またとんでもなく無茶な事をするわねぇ、エリカちゃん」
呆れたような声が母屋の方から聞こえてきて、そちらに顔を向けるとフィアが立っていた。
「少し休みましょう? 朝食の後からもうずっとやってるでしょう」
「そうですね、エリカ様、休憩にしましょうか」
「ふぅ、分かりました」
ヒナも刀を納めるとエリカを促しつつ母屋へと足を向けた。
「調子はどう?」
隣に並んだフィアがエリカにそう尋ねてくると、エリカは小さくため息をついて首を横に振った。
力任せに刀を振り回すのと、刀姫一刀流の立ち回りに雲泥の差がある事を改めて認識させられたのだ。今までのやり方で刀を振っていても、刀を砕くことは出来ても斬る事はできない。砕くだけなら鉄槌でも構わないのだが、エリカが求めているのはそのようなものではない。
「全然、ですよ。とてもじゃないですけど出来る気がしませんね。ヒナさんに丁寧に教えてもらっているんですけど、コツがちょっと……」
「すみません、私の教え方が悪いのかもしれません」
少し気落ちした表情を見せたヒナに、エリカが慌てて首を振った。
「ヒナさんのせいじゃありませんよ! あたしが下手なだけなんです」
そう言うと、今度はヒナが首を振る番になった。エリカが斬りまくった岩を指差しながら、ヒナは嬉しそうな笑みを浮かべて口を開いた。
「下手だなんて、謙遜にもほどがありますよ、エリカ様。2日で『飛ばせる』ようになるなんて、普通じゃあり得ませんよ? 何かきっかけがあればきっと上手く行きますよ」
自分の事のようにヒナは喜んでいる。
その笑みは、世界の膿を知らない純真無垢な笑みだった。この山奥で一切の俗世との干渉が無かったからこそ、ヒナが在るのだろう。ムラミツが必死になってヒナを守る理由が良く分かる気がした。
ムラミツはエリカにヒナの素性も全て話してくれた。
騎士団に共に戻るとなれば、いずれジーンたちにも言わなければならない事なのだが、エリカには事細やかに説明してくれた。
ヒナはムラミツ同様に獣人だ。そしてもちろんの事だが人狼だ。ムラミツと違って殺人衝動もないほどだが、人狼である事に違いはない。
ムラミツの妻、つまりはヒナの母親はムラミツが人狼だと知ってもそれを受け入れるだけの度量がある人だったそうだ。半ば駆け落ち気味に人の街を飛び出してムラミツの実家、この屋敷に逃げ込んで、夫婦になった。
ヒナは、そうして生まれた。
獣人であるムラミツの血を引いてやはり獣人であったが、別段文句をつけるような人間もここにはいない。兎にも角にも、ヒナは俗世間が持っている獣人への偏見にほとんど接していないのだ。話は全てムラミツからの又聞き、人に対してきっと多少なりとも疑心暗鬼になっているだろう。表情にはほとんど出ないが、先日の反応からもその兆候は窺えた。
母親は昨年他界したそうだ。もともと病弱だったこともあって、ヒナはムラミツと共に母親を看病しながら生活していた。生活のイロハもほとんどムラミツ仕込みであり、お父さんっ子になった理由も想像に難くない。
(ここを出ていくとなると、それなりに抵抗があるでしょうね)
そんな事を考えながら母屋の一室に戻ると、ジーンとジャックが机の前に座って何かを食べていた。朝からすでに5時間弱、昼食を食べる事も忘れて特訓に打ちこんでしまっていたようだ。
<何を考えているのか、想像に難くないのはこっちの台詞だ>
「アレックス、何時から心が読めるようになったんですか?」
机の下で丸くなっていたアレックスがジーンとジャックのように座ったエリカにそう呟くと、エリカは机の上におかれていた煎餅にパクつきながら小声でそう言って足でアレックスを小突いた。
<前にも言ったと思うが、顔に出過ぎるのだ。下を向いていれば良いというものでもあるまい?>
「今度からは上を向いてやります」
誰にも聞かれない、相手が耳の良いアレックスだからこその音量でエリカは屁理屈を言う。
とはいえ、気づけばアレックスはエリカにとって心許せる数少ない仲間の1人、いや1頭になっていた。エリカの正体を知り、なおかつ傍にいる事が出来る存在、両手の指で足りる数しかいない中で、普段から会話の出来る存在はさらに限られる。
バーバラは会いに行けばいるが、別段ジーンやフィアたちのように四六時中一緒にいるというのは案外少ない。ヴァルトは騎士団長、それこそ用事が無ければ会う事もままならない。
その点、アレックスはエリカがバーバラからモフモフ権なるものを譲渡してもらったが為に、ほぼいつもエリカに捕まっている。
おまけに頭が良い。
エリカにとって、アレックスはちょっとした相談役、ご意見番のような存在になっている。他愛のない事を語り合う存在は今のエリカにとっては三度の食事の次に大切な事だ。
「お先に頂いてる。エリカは特訓で忙しそうだったから呼ばなかったんだが」
「嬢ちゃんが食事を忘れてやる光景なんて、めったに見られるもんじゃねえからなぁ」
カラカラと笑うジャックは煎餅を摘まむと半分ほど口の中に押し込んでそこでようやく煎餅を割った。パリッという心地の良い音がして煎餅が真っ二つになる。
「朝食が少し遅かったですし、軽い昼食で済まそうと言ったのですが、これで良いと言われるので……」
「そう言えば、さっき母屋に戻ってましたね。あたしも貰います」
特訓の最中、エリカが集中している際にヒナが一度母屋に戻った時があった。今思えば丁度正午の頃合いだっただろうか。
エリカもジーンたちのように煎餅を手に取ると、まず手で2つに割ってからその片割れを口の中に放り込む。塩気のある旨味が口一杯に広がって、硬い触感と絶妙にマッチする。正直なところ、これだけでご飯が進みそうなほどである。残りを手早く口に頬張ると、返す刀の要領でその手を新たな煎餅へと伸ばす。
「しっかし、こんなものまで自家製とはな。改めてヒナさんは多芸だな」
煎餅をしげしげと見つめながら、ジーンが感心する。
刀姫一刀流、刀鍛冶トウキの後継者であり、物腰も丁寧、料理も絶品となれば、世の女性たちが嫉妬しまくるんじゃないかというほどだ。才色兼備もここに極めりと言ったところだろうか。
「騎士団にもヒナさんくらいなのがゴロゴロしていたら、良いんだがなぁ」
「とりあえず、騎士団の女性たちに謝りなさい、ジャック?」
ポロッとジャックの手から煎餅が零れ落ちる。何の気なしに言ったのだろうが、今のはどう聞いても侮辱としか取られないだろう。
だが、エリカには料理、と言う点ではジャックに賛成だった。さすがに口には出さないが、騎士団の女性たちは揃いに揃って料理が下手だというのだ。これは噂ではなく、エリカ自身の体験と、食堂の厨房で働く本職の人たちの情報を合わせたものだ。
フィアの料理、というのは正直料理ではない。一度だけ夕食を作ると言われて馬鹿正直に自室のテーブルの前で待っていたのだが、出てきたのは黒ずんだ物体だった。料理ではなく、事故が起こったとしか思えなかった。一部消し炭になっていたので、さすがに食べるわけにはいかず、何とかフィアにこの事故を説明して事なきを得た。それ以来フィアが料理の猛特訓をしてはエリカが試食と言う名の拷問に遭っているわけだが。
これは氷山の一角だ。
別段、料理が下手と言う訳でもない女性騎士にしても、騎士団が支給する携行食料が主食の者もいる。
だが、それよりも大きいのは、三食全て食堂で済ませているという原因だ。城でも王族の食事の次に美味いとすら言わしめる騎士団の食堂は女性たちから料理するという意欲を吹き飛ばしているのだ。自分で作っても必ず食堂の食事と比べてしまい、エプロンを脱いでしまうわけだ。
そういう訳だから、ジャックは自爆してフィアに睨まれているが、フィアとしても痛いところを突かれたので、あまり大きな声で責めていない。
まあ、フィアに限って言えば、最近はだいぶ改善されており、料理を名乗っても問題ないレベルまで来ている。それ以前までが長かったが。
「そ、それはそうとして、ムラミツさんは来ないのか? 朝から工房に籠りきりじゃないのか?」
ジャックが話題を変えようとヒナに向かって話しかけた。
お茶を人数分淹れて配っていたヒナは顔を上げて苦笑しながらお茶を乗せていたお盆を置いて自らも座った。
「鍛冶職人はほぼ1日中工房に籠りますよ。夕飯の時は釜の温度が下がらないように魔力で細工をしてから戻ってくるので、刀がおかしな形で固まらないように工夫しているんです」
「鍛冶職人は何を造っていようが、どこにいようが関係ねぇんだな。いや、尊敬に値するよ」
珍しく、ジャックが人を褒めている。
エリカ、ジーン、フィアの3人が意外そうな顔をしてジャックを見つめていると、視線に気が付いたジャックが恥ずかしいのか頭を掻きながら口を尖らせた。
「お、俺だって人を褒めることぐらいあるぞ。俺たちが思う存分剣を振れるのは一概に良い剣を造ってくれた職人のおかげだ。俺の剣だって、城が支給する鈍らじゃねえからな」
「その割には乱暴に扱うがな」
ジーンに指摘されてジャックは言葉を詰まらせた。
「そういうのは今言う事じゃねえだろう」
笑いが起こる。
のどかな、時間がゆっくりと流れるひと時だ。
そんな他愛のない会話をしばらくした後、エリカとヒナは再び特訓に戻った。と言っても同じ事の繰り返し、ひたすら刀を振っては改善を繰り返す。
結局、この日は「飛ばす」ところまでが限界だったようで、夕食になるまでこれと言った進展が起きる事はなかった。
「皆さんにお話があります」
そして夕食。
エリカにとっては待ちに待った時が来た。
今日の夕食はヒナが作った。父ムラミツに似て豪快な料理が多いが、その味は繊細この上ない。一口でエリカもその魅力に憑りつかれてしまった。
しかし、今、待っていたのはそれではない。待っていたのはムラミツの一言、エリカたちと共に騎士団に行くという話を、ムラミツからヒナに伝える事なのだ。
食事を始めてしばらくして、箸を置いたムラミツは姿勢を正してその場にいた全員を見渡した。食事時にしては珍しく神妙な表情をしているムラミツを不審に思ったのか、ヒナも山のように積んだ揚げ物に向けていた箸を置いた。
「ヒナ、これから言う事はお前の将来に関わる。よく聞いておいてくれ。騎士団の皆さんも、少しばかり耳をお貸しください」
「返してよ」なんて冗談が言える空気ではない。当然のことながら全員が箸を置いてムラミツに顔を向けている。
ムラミツは一度エリカと視線を合わせ、小さく頷くと大きく息を吸い込んでから口を開いた。
「私とヒナの身を、アクイラ騎士団にお預けしたいと思っております」
「「「「ええ!?」」」」
(まあ、当然の反応ですよね)
「父様! どういう事ですか!? 何のために私たちがここにいるかお忘れになったのですか!?」
そして、こちらも当然のように予測されていた反応。
ヒナは自分たちが獣人だということで人から差別されている事を知っている。自分の父親、強いて言えばトウキの一族がそれから逃れるためにこんな人里離れた山奥にいる事もだ。
だから、エリカにしても、ムラミツにしても、この反応は想定の範囲内だった。
「うん? ここにいなきゃいけない理由があるのか?」
ジーンに指摘されてヒナはしまったという顔をした。ジャックやフィアも、ヒナがかなり切迫した表情をしたので何事かという顔をしている。
「ヒナ、落ち着きなさい。今から説明するところだ」
「で、でも、いくらなんでも……」
その後の文句は言葉にならないほど小さくなってしまった。
「何か、人には言えない理由なら、我々は聞きませんが……」
ジーンも空気を読んでそう言うが、その意見はムラミツによって否定された。ムラミツは首を横に振ると、身体の前で右手を伸ばしてみせた。何をしようとしているのか理解したヒナはその手にしがみ付いて父親を止めようとする。
「駄目です! 見られたら、見られたら駄目です!!」
それをムラミツは空いている左手で遮ると、ジーン、ジャック、フィア、そしてエリカの順に視線を動かしていき、口を開いた。
「もし、あなた方にこれから見せる事実を見てなお、我々を受け入れる用意があれば、我々は騎士団の元に往きたいと思っております」
その瞬間、ムラミツはエリカにしてみせたように右腕を変化させた。相変わらず背筋が凍るような音をさせて腕が獣のそれに変わり、爪が鋭く伸びて皮膚が体毛で覆われていく。
事実を知らないジーンたちは一瞬息を詰まらせたが、それ以上に反応したのはヒナだった。
「な、なんてことをするんですか! 私たちがヒトとは違うと言ったのは父様ではないですか!? 私たちの正体が知られれば、殺されると言ったのも父様ではないですか!」
「ヒナ、この人たちはそんな事をする人ではない。それは、バーバラが証明している」
「っ! バーバラ、さんが?」
意外な名前が出たので、案の定ジーンたちは顔を見合わせている。だが、質問は置いておいて、今はムラミツの話に耳を傾ける事に集中することにしている。時折まったくと言うほど驚かないエリカに視線を向けては、あとでどういう事か説明してくれ、という視線を飛ばしてくる。
「彼女が今身を置いているのは、彼らの所だ。それが証明にはならないか?」
「そ、それは……」
黙ってしまったヒナをしり目に、ムラミツは変化した腕をジーンたちに見せつける。
「トウキの一族は見ての通り人狼なのです。バーバラがいるという事を信じて、私はあなた方にお願いをします。私とヒナを守ってもらえませんか? 騎士団に加わる代わりになりますが」
「……なるほど、吸血鬼がいるアクイラ騎士団なら、ということね」
腕を組んで考え込んでいたフィアがそう言うと、ムラミツが頷く。
「未だにお隣の国では獣人狩りが行われていることはご存じでしょう? 我々にもその手が伸びておりますゆえ、安全な場所を探しているのです。如何でしょう?」
「父様、いくらなんでも、無茶ですよ。私たちは最も人を殺している人狼なんですから」
人狼、という言葉にジーンたちが立ち上がりそうになったのは事実だ。
人狼と言えば、それほどまでに悪名高いのだ。
ムラミツはヒナの言葉には耳を傾けず、ただ騎士団の3人を見つめていた。
「……エリカちゃん、あなたは知っていたのでしょう? という事はあなたが事の発端?」
「まあ、そうなりますね。正確にはあたしとバーバラさんの共謀ですけど」
それを言うと、呆れたような表情をされる。
「まったく、とんでもない拾い物をしたようね……。ムラミツさん、ヒナさん、バーバラさんがそう言ってあなた方を騎士団に招いているのなら、私たちがどうこう言えるものではありません。それに、安心してください、私は獣人だろうがなんだろうが、一晩寝食を共にすれば仲間だと思ってますから。そこに人じゃない、とか獣人だから、とかいう考えが入り込む余地はありませんよ」
フィアはにっこりと笑みを見せた。
ヒナが信じられない、という表情ををしてムラミツを見ているが、ムラミツはただ静かに頷くだけだ。
「まあ、騎士団には何かと一癖も二癖もある連中ばかりだからな。今さら獣人が増えようと関係ないだろ。それに、俺としては料理の出来る女性が増える事は願ってもない僥倖だ」
ジャックが心底嬉しそうに言うと、ヒナを見た。
「ムラミツさんにしても、ヒナさんにしても、人を襲うような人じゃない事はこの2、3日で分かってる。おそらく、ヴァルト団長や、皆もあなたたちを快く受け入れてくれると思うぞ」
ジーンがにこやかに言う。その表情は、心から新たな仲間を迎え入れる事を喜んでいる顔だ。
「……だそうです、ムラミツさん、ヒナさん。どうしまっ……!」
エリカが最後に2人に問いかけようとして、途中で止まってしまった。
ヒナが涙を流していたからだ。
ムラミツがそっとヒナの肩を寄せ、優しく頭を撫でる。ヒナは身体をムラミツに預けて嗚咽を漏らしている。
「い、いいのです、か、父様? 私たち、が、えぐっ、外の世界に出て、も?」
「ああ、良いんだよ。私たちも人並みの幸せを得ても、な。少なくとも、彼らは私たちを受け入れてくれる。外の世界には、何も色眼鏡をかけた連中しかいないわけじゃないんだ」
エリカたちはただ黙ってその様子を見つめていた。
おそらく、これは2人にとって大きな一歩なのだろう。敬遠されるのが怖くて、恐れられるのが嫌で、踏み出せなかった一歩だ。
「本当によろしいのですか?」
ムラミツが顔を上げてフィアに尋ねると、何を今さら、という表情をフィアがしてみせた。
「もちろんですよ。歓迎しますよ、ムラミツさん、ヒナさん」
そう言うと、ついに感極まったのか、ムラミツの頬にも光る物が流れた。
イィッヤッホーウッ!
天界から悪戯天使が舞い降りた感じでもってぇっ!
…
……
………
どうも、作者のハモニカです。
え? テンション差激しい?
いや、最初のは私がようつべにて偶然見ていたアレですからお気になさらず。ええ、アレです、アレ。分かる人だけ分かればいいんです。ぶるあぁ。
それはそうと、
ヒナ と ムラミツ が 仲間に なった !
みたいなテロップが流れそうですね。
さてさて、この後どうなる事やら。
ではでは、ご感想などお待ちしております。
ノシ




