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第39話 またまた知らない所で事態が動く



「いただきます♪」


ヒナとの壮絶な戦いを終えた後、彼女は別段疲れた様子もなくそのまま夕食の準備へと向かった。その際真っ二つにされた木刀の柄がある方をヒナに手渡したのだが、ヒナの手は当然と言えば当然ながら非常に鍛えられていた。


か弱い女性の白い肌には不釣り合いな肉刺まめを指や手の平に作っていたらしく皮膚が分厚くなっていて硬かった。


どれほどの間、ヒナが刀と付き合ってきたかを物語っていた。


エリカはヒナに勧められて母屋にある大きな風呂に入っておいた。ヒナとの手合せで土で汚れた上に、汗もかいたので、着てきた服をヒナに預けて湯船に浸かった。同じ運動量と思われるヒナが汗の一滴どころか息も乱していないのには驚かされたが。


ちなみに、手合せの後、男の象徴を木刀で殴打されたジャックはものの数分で復活した。不覚にもエリカはジャックがセーフティパットを付けていることに気が付かなかったのだ。


馬車の御者が座る場所は硬く、緩衝剤となるものが無いと尻が痛くなるそうだ。まさかそれが命を救ってくれるとは思わなかったと、冷や汗かきながらジャックは言っていた。


夕食の時間までに風呂を上がったエリカは、着替えの服を着ようとして少し困った事になってしまった。着替えと言うのは、ヒナに渡された浴衣の事で、当然のことながら着方などエリカは知らない。腰に巻く帯など、エリカは適当に巻いて解けなければ良いと考えて硬く結んでしまったほどだ。さすがにそのまま部屋に戻ったらフィアに文句を言われながら巻きなおされる羽目になった。


「あむ、……美味しいです!」


そんなこんなとちょっとしたハプニングはあったが、無事エリカは夕飯にあり付くことが出来た。


ヒナが今日のために、と言って作ったのは、エリカが騎士団の食堂で見慣れていたものとは全く異なった文化から生まれたもののようだった。


魚や野菜が中心で、全体として油の少ないさっぱりとした味付けが多い。


そのためか、量が食べられる。


瞬く間にエリカの目の前の大皿に並んでいた野菜や魚の天ぷらがエリカの口の中に消えていく。


「お口に合って良かった。ですがエリカ様、こちらの天つゆに浸すと、美味しさが2割増しですよ」

「なんと!?」


「はっはっはっ、細い身体のどこにそれだけ収めておるのやら……」


ムラミツの家では、食事は家族全員、客がいるのであればそれも含めて、全員で1つのテーブルを囲むことがならわしになっているそうだ。


長方形のテーブルの上座にムラミツが座り、そこから左右に分かれてエリカ、ヒナ、フィア、ジーン、ジャックと座っている。


最も料理の減りが速いのはエリカの前とジャックの前だ。ジャックもエリカに負けぬ大食漢だ。こちらは食べた分大きくなるという違いはあるが。


「エリカって、本当に何食っても平気だよな」

「んく、……ぷはっ、こんな美味しいものを食べ残すなんてありえません。あ、ジーンさん、そっちの大皿取ってください」


エリカはジーンの前にあった大皿を指差しながらお椀を持ち上げご飯を口の中にかき込む。


「お気に召して本当に良かった。娘の料理は天下一品、文句を言うなら叩きだそうかと思いましたぞ」


にこやかにそう言うムラミツの顔には厳格さの欠片もなかった。オンとオフのギャップが大きく、エリカたちは相槌の微妙な笑みしか出てこなかった。


「それはそうと、エリカ様は刀姫一刀流を学んで下さるとか。それならヒナをお貸しいたします。明日から朝から晩まで使い倒して貰って構いませんよ」

「ちょ、父様! 私は新刀を鍛えなければならないんですけれど……」


不服を申し立てるために腰を浮かせたヒナがムラミツに向かって頬を膨らませる。昼間のお淑やかさもどこへやら、子供のような仕草を見せる。ヒナもオン・オフがあるようだ。


ちなみに2人のオン・オフのスイッチは酒だ。エリカとジーンの前にだけお茶が置かれており、残り全員は酒を飲んでいる。ジャックが喉を鳴らしながら酒を胃の中に文字通り流し込むと大きく息を吐いて目の前のジーンが顔をしかめている。


ムラミツは小さなお猪口に酒を入れると、クイッと口の中に投げ込むかのように酒を飲み、ヒナに視線を向けた。


「二兎を追う者一兎を得ず、だ。刀は私とお前で鍛えれば良い。2人で2倍速とまではいかんが、不眠不休ならどうとでもなろう。お前がエリカ様に刀姫一刀流を教え、その間、私がエリカ様の折れた刀を修復する。2、3日で修復させるから、見事エリカ様に刀姫一刀流を叩き込め」


「そんな無茶な……」


1つの流派をたったの3日で教え込めというのだ。それがどれほど無茶な事かは、言っているムラミツでも分かっている。


だが、ムラミツはエリカたちの都合も考慮した上でそう言ったのだ。大会を20日ほど先に控え、1週間しかここに留まれないエリカたちにとって、1分、1秒が大切になる。


「首都からエオリアブルグの首都まではおおよそ4日、早馬ならばその限りではないだろうが、刀を鍛えるだけでも予定がギリギリなのだ。そこに刀の修練まで入れるとなれば、致し方あるまい? エリカ様にも、一汗と言わず、二汗、それ以上に頑張ってもらいたいが、よろしいですか?」


「もちろんです。3日と言わず、2日でものにしてみせますよ」


エリカがジーンから大皿を受け取りながら笑顔でムラミツにそう言うと、ムラミツも頬を緩めた。


「それは心強い。これで私は憂いなく刀の修復に打ちこめます」

「そういう事なら、私も文句は言えません。エリカ様、明日は3時起きです」


「はいはい~、……え?」


エリカの表情が凍りついたのは無理もない。















翌日の明朝、まだ太陽も上らず、空が徐々に薄明るくなってくる頃、エリカはヒナに静かに起こされた。むろん、隣で寝ているフィアを起こさないためだ。アレックスは起きてしまったので、エリカはアレックスを連れてヒナの後を追って外に出た。


庭にはすでにヒナが木刀を持って立っており、エリカが庭に来たのを見ると、木刀を投げ渡してきた。


「おはようございます、エリカ様。昨日はああ言いましたが、大丈夫ですか?」

「も、問題ありません。寝落ちしたらたたき起こしてください……」


さすがに、少しばかり意識が眠気に引っ張られている。自分の意志とは全く関係なく、視界がぼやけていく。早起きには慣れたつもりだったが、太陽が昇る前に起きたのはこの身体では初めてだ。瞼が鉛のように重く感じられる。


「そうですか……、なら眠気を吹き飛ばすのが良いですね」

「えっ――――――っ!!」


刹那、強烈な風がヒナを中心に吹き上がり、風に乗って重苦しいプレッシャーがエリカに覆いかぶさってきた。眠気などあっという間に吹き飛ばされ、エリカは条件反射で木刀を構える。


庭の小石や砂が風に巻き上げられてエリカの顔を直撃するので、痛覚を伴ってエリカの意識は眠気から解き放たれることになった。


「ふふ、眠気は飛びましたか?」


しばらくすると何事もなかったかのように突風は止み、中央にいたヒナは笑みを崩さず歩み寄ってきた。


「ね、眠気どころの話じゃないですよ……。なんだったんですか、今のは」

「簡単な風の魔法ですよ。作り出した風に気を纏わせ、風に乗せて相手に放つ。ちょっとした相手だったら威嚇程度にはなりますよ」

「ちょっとした相手って……。気を失う人もいるかもしれないくらいですよ」

「でもあなたは立っている。それくらいしないと眠気飛ばないんじゃありません?」


確かに、寝起きが弱いエリカは今でこそ定刻に起きられるようになってはいるが、やはり寝ぼけていることがままある。


それ以前に関してはフィアによって朝から炎と水のコンボ攻撃を喰らっていたのだ。自分がもう少しましな方法でも眠気を覚ませるという自信はエリカにはなかった。


「はあ、まあ眠気が覚めたので問題ないか……。では、今日は何を?」

「朝食前には切り上げますので、基本的な事だけを」

「朝食前? 朝ごはんはヒナさんが作るんじゃないんですか?」

「我が家ではご飯は交代制なんです。昨日は私の日、今日は父様がする日、もちろん、お客様がいる時はお客様にも台所に立ってもらいますよ」


(嫌な予感がする……)


何やら、自分の身に重大な危機が近寄っているような気がしてならない。だが、その正体が何の事なのか分からないエリカはただその見えない脅威に冷や汗をかく事しかできなかった。


「なので、思う存分鍛錬出来ますよ」

「……ちなみに、ムラミツさんの料理の腕前は?」

「ふふ、私に料理を教えたのは父様ですよ」

「なら安心!」


とりあえず眼前の不安は解消された。


それほどに、昨日のヒナの料理は美味しかったのだ。夕食の後、酔ったジャックがムラミツとジーンを巻き込んで飲み会を始め、ムラミツも前祝いだと言って騒いでいたのが記憶に残っているが、その間食器をエリカ、ヒナ、フィアで片づけながら夕食の料理のレシピを興味津々でエリカは聞いていた。


もちろん、自分が作るのではなく、騎士団の食堂のレベルをさらにアップさせるのが目的だ。


「エリカ様は、基礎的な能力に関して言えば文句なし、むしろ有り余るほどの潜在能力を持っています。私も教えるのは技だけになりそうなほどにね。なのでとりあえず刀姫一刀流の基本的な戦い方からやりたいと思いますね」


切っ先を下げてた木刀を持っている右手も含めて真っ直ぐに伸ばす。


「刀姫一刀流は、自分よりも体格的なアドバンテージのある、またはドラゴンのような大型な生物を相手にする流派に移行したことは、昨日お話しましたね? なので、エリカ様に実際に私が見せるというのは無理があるので、丁度いい的を用意しました」


ヒナはそう言うと庭の一角を指差した。エリカがその指が指す方向へと視線を動かしていくと、昨日の夜まではなかった大きな岩が庭に置かれていた。どうやら引きずってここまで運ばれたらしく庭には岩を引きずった跡が残されている。


「これ、何時の間に……」

「今朝、いえ昨夜と言うのが良いでしょうか? 岩に縄をかけて2キロほど」

「ヒナさんって、十分人外に近いですよね……」


何気なく言った言葉だった。


だが、言った瞬間ヒナの表情が暗くなったのを、まだ暗い中ながらエリカの目は捉えた。明らかに、表情が歪んだのをエリカは見た。ヒナ自身はエリカにはこの薄暗さの中で見えていないと思っているのか、その表情を少しの間静寂と共にしていた。


「あの、ヒナさん?」

「あっ、すみません。ちょっとボーッとしてました。ではまずはお手本を見せますね」


明らかに、何かを取り繕おうとして言った言葉だ。エリカ自身、隠し事をよくする、というよりし続けている為かそういう事に敏感になったのかもしれない。


とはいえ、それは今言うべきことではない。


今はヒナが教えてくれる事を完璧に体得することがエリカにとって最優先事項だ。


<人には、人には言えない秘密事の1つや2つ、あって当たり前なのだ。余計な詮索は相手に距離を取らせてしまうきっかけになってしまう>

「……どうも同じような・・・・・隠し事のようですが、ね」


ヒナには聞こえないようアレックスにそう言う。視線はヒナの動きから決して離さず、エリカも先ほどの事は頭の中から排除してしまう。


「続きをお願いします」















「……誰か、来ているの?」

「おや、誰かと思えば君か」


ムラミツは意外そうな表情をしながら顔を上げた。


折れた刀を鍛え直すために土蔵のような場所で刀を高熱の窯の中に突っ込み、折れたもう半分の片割れとくっ付けては叩き、熱しては叩く事を限界まで繰り返す作業をしていたムラミツの前に、エリカたちとは別の客人が立っていた。


「久々に来てみれば、表門からは入れないし、ヒナはこっち・・・にいないし、あなたは忙しそうだし、何、また暇つぶししてるの?」


土蔵の扉の近くに立っていたのはバーバラだった。


大きなバックを1つ持ち、日差しに当たらないように目深に被っていたローブのフードを捲し上げると、少し笑みを浮かべながらムラミツに近寄った。


ムラミツは刀を打つ手を止めずに耳だけをバーバラの言葉に傾けているようだ。


「表門から入れないようにしたのは客人がいるから。ヒナがいないのはその客人に刀姫一刀流を伝授しているから。私が忙しいのは客人から請け負った仕事をしているから、だ。君こそ、こんな所まで来るなんてよっぽど暇なのかな?」


一瞬手を止め、ムラミツはバーバラに視線を向けた。


「久しぶりだな、バーバラ。15年ぶり、と言ったところか?」

「まだヒナが小さかったから、そのくらいかしら。元気そうね、ムラミツ」


持っていた荷物を置き、近くに置いてあった椅子を引っ張ってきてムラミツの顔が見える位置にバーバラは座った。


「依頼、か。どこぞの物好きな貴族かしら?」


土蔵に置かれた水が入った壺に近くにあった湯飲みを掴んで水を掬うとそのまま口の中に流し込む。そしてプハーッと息を吐きながら頬を緩める。


「いや、少女だよ。この国のドラゴンスレイヤーだそうだ。私は北の情勢に疎いから詳しい事は分からんが。それよりバーバラ、そこの水は飲み水じゃないんだが?」

「なら湯飲みを置いておかないことね。この山の水は上手いんだから。さらに言えば、その少女って、もしかしてエリカという名前?」


そこでムラミツの手が今度こそ完全に止まった。中途半端に刀が冷えないように灼熱の窯に放り込むと、バーバラに向き合った。


「……なぜそう思う?」

「やっぱり、そうなのね。いや、知り合いよ、100年来の」

「100年来? 君はともかくとして、ではあの少女も?」

「いや、私たちとはそもそも種族からして違うから。あの子はドラゴン、とでも言えばいいかしら」


ムラミツの表情が凍りつく。案の定の反応をしてくれたムラミツにバーバラは笑みを深めた。


「まあ、人間に敵意はないから、大丈夫よ、多分」

「最後に付け加えるな……。まったく、君の周りにはまともな人間はおらんのか?」

「あなた、自分の事言えてるの?」

「……減らず口を」


メキメキと言う骨が捻じ曲がるような音がしてムラミツの手が変形していく。爪が伸び、手の甲がヒトのそれとは思えないほど毛深くなる。


俗にヒト族と呼ばれる種族には、通常のヒト、特異な能力を持つ獣人、セリアンスロピィと呼ばれるヒト、これには吸血鬼なども含まれる。


ヒトならず者として、社会から敬遠され、時には奴隷のような扱いを受け、迫害されてきた獣人は、今ではその人口を大きく減らし、生き残った獣人たちも山奥などに隠れひっそりと暮らしているのがその大半だ。


獣人は、ヒトと他の動物が融合したヒトと考えられてはいるが、詳しい事は未だによく分かっていない。そもそも獣人はヒトなのか、という議論すらあるのだから、目も当てられないのだ。


獣人には2種類ありヒトが獣になったのか、獣がヒトになったのかで分けることが出来る。後者は人語が話せないというのが判別基準となる。


前者は普段はヒトの姿をしているが、意図的、または無意識的に獣の姿に変わる者たちだ。こればかりは隣にいても獣にならなければ分からない。ボロが出て数多くの獣人が無意味に虐殺されたのは決して遠い昔の出来事ではない。今でも差別意識は残っている。


「まあ、初めて見た時から普通の人間じゃあないとは思っていたが……。では、これは……」


ムラミツはエリカから渡された黒鱗を手に取ってバーバラに見せた。


「ああ、彼女のね。私のサーベル覚えてるわよね? あれと同じ材料よ」


自分の剣をローブの切れ目からムラミツに見せると、ムラミツは小さく頷いた。


「その妙に黒い剣か。細い癖にそこらの大剣以上の強度を誇っていたな。なるほど、こいつを混ぜて鍛えられていたのか……」


ムラミツはしげしげと黒鱗の破片を見つめる。


その手は毛むくじゃらになったまま、まだ戻っていない。


それを見たバーバラは顔をしかめてムラミツの手を指差した。


「戻したほうが良いわよ。私と違って、あなたたちは戻れる保証、ないんだから」

「ふっ、会う度にそう言われている気がするよ。私はもう年老いた狼だ。いつ自我を失おうが、全てはヒナが引き継いでくれる。問題あるまい? まったく、不老の君が羨ましいよ」


ムラミツがそう言うと、バーバラは少し淋しそうな表情をする。少し顔を俯けて椅子の背もたれに寄りかかる。


「長生きも良い事ばかりじゃないわよ。知り合いが皆先立つのを見るのは、やっぱり淋しいわよ。先代にしてもね」

「君は、私が子供の頃からちっとも変わっておらん。君以外には、刀姫一刀流とトウキを見届ける事が出来る者はおらんだろうな。しかも、よりにもよってトウキの一族は人狼だからな」


腕を元に戻すと、再び窯を開けて熱せられた刀を取り出した。すでに折れる前の刀の形には戻っており、真っ赤になった刀身を再び叩き始める。


人狼とは、獣人の中でも凶悪とされる種族だ。


強い殺人衝動を持ち、獰猛な性格に変容してしまうため、少し前までは討伐隊まで組まれていたほどだ。その殺人衝動に飲みこまれれば、身も心も狼になってしまうという恐ろしい性質まである。


「私なら、噛まれてもそう簡単には死なないからねぇ」

「そう言ってくれるな。私の父がした事は本当に申し訳ないと思っている」


バーバラはムラミツの親の代からトウキというこの家と付き合いがある。世界を流れ流れていた時に、偶然出会ったのだ。同じ獣人仲間だったからか、すぐに意気投合してムラミツの両親の結婚、出産、、死別まで見守った仲だ。


「首の骨が折れるかと思ったのは、あれを最初で最後にしたいわ」


そんな仲であったが、ムラミツが幼少の時にムラミツの父親は殺人衝動に飲みこまれた。まず母親をかみ殺し、ムラミツにも襲い掛かろうとしたのをバーバラが庇ったのだ。そして、バーバラが父親に最後の一太刀を浴びせた。今でもあの光景は忘れようがない。


「ムラミツ、あなたまでそうはならないでよね? 親子を手にかけるなんて、ご免よ」

「安心しろ。君やヒナに手を出すことになれば、私は自刃してやる」


不敵な笑みを浮かべるとムラミツは刀をひっくり返して反対側を叩き始めた。


「それくらい意志がはっきりしてれば大丈夫そうね。さてと、それじゃ私は帰りますか……」

「おや、泊っていかんのか? 知り合いもいるのに」


ほっぽり出した荷物を持ち上げると、バーバラは苦笑しながら出口に向かった。


「忙しそうだしね、また出直すわ。元気でね」


バーバラはそう言うと土蔵から姿を消した。


後にはムラミツと刀を叩く甲高い音が残されることになった。


「……まったく、素直じゃないところも変わらんな」





どうもどうも、作者のハモニカです。


刀の銘の件は、まだ少ないですが候補が上がり始めております。まだまだ決めかねておりますので、妙案があればまだまだ受け付けておりますので是非お教えください。


というか、反応があるか心配していたのですが、反応があって良かった……。


こんな作品でも読んでくださっているという事を改めて実感したような気がしますよ。


さてさて、この作品は2日に1話ペースで投稿していて、期限が次回というのは結構短いんじゃないかなぁと、思われたかもしれないのですが、実は明日から10日ほど投稿が止まりそうです。


その間も受け付けておりますので、是非カッコいい名前を付けてくださるとありがたいです。返事は出来ないでしょうが、次の投稿時にはお返ししたいと思います。


是非是非、お願いします。


というか、助けてください。


案が多い事に越したことはないですから。


え?


私の案ですか?


姫鶴一文字とかになりそうな予感ですが? ググれば多分出てきますよ。自分で考えようにも、考えようとすると、くそ真面目に


太刀 銘一(号 姫鶴一文字)附 黒漆合口打刀拵


みたいな、どうでもいいほど真剣な事になっちゃいましたから。


ちなみに上のは姫鶴一文字、鎌倉時代の太刀で重要文化財だそうです。


これになぞって名前を考えているので、どうしても遅々として進まない。馬鹿ですね、私は。そこらへんの漫画のような名前にすればよかったです。というわけで、そう言うのでも全然かまいません。


ではでは、しばしの間、それを考える事もあって投稿が止まってしまいますが、こんな作品でも次回を待っていただいている方々には、少しの間待っていた貰いたいと思います。


ご感想など、お待ちしております。



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