第24話 手加減できないのは仕様です
いますよね、滅茶苦茶強い人に限って加減が出来ない人。
エリカはそういう人間……ドラゴンです。
『さあさあ! 騎士団内選抜試合2日目を始めますよぉ!!』
昨日よりも元気を増した気がするテルミの声がコロシアムに響き渡った。観客席の観客は昨日と同等かそれ以上、この試合の注目度がよく分かる光景となっている。
また、昨日敗北した騎士たちの姿も最前列に確認でき、誰彼構わず「負けろおおお!」とか「ブッ飛ばせえええ!!」などと連呼しては真剣に応援している他の観客に鎮圧されている。具体的には観客席に引きずり込まれて口を塞がれた状態で試合観戦をさせられている。
騎士たちも民衆に手を上げる気は無いらしく大人しくお縄についているが、喋れない代わりとばかりに手足をばたつかせながらフガフガと鼻から息をもらしながらもがいている。
『さて、第2回戦第1試合は、昨日初っ端からいろいろと魅せてくれた騎士エリカ対、女性騎士では抜群の安定感を誇る騎士シルヴィアの戦いです! 今試合初めての女性騎士同士の戦い、果たしてどのような激戦を見せてくれるのでしょうか!?』
「ハードル上げてくれるわね、テルミ」
「……言って聞いてくれるような性格には思えませんが……」
テルミの煽りを聞きながら、お互い苦笑する。
エリカはすでに刀を抜いて右手に刀、左手に鞘を持って構えている。対するシルヴィアも細身の大剣の切っ先を地面に着けた状態でテルミの話が終わるのを待っていた。
『では、皆様ももう待ちきれないと思いますので、試合を開始したいと思います! では、両者向かい合って―――――』
エリカは片方の足を引いて身体を少しだけ相対するシルヴィアの方向からずらす。そしていつでも動き出せるように身体に力を循環させ始める。翻ってシルヴィアを見ると、相変わらず大剣を持ち上げるそぶりも見せずにエリカの動きをじっくりと見つめている。
『始め!!』
掛け声と同時に、エリカは飛び出した。ところが、対するシルヴィアは全く動こうとしない。エリカはそれを不審に思いつつもシルヴィアに一歩で近づくとその直前で一度大きく踏み込むとシルヴィアを下から斬り上げようと刀を振った。
そこに至ってようやくシルヴィアは動いた。
大剣で斬り上げようとする刀を受け止めると、エリカの手に妙な違和感が走り、エリカは顔をしかめた。
「柔らかい……?」
「ふふ、分かる?」
気づけば自分の目の前にシルヴィアの鋭い目があった。口元は少しだけ笑みを浮かべており、ずいっとエリカに顔を寄せてきた。
「くっ」
驚いてシルヴィアと距離を取ろうとして右手が身体についてこなかった。その右腕に引きずられて飛び退こうとした身体がつんのめる様に止まる。何事かと刀に目をやると、丁度シルヴィアの大剣と接触している所が不自然な光の反射をしていた。そして刀と大剣がまるで溶接でもしたかのようにぴったりとくっ付いてしまっている。
刀の刃を一滴の水がつつっと伝って柄までたどり着く。
「氷……」
「そういう事よ」
エリカの独り言にシルヴィアは小さく頷くとエリカの刀とくっ付いてしまっている大剣を勢いよく自らに引き寄せる。刀を手放すわけにはいかないエリカは必然的にその身体をシルヴィアに接近させてしまうことになり、シルヴィアの強烈な蹴りをカウンターのように腹に食らってしまう。
そこでシルヴィアが刀の凍結を解除し、エリカは後方に大きく飛ばされる。済んでのところで体勢を立て直して背中から地面に叩き付けられるような事は避けたが、開始早々に黒鱗を使うことになってしまい、エリカはシルヴィアに対する驚きを隠せなかった。
「これがあなたの戦いですか……」
「そうよ、力で勝てないなら正面から正々堂々戦うなんて、私たちにはできないわ。あなたは正面突破する性質みたいだけど」
「それしか能がないもので……」
シルヴィアが自分の大剣の腹を指で軽くなぞると、波紋が浮かび上がって大剣の腹が波打つ。大剣は灰色なのだが、それが波打つとどこか不気味に見える。
「水に何か混ぜているんですね」
「灰色の砂よ。固めれば一見普通の剣にしか見えないし、硬度も形も私の意志で変えられる。今は対人用に大剣だけど、対ドラゴンなら……こっちよ」
切っ先をグニッと曲げると、巨大な鎌のような武器に姿を変えた。一点に全ての威力を集中させる事でドラゴンの硬い鱗すらも切り裂くことが出来るようになっているのだ。
だが、それを肩に担ぐシルヴィアの図は、俗に言う死神にしか見えない。滴る水が赤かったら文句なしに死神決定な光景である。
「……そっちは遠慮しておきます」
「分かってるわよ、人相手にこれは使いづらいし」
そう言うとシルヴィアは大剣の姿に戻して今度は両手でしっかりと大剣を持ち、切っ先をエリカに向けてきた。
(触れたら動きを止められる……、遠くからは攻撃できない……、一撃必殺狙いで距離を詰めれるでしょうか?)
距離を保ちつつ、エリカは頭の中でシルヴィアに勝つための方法を考える。とりあえずはあの大剣には触れない方法を考えようとするのだが、男性騎士のそれとは違うシルヴィアの大剣は比較的軽そうに見える。氷で構成されている刃がどれだけの重さがあるかは分からないが、少なくとも取り回しが通常の大剣よりは楽そうに見える。
つまり、防御への反応もかなり速いだろう。
エリカの持つ刀ほどの取り回しの速さは無くとも、防御するには十分だろう。軽い上に、ある程度以上の硬度を持ち、触れれば動きを止められる、厄介極まりない武器だ。
「どうしたの? ぼんやりしていると、足元を掬われるわよ?」
「えっ……っ!?」
その場でシルヴィアに視線を向けていたから、安心しきっていた。見れば地面から氷の塊が突き出してエリカの右足を氷漬けにしていた。地中の水分を操って遠距離からエリカの動きを封じたシルヴィアはエリカが足の氷に動けないうちに飛び掛かってきた。
「はあっ!」
エリカは刀で応戦するが、片足を封じられまともに態勢も取れない状態で上から振り下ろされた大剣を条件反射で鞘で防ごうとした。そして、エリカが気が付いた時には鞘が氷に浸食され始めた。
「くっ、この……っ!!」
エリカは足に黒鱗を纏った。外からは分からないが黒鱗が発現したためにエリカの足が若干太くなった。凍ってしまって全く融通の利かない氷を黒鱗が強引に浮き上げると氷にヒビが入る。
「ま、まさかこの氷を!?」
シルヴィアがそれに気が付いて驚愕の声を上げる。確かに、通常の氷よりもはるかに硬度が増している「シルヴィア印」の氷はエリカ自身が最も固い事に気が付いている。鋼鉄並みの硬さがあり、これが元々液体だとは想像もできないほどだ。だが、硬い物はそれ以上の力を加えられると存外脆い。わずかな圧力でも、硬さしかない物体は折れてしまう事がある。ある程度の「柔」は必要だ。
「くっ、させない!」
シルヴィアはエリカの足を覆っている氷のさらに外縁の地面から氷を生み出してエリカが抜け出せないようにより分厚い氷を作ろうとした。だが、地中から出て来た時、それはまだ水だ。一瞬速く氷の拘束を破壊したエリカはその水が凍る前にシルヴィアの懐にもぐり込むとシルヴィアを背負って自分の前に思いっきり放り投げた。砕けた氷の上にシルヴィアは投げられたが、素早く氷を解凍すると水球のクッションを作り出して地面に叩き付けられる衝撃を吸収させると水球のクッションを利用してワンテンポも置かずに地面に足で立つ。
「やっぱりそう簡単に背中を見せてはくれませんか」
「まさかあの拘束を力で振り切るとは思わなかったわ。男でも時間かかるのに」
出来れば、間髪入れずに追撃を仕掛けたかったエリカであったが、シルヴィアはその隙を見せずに立ち上がるとエリカに顔を向けた。一つ一つの動作に無駄がなく、キレもある。
「それじゃあ、私も出し惜しみする場合じゃないわね」
そう言うとシルヴィアは腰を低くして足を引いた。
エリカがその動きを見極めようと刀を構えた瞬間、強烈な衝撃がエリカの腹を襲ってきた。訳も分からずエリカが後方に吹き飛ばされる。
「ぐっ……見えなかっ、なあっ!?」
「遅いわよ、エリカ」
吹き飛ばされて宙を舞っているにも関わらず、シルヴィアはさらに追撃を仕掛けてきた。エリカはかろうじて黒鱗で衝撃を防いでいたが、それでもかなりの衝撃がエリカの身体を打った。
「喰らいなさい」
見ればシルヴィアが振りかぶる大剣の先端が大きく膨らんでいる。それはまるでハンマーのような形になっており、シルヴィアがそれを宙にいるエリカの腹どころか上半身全体を同時に打つように振りおろし、エリカを地面にめり込むほどに叩き付ける。
「かはっ!?」
本気、相手を負かすための戦い方ではない。
相手を殺すための戦い方をシルヴィアはしている。それに気が付いたエリカは戦慄を覚えた。
「驚いた、意識があるなんて……」
黒鱗を可能な限り全力展開しても、頭は守りきれない。地面に頭を強く打って視界がグラグラと歪み、ハンマーで打たれた影響か肺が悲鳴を上げている。シルヴィアはエリカのその様子を半ば驚嘆しながら見つめていた。おそらく、今の一撃で昏倒させるつもりだったのだろう。
「まだまだ……、いけます、よ」
エリカが頭を鞘を持つ左手で押さえながらも立ち上がる。その瞬間、観客席から感嘆とも動揺とも取れるどよめきが生まれ、一部から拍手が生まれる。頭にやった手に目をやると、赤く滲んでいる。おそらくどこか負傷したのだろう。あまり長期戦にすると自滅する可能性が出てきた。
(なら、一撃でこちらも決めるつもりで行かないと……)
そう考えるが、速さで攻撃してくる相手に速さで勝負できるか、エリカは混濁する頭を何とか振り絞って対抗策を考えだそうとする。ゲイリーの時のように正面から行けば確実に防がれてしまう。搦め手、戦略を考えなければならない、バーバラが言っていたように。
エリカはフラフラと動きつつも、地面からの奇襲を防ぐためにシルヴィアと一定の距離を保ちつつも動き続ける。
(刀じゃあの氷の剣を斬れない……、だけど他にどうすれば……、やるしかないか……)
チラッと自分の鞘に目をやり、可能かどうかを頭の中で瞬時に判断、これでいけなければ勝ち目はほとんどないと割り切って決心をする。
(うまくいきます様に)
誰に祈るわけでもなくエリカは心の中で祈り、そして少しだけ目を瞑った。シルヴィアが攻撃してきたらおそらく防ぐ事は叶わなかっただろう。だが、シルヴィアはあえて攻撃をしては来なかった。
一瞬の沈黙の後、エリカは刀と鞘を構えてシルヴィアに向かって飛び込んだ。シルヴィアがどこからの攻撃にでも対応できるように自分の身体の前で大剣を構える。
そしてエリカはそこに真正面から突っ込み、上から振り下ろした刀を案の定シルヴィアに大剣で受け止められ、刀の刃が凍りつく音が耳に聞こえた。
「言い方は悪いけど、馬鹿の一つ覚えよ!?」
「それは、これを見ても言えますか?!」
鞘を大きく横に構えると思い切りシルヴィアの大剣に振り下ろした。
「鞘でどうにかできるとでも……」
シルヴィアはエリカの意図を計りかねつつも大剣の刃の氷を変形させて鞘をも防ごうとした。おそらく、ただの鞘であれば決して大剣を斬る事などできないだろう。
だが、エリカが鞘を振る直前、エリカは鞘に細工を施していた。誰にも気づかれぬよう、鞘の色を確認した上で、振るその一瞬だけのために施した細工を。
ガッ!!
本来ならば、あり得ない音が鞘と大剣が接触した時に響いた。だが、歓声に飲みこまれて気づいたのはシルヴィアと、振った本人であるエリカのみ。その音を聞いた瞬間、エリカは微笑を浮かべ、シルヴィアの表情は驚愕に染まった。
一瞬の拮抗の後、シルヴィアの大剣が鞘と接触したその点を境に真っ二つに切り裂かれた。宙に舞った大剣の上半分が瞬時に水に戻り、エリカの刀が解放される。そしてエリカは刀を瞬時に逆手に持つとシルヴィアを右から袈裟斬りにして地面に叩き伏した。
「がっ!?」
地面に叩き付けられたシルヴィアが苦悶にうめき声を上げ、すぐさま起き上がろうとするがその首筋に刀を突き付けられてその動きを封じられる。
「……負けたわ」
シルヴィアがこれ以上の戦闘継続は無理だと判断して力なく地面に横たわる。そしてゴロリと仰向けになると自分の纏う鎧を見て苦笑を漏らした。
「まさか峰打ちで砕かれるとは思わなかったわ……」
シルヴィアの鎧は肩のあたりが粉々に砕けて下に着ている服が露出してた。見れば周辺には砕かれた鎧の破片が散乱している。
「加減してたらシルヴィアさんには敵いそうになかったので、すみません」
「勝負の世界だし謝る必要はないわよ?」
『き、決まったあああ!! 騎士エリカ、速さでは騎士団屈指の騎士シルヴィアを正面から倒しました! で、ですが、騎士シルヴィア、最後の一撃は大丈夫だったのでしょうか、まったく起きる気配がありません!! ていうか、本当に大丈夫!?』
エリカがシルヴィアの手を取り起き上がらせようとして、シルヴィアの顔が激痛に歪んだ。もう一度地面に倒れ込みそうになったのでエリカが慌ててシルヴィアを肩に担いで倒れないようにする。
「わ、悪いわね、ちょっとまともに歩けそうにないの」
「原因はあたしにあります。おぶって行きますよ」
エリカはそう言うと自分が出てきた出口とは逆の方に向かい、反対側の控室へ歩き出した。
その光景に観客席からは惜しみのない拍手が送られ、それは徐々に歓声へと変わっていった。
『倒れた敵をおぶって騎士エリカが歩きます! これが戦場が作り出す友情というものなのでしょうか!? ともかく、第2回戦第1試合、勝者は騎士エリカ! これは入団1週間での選抜もあり得るやもしれません!』
「エリカ、ジーンの時も似たような事をして今後気を付けるって言ってなかった?」
「面目もありません」
シルヴィアを控室まで運ぶと、こちらの控室の救護係になっているフィアに開口一番そう言われ、反論する気もなくエリカは頭を下げた。
「フィア、私もエリカも本気でやって勝敗が決まったの。あまり責めないで?」
「はあ、シルヴィアも少しは加減しなさい? あのハンマーは攻城用でしょう?」
エリカはその後に知る事になるのだが、エリカを襲ったあの巨大なハンマーはいわゆる破城槌と言われる類の武器をシルヴィアでも扱えるように小型化したもので、本来人に使うような代物ではないのだ。下手をすれば骨折どころでは済まされないほどの威力を持つそれで叩かれていたと知り、後にエリカは怖気が走ったそうだ。
「それに、シルヴィア、あなたそれでも肩の筋が断裂しかかっているのよ? さすがに私でも全快にはできないからちゃんと医者に掛かってね?」
「鎧の上からでここまでやるなんて、本当にあなた何者?」
別に答えを期待していない顔で、呆れたようなため息をシルヴィアはついた。シルヴィアは控室に担ぎ込まれると同時に担架に寝かされてフィアに治療を受けていた。
「……無駄に力だけある少女ですよ、シルヴィアさん」
「無駄に、なんてレベルじゃないわよ? それに最後の鞘の一振り、まさか私の氷剣を斬られるとは思わなかったわ」
「自分で言うのもなんですが、あそこまで上手く行くとは思ってなかったです」
種明かしをする気はない。何しろジャックの時同様に黒鱗を使っているのだから。
エリカは身体のどこにでも、目や鼻、口は例外だが、黒鱗を発現させることが出来る。そして、その形も爪の部分から大きく張り出させて切り裂くのに使ったりと、あまり制限が無い。
そこでエリカは手甲のわずかな隙間から鞘を振る一瞬だけ黒鱗を発現させて、鞘の刃に当たる部分に沿って伸ばし、鞘を黒鱗の刀に一瞬だけ変えたのだ。金属では斬れなくとも、黒鱗の刃ならばその硬さも相まって斬れない物は無い刀を作り出せるのではないかと考えたのだ。
事実バーバラはエリカの黒鱗で作った剣を持っている。
だが確証があったわけではない。初めての試みだったし、上手く行くかは分からなかった。しかし、これでエリカの戦い方にさらに幅が出来たのは確かだ。鞘を防御だけでなく攻撃でも使えるようになったエリカは確かな手ごたえをつかんでいた。
「全く、規格外もいいところにしておいてよ、エリカちゃん。見てるこっちが心臓止まりそうだった……」
「うぐ、気をつけます」
「期待しないで見てるわ」
そこで控室の扉を叩く音がして、白衣の男性が2人入ってきた。エリカが呼んだ応援の医師のようだ。フィアは現在進行形で行われている試合があるために控室を離れるわけにはいかない。そのためシルヴィアを医務室に運ぶために飛んできたようだ。
医師が担架の前と後ろを持つとシルヴィアになるべく衝撃がいかないように慎重に持ち上げた。フィアが必要な処理を医師に伝えると、医師がフィアに一言礼を言って控室をシルヴィアを連れて去っていった。
「ふう、ほらエリカちゃんも向こうの部屋に戻りなさい? もう試合始まってるから一度外に出てから外回りで帰った方が良いわよ」
「分かりました。それじゃ、失礼します」
フィアに一礼すると、エリカも一度控室に戻るために部屋を後にし、通路をコロシアムの外に向けて歩き出した。
「見たか?」
「……ああ」
フードの男は同じ装束の男に話しかけた。
「間違いないな、どこへ消えたのかと思ったらこんな所にいたとは」
「想定外だな。まさか人里どころか人の世界のど真ん中にいるとは思わんだろう。ドクターはどう言っている?」
「現状維持、だそうだ。余計な手出しは無用、観察を続行とのことだ。動くとしたら1か月後の大会だそうだ」
「1か月? 今ならまだ御せるが、もしこれ以上強くなったら我々でも手に負えなくなるぞ」
片方の言葉に背中を浮かせた男が少し語尾を強くした。それをなだめるように相方が手で男を制する。
「あまり『あれ』を舐めない方が良い。相手はこの世界の最上位種、軍隊で相手取っても勝てるか分からん相手だ。慎重に慎重を重ねる必要があるのはお前でも分かるだろう?」
「だが、自力で解決されれば我々の悲願はどうなる?」
「それはないだろうと、ドクターは言っている。この王国にそれに必要な情報はほとんどない。この国からの協力者が少ない事が幸いしたな」
フードから覗く口が嘲笑に歪む。おかげで俺たちが出張る羽目になったんだが、と小さく呟いた。
「…………」
「納得いかんか? だが、これも全ては悲願のため。決して事を急いでも良い事は無い。何年待ったと思っているんだ」
「……分かった。ではどうする?」
「とりあえず『あれ』が試合に出る限りは監視を継続する。だが気取られぬようにな。明後日の決勝まで残った場合はその結果を見てから帰還する」
「御意」
2人の影がコロシアムの"真上"から掻き消えた。
今日も今日とてテスト日和~♪
テスト期間どころか、テスト当日も更新する愚かな作者、ハモニカであります。
いやまあ、明日は大変じゃないので少しばかり書いただけなんですが……、来週からの夏休みが待ち遠しい……
そして相変わらず話の最後にちょこっとだけ出てくる悪役決定なお二人さん。さっさと帰れ! 邪魔だ! 話の輪を乱すな! などと自分でも考えているんですが、世の中そう言う人がいないと回らないのも事実。頑張ってもらいますか。
ではでは、またお会いしましょう。
ご感想などお待ちしております。




