番外編 1万PV突破記念 初めてのお風呂!
そういうのを期待した諸君!
私の作者情報を読んでもらいたい!
私はそういうのがカラッキシだという事がよく分かると思う!
それを踏まえた上で、読んでくれるとありがたい!
『サー、イエッサー!』
それと、本編には絶対に今後も絡まない話である!
読み飛ばしてもらっても全然かまわない!
『サー、イエッサー!』
あ、やっぱ読んで。
それはそれで淋しい。
『……』
「エリカちゃん、お風呂入りましょう~」
「おふろ、ですか?」
その会話が、エリカの不幸の始まりを告げる鐘となった。
エリカが城に着いたその日の随分と夜も更けた頃、フィアがエリカにそんなことを言った。眠っていたエリカをフィアが揺すって起こすとエリカは眠気眼を擦りながらベッドから起き上がる。
「あなた今日疲れて寝ちゃったけれど、身体も洗ってないでしょう? 丁度いいからお風呂に……エリカちゃん、お風呂って知ってるわよ、ね……?」
「な、なにかわいそうな物を見るような目であたしを見るんですか……?」
「知らないのね」
「うっ……、すみません、知りません」
「はあ……」
さも、残念だと言わんばかりのため息をエリカがつくと、フィアはおもむろに何枚かのタオルと替えの服を手に持つとエリカを引っ張って部屋を出た。
エリカはフィアの服を借りている。実は、こちらに来て初っ端に食堂で大勢の女性騎士に囲まれた時に服の話題に話が飛んだのだが、エリカほど小柄な騎士が団内にいなかったため、仕方なくフィアがあまり着ていない服を貸している。フィアは決して大柄ではないが、それでもエリカよりは大きく、今エリカが着ている服もかなりぶかぶかで、気を付けないと首元から胸が見えてしまうとフィアにも念を押された。
ズボンに関しては、裾を5回ほど折ってなんとかエリカの足の長さに合う様にしているのだが、動いていると徐々に折り目が元に戻ってしまい、たまに足を引っかけて転びそうになってしまう。腰にベルトを巻いてズボンがずり落ちないように気を付けていないといけないという難点もある。
「いくら人跡未踏の地に生きていても水浴びぐらいはした事あるでしょう?」
「ああ、それはもう、暇なときは川辺で寝そべっていましたから」
「……野性的ね」
「滝に打たれたり、川に身体を入れたりはしてましたけど……、おふろもそういうものなんですか?」
「まあね、熱いけど」
部屋を出ると、2人は食堂とは真逆の方向へ続く通路を進んだ。すでに就寝しているのか、通路には人の気配は一切なかった。ここまで静かだと逆にわずかな音でも大きく感じてしまう。
「でも、どうしてこんな時間に入るんですか?」
「混雑を避けるっていうのもあるんだけど、まだ一応エリカは騎士じゃないからね。あまり堂々と入るわけにもいかないでしょう? それに、この時間だとお風呂のお湯が1回入れ替えられるから、気持ち良いわよ」
「気持ち良い、ですか」
エリカにとって水浴びとは身体に付いた汚れなどを落とすためにすることだ。滝に打たれれば気持ち良さよりもむしろ固体のような衝撃を受けるためにリラックスなど少しも出来ない。川で水浴びする際も、流されないように結構気を使うし、滝だと滝つぼに飲みこまれないように気を付けなければならない。エリカはドラゴンの中では決して大きい方ではなかったが、それでも身体の隅々まで水浴びできるような大きな滝は少ない。滝の大きさに比例して大きく、流れも急な滝つぼには注意していないとドラゴンでも飲みこまれかねない。
「身体から疲れがふわぁって抜けていく感じって言えばいいのかな? ああ、ここよ」
フィアが通路の突き当りを指差し、その先に視線をエリカが向けると、2つの入り口が姿を現した。片方には「女性」、もう片方には「男性」と書かれていて、入り口から暖かい空気が流れだしている。
「じゃあ、私たちはこっちだから」
フィアが迷うことなく「女性」と書かれた方の入り口に入っていくので、エリカもその後に続いていく。
中に入ると、棚が壁一杯にあり、鏡が据え付けられた台のようなものが隅に並んでいる。フィアは棚の方へ行くと、持ってきたタオルや着替えを棚の中に入れて服を脱ぎ始めた。フィアの白い肌が姿の覗かせる。
「ささ、エリカちゃんも脱ぎなさい」
「はあ……」
フィアは自分の身体に白いタオルを巻き付け、何枚か小さいタオルを手に持つと湯気でガラスの曇った扉の近くでエリカを待つことにした。その間にエリカもフィアの見よう見真似でタオルを身体に巻き付けると、フィアの元へと裸足で駆け寄る。
フィアがエリカの到着を待って扉を開けると、視界一杯に湯気が広がって一瞬視界が真っ白になる。その後すぐに湯気が晴れて巨大な空間が姿を現した。
「広いですね……」
「城でも屈指の大浴場よ。これに勝るのは王家が入る浴場ぐらいよ。見たことはないけどね」
「あ、あの水に浸かるんですね」
「ちょ、待った!」
大きな湯船に引き付けられるように歩き出したエリカの両肩をしっかりと掴むと、フィアは近くの壁際に連れて行き、桶のような椅子に座らせた。
「お風呂に入る前に身体を綺麗にしましょうね。エリカちゃんただでさえ血だらけの泥だらけだったんだから」
「す、すみません……」
昼間、服を貸してもらう前に身体を拭いて貰ったのだが、やはりまだ少し汚れは残っている。エリカの常識ではそんな汚れも全部滝や川で流してしまうのだが、ここではどうもタオルで汚れを擦り落とすようだ。
「ふふ、こういう時水の魔法が使えると便利なのよね」
エリカを椅子に座らせると、フィアはタオルを自分の水で濡らして軽く絞る。そして浴場に備え付けられている石鹸をタオルに載せて少し擦るとタオルがすぐに泡を作り出す。
「それじゃ、ちょっと大人しくしていてね」
「は、はい」
何をされるのかさっぱりなエリカはどこか緊張した面持ちだ。フィアはそんなエリカにクスッと笑うとエリカの纏っているタオルを解いて背中に泡立ったタオルを当てて軽く擦りつける。エリカはタオルが落ちないように胸の前でタオルをがっちりと掴んでいる。
「痛くない?」
「い、いえ、まったく。むしろ気持ちいいです」
「ふふ、でしょ?」
エリカの背中を擦っていると、フィアはある事に気が付いてふとタオルを擦りつける手を止めた。怪訝に思ったエリカが振り返ってくると、フィアは満面の笑みを浮かべつつも、どこか悔しそう、というどうやったらそうなるのか分からない器用な表情を作り上げていた。
「エリカちゃんって、初めて見た時も思ったけど肌綺麗よね~。髪もツヤツヤで枝毛なんてないし、羨ましいわぁ」
「そ、そうですか?」
「しかも……、これは……美、かしら」
「……どこを見て、なにについて、どういう意味で言っているんですか?」
何か随分と邪な事を考えているような気がしてエリカがジトッとした目で見つめると、フィアは慌ててタオルを動かす手を動かし始めた。フィアはタオルから泡を取るとそれをエリカの頭に落としてエリカの長い髪を丁寧に洗い始めた。
「目に入らないように目を閉じていてね」
「はい」
頭を解きほぐされるような感覚に困惑しつつも、どこか身体から緊張が抜けていくような気がして意識がほんわかとしていくエリカ。そんな様子に気が付いたのか、後ろで髪を洗っていたフィアがニヤリと笑みを浮かべる。そしてエリカの髪を洗っていた両手のうち、右手をこっそりと下ろしていくと……。
「隙あり!」
「ひゃあっ!? ちょ、フィアさ、何やって……ひゃう!」
「やっぱり美ね……でも結構着痩せする方みたいね……」
「ちょ、どこ触っ、あ、目に何か入っ、痛い、目が痛いです! 目が、目があああ!!」
「ネタ!? ああもう、ゆっくり堪能も出来ないのね。ほら、動かないで」
手の平で水を作り出すとそれをエリカの頭から優しく流していく。水が目に入って、瞼の裏で大暴れしていた石鹸の成分を洗い流していく。
「フィアさん、これは疲れを取るためにやっているですよね? 何かの試練とか、フィアさんの自己満足とかじゃないですよね?」
「ちょ、石鹸でそんなにダメージ来たの!?」
石鹸の痛みに耐え、涙目で振り返られたフィアは慌ててエリカの顔を心配そうに覗き込む。
「だって、フィアさん変な事するし、痛いし……」
「あ~、分かったから。ごめんなさい。ちょっとした冗談よ。ほら身体の石鹸流したら終わりだから」
軽く水でエリカの身体に付いた石鹸を洗い流すと今度は隣にフィアが座った。そして自分の背中を指差した。
「やり方、何となく分かるでしょう? やってごらんなさい」
そう言うとフィアは泡立ったタオルをエリカに手渡した。エリカは先ほどのフィアのやっていた事を思い出してフィアの背中にタオルを当てると、力強く擦りつけた。遠くでも聞こえるゴシゴシという音が浴場に響き渡る。
「ちょ、エリカちゃん! 強すぎ! 痛いって!」
「さっきの仕返しです」
「きゃあっ!? あ、謝ったじゃない! あ、ちょ、もう止め……」
「因果応報です」
タオルでこれでもかというほど背中を擦ってやると、案の定フィアが悶える。ある程度その状態が続くので、ここからは音声でお送りしたい。
「フィアさん、あたしにした事、分かってますよね?」
「ちょ、エリカちゃん、なにする気……?」
「やり返すだけです♪」
「その笑顔が怖いんですけど!?」
「えいや♪」
ガバッ!
「ひあっ!?」
「うわ……、フィアさん柔らかいですね……」
「ん、エリカ、ちゃ、止め……」
「あたしが受けた仕打ち、理解しました?」
「り、理解したからぁ、もう、ね?」
「分かりました。あ、流しますからちょっと待っててください」
「え、自分で流せるけど……ってお風呂のお湯は止めて! 熱いから」
「ふふふ、石鹸を目には入れられませんでしたが、それはここで晴らさせてもらいます」
「ちょ、エリカちゃ……」
バッシャーーーーーーーーンッ!!!!
「きゃああああああああっ!!!!」
「あ~、久々の我が家のお風呂は生き返る~……、ってエリカちゃん、入らないの?」
熱湯をかけられるも生きながらえ、浴場の大きな湯船に胸まで浸かったフィアは湯船の前で難しい顔をしているエリカに首を傾げた。
「こんなに熱い水に、入れるのですか……? やはりこれは試練なのですか!?」
「違うから。気持ち良いから騙されたと思って入りなさいな」
「むむむ……」
脳内で何かしらの葛藤をしているようで、エリカは自分の身体に巻かれたタオルの端を握りしめながら最後の一歩を踏み出すべきか考え込んでいる。
「ええい、死なば諸共!」
「そこまでの決断なの!?」
フィアの突っ込みを待たずにエリカは湯船に一気に肩まで浸かった。そして、何かに耐えるかのように目をギュッと閉じ、広い湯船のフィアの隣で小さく縮こまった。
「…………あれ」
「慣れたでしょう? すぐに熱さは気にならなくなったでしょう?」
「は、はい……気持ち良い、ですね」
「ふふ、ここで何にも考えずに、ボーっとすると身も心もすっきりするのよ」
湯船の淵に後頭部を乗せると、フィアは真上を見上げながら湯船の中で身体を弛緩させる。エリカもそれを見て頭を淵に乗せようとタオルを1枚後頭部に当てて淵に頭を置く。するとフィアとは違って身体の軽いエリカは浮力で身体が浮き上がってしまった。バランスを崩しかけて水面を激しく叩いてしまう。
「もう、ゆっくり入りなさいな」
「バ、バランスが取れません」
目を閉じていたフィアが目を開くと、頭を淵に乗せて悪戦苦闘しているエリカに視線を向ける。
「……ちょっと小さいからよ」
「話す時は相手の目を見てください! どこ見てるんですか!」
「……いや、まだ望みはあるかしら……」
「それ以前の問題でした。フィアさん、あなた何に話しかけてるんですか!」
「もう、そんなに熱くなると上せるわよ? リラックスリラックス」
「だ、誰のせいだと……ふにゃっ!?」
何か文句を言おうとしたエリカの顔にタオルがかけられ、その反論を封じた。濡れていたら呼吸が止まりかねないが、幸い乾いているタオルでフワッとかけられたタオルの隙間から心地の良い風が入ってくる。
(……ぼんやり、してきますね……ていうか、ヒトに背中を流されたのは初めてです。少しばかり不甲斐なかったでしょうか)
何をされるかも分からなかったが為に、迂闊にも無防備な背中を晒してしまった。感情任せに黒鱗を発現させなかったことを感謝しつつ、湯船のお湯に身を任せる。時々起る波で身体が揺られる度に、身体からスーッと力が抜けて、力と一緒に疲れも抜けていくような感覚を感じる。
(なんだか、思考が上手く働かないです……)
「……あら、急に静かになったわね」
隣から動く気配が消えたことに気が付いてフィアがふと目を開いて隣を見ると、器用に頭だけでバランスを取り、湯船に身体を浮かべているエリカが目に入った。
「エリカちゃん? 寝るなら上がろう?」
「ふぁい……」
「……駄目ね、まったく、世話が焼ける子になりそうね」
男湯と女湯は天井近くで繋がっている。これは換気の問題からそうしているのだが、それはつまり相互の音が聞こえてしまう事を意味している。
そして、雑多な音を嫌って風呂に入っていたヴァルトは、隣の女湯から聞こえてくる女性の声に安息の場所を奪われていた。
「ちょ、どこ触っ、あ、目に、目に何か入っ、痛い、目が痛いです! 目が、目がああああ!!」
隣から女性同士の悪ふざけの声が聞こえてくるたびに、ヴァルトは湯船の中でゆっくり浸かることも出来ずため息をついた。
「まったく、こんな夜更けなら誰も入らんと思って来たのだが、今日は厄日だな……」
だが、ヴァルトはこの後も女湯から聞こえてくる声に悩まされることをまだこの時は知らなかった。
「ふあっ?」
「あら、起きちゃった?」
エリカが身体が揺れていることに気が付いて目を開けると、目の前にフィアの横顔があった。視界は宿舎の廊下、エリカ自身は歩いていないのに、視界が進んでいくので自分の状態に目を落として、フィアにおんぶされていることに気が付いた。
「す、すみません。寝ちゃってました?」
「ぐっすりね。お風呂で寝ちゃいけないから、悪いけど勝手に上がらせてもらったわ」
エリカはフィアに負担だろうと自分で歩こうと床に足を付けるが、視界が歪んで身体をまっすぐに保てない。
「あ、れ?」
「やっぱり少し上せちゃったかな? ほら、もうそこが部屋だからおぶってあげる」
「すみません」
そのまま部屋に担ぎ込まれるとフィアはエリカをベッドに寝かせて自分もベッドに横たわる。
(あれ、そういえばいつ髪乾かしたっけ)
自分の髪が濡れていないことに気が付いて黒い髪を撫でていると、その様子に気が付いたのかフィアがエリカに顔を向けて手を軽く振った。その瞬間、柔らかい風がエリカの頬を撫でた。
「寝てたから少し大変だったけど、ちゃんと乾かしたから痛んでないはずよ」
「重ね重ねすみません」
「ふふ、いいのよ。それじゃ、明日も早いしもう寝ましょ。中途半端な時間に起こしちゃったから寝坊したら起こしてあげるわ」
そう言うとフィアは布団を被って眠りについた。
エリカもまた、上せているせいもあるのか頭がボンヤリしていて、身体からも力が抜けて瞼が重い。
(今度からは、1人でも入れるようにならなければ……)
そんなことを考えながら、エリカもまた眠りについたのであった。
本編だとエリカが城に来てから翌日までですから、まあその辺にあった話、という事でお願いします。この話は後から考えたので、結構「あれ?」と思われる点が多いかもしれないのですが、その辺は突っ込まないでくださるとありがたいです。
う~ん、こういう描写は苦手なんですよね。とにかく知識も少ないので……。
ほら、逆に知識だけあっても墓穴掘りそうで、ね……
はっ、こういう事も墓穴掘ってる!?
まあ、今後もこういう描写は滅茶苦茶中身が薄い上に皆様の注目を引けないと覚悟はしておりますから。だってカラッキシですもん。
少しは他の小説でも読んで勉強するべきでしょうか?
ではでは、今後ともよろしくでござんす!
感想などお待ちしております!




