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見えなとキケン

作者: chui
掲載日:2026/06/06

やっと完成した。

私の長年の研究が実を結んだ。

これはすごい事になるぞ。

軍事にも使えるだろうし、警察でも有効だろう。諜報機関なんかは特に欲しがるんじゃないだろうか?

とにかく、マウスでは成功したのだ。あとは人間で試すだけだ。

人類初の快挙であるからには、私自身でこの成果を試すのが一番だ。

他の人間で試して、悪さをされてはたまらないからな。

博士は目の前に置かれている瓶を手に取ると、中にそ入っている液体を飲み干した。

よし、外にでてどれ程の効果が発揮されているか確認してやろう。


夜、車が走行していると衝撃が走り、ボンネット部分が破損した。

居眠り運転でもしてしまったかと、慌てて車を停めた運転手が外に出ると、辺りにはぶつかったような物は見当たらなかった。

わけがわからず立ち尽くしていると、微かに音が聞こえた。

神経が一瞬で張り詰め、音のした方を凝視する。が、そこには何もなかった。

聞き間違えか。そう思ったとき、再び音がした。

人の声?

緩みかけた神経が先にも増して張り詰める。

運転手は、恐る恐る声のした方向に進んだ。その速度は秒速1ミリと思える程にゆっくりで慎重だった。

と、つま先が何かに当たった。

しかし、そこには何もない。何もないのにつま先が『何か』に当たっている。

運転手は、動画を一時停止にしたかのように動きを止めていたが、意を決して手を伸ばした。

と、何かに触れた。

生暖かくて、柔らかくて、質量のある『何か』がここにある…。

自分の鼓動がうるさく鳴っている。

これだけ心拍数が上がっていれば、体は熱くなるはずなのに、指先は凍るように冷たい。

喉が渇く。唾を飲み込んだ。

そして『何か』触れてみた。

と、それは人間のようだった。

でも目には見えない。

そんな事があり得るの?

もしそうなら、私は人殺しじゃないか。

運転手は、しばらくたたずんでいたが、何がを思いついたように車に乗ると、その場を立ち去った。


私の研究は完璧だ。完全に透明になっている。

車にはねられ、冷たいアスファルトに横たわる博士の思考は、そこで終わった。


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