表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白石さんの微笑みは、今日も誰かを追い詰める  作者: 双鶴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/10

第9話 自滅

【朝・オフィス】


紗耶が出社すると、三枝の席は空。

しかし、書類が散乱している。


美咲

「紗耶ちゃん……三枝さん、今日は遅刻らしいよ。

 珍しいよね」


紗耶

「そうなんですか?

 昨日“自分の声に追われてる顔”でしたし……」


美咲

(その表現が怖いのよ……!)



【午前・会議室】


三枝がようやく出社。

髪は乱れ、ネクタイは曲がり、目は虚ろ。


経理部長

「三枝くん、昨日の数字の件で話がある」


三枝

「……っ」


紗耶が横から覗き込む。


紗耶

「あ、これ昨日のファイルと“更新時間が1分だけ違う”ですね」


三枝

「やめろおおおおお!!」


経理部長

「1分……?」


紗耶

「はい。昨日の23:58と、今日の0:59です。

 あと、貼り付けた部分だけ“影の濃さ”が違います」


三枝

(影の濃さ……!?)


経理部長

「三枝くん、説明してもらえるかな」


三枝

「……っ」



【総務部・デスク】


三枝が戻ってくる。

顔色は死人のよう。


紗耶

「三枝さん、大丈夫ですか?

 今日、歩き方が“足元が崩れそうな人”みたいでした」


三枝

「(やめてくれ……もうやめてくれ……!)」



【昼休み・カフェテリア】


美咲

「紗耶ちゃん……今日の三枝さん、

 もう“壊れた後”って感じだったよ」


紗耶

「そうですか?

 でも、壊れた後って、

 “本当の自分が出る前”ですよね」


美咲

(なんでそんな哲学的なことを天然で言うの……!)



【午後・監査部からの呼び出し】


三枝が監査部に呼ばれる。

社内がざわつく。


社員A

「ついに……」


社員B

「白石さん、全部見抜いてたんだな……」


紗耶

「え? 何がですか?」


社員A・B

「(ひっ……!)」



【監査部・会議室】


監査部長

「三枝さん、これまでの経費処理について説明をお願いします」


三枝

「……俺は……

 俺は……悪くない……!」


監査部長

「では、この数字のズレは?」


三枝

「それは……その……」


紗耶が静かに口を開く。


紗耶

「三枝さん、昨日“自分の嘘を信じようとしてる目”でしたよね」


三枝

「やめろおおおおお!!」


監査部長

「……嘘?」


三枝

「違う! 違うんだ……!

 俺は……俺は……!」


しかし、三枝の声は震え、

言葉は崩れ、

ついに――


三枝

「……もう無理だ……」


その瞬間、

三枝は自ら“不正の一部”を認めてしまう。


監査部長

「……そうですか。

 では、詳しく聞かせてもらいましょう」



【夕方・オフィス】


三枝は席に戻らない。

社内は静まり返っている。


美咲

「紗耶ちゃん……

 三枝さん、今日で終わりかもしれないね」


紗耶

「そうなんですか?

 でも……

 “自分の影に追われてる人”は、

 いつか影に追いつかれますよね」


美咲

(紗耶ちゃん……怖い……)



【帰り道】


紗耶はふと立ち止まる。


紗耶

「なんか……

 三枝さん、

 “自分で自分を追い詰めた人の顔”でした」


美咲

「え、それどういう……」


紗耶

「分かりません。なんとなくです」


その“なんとなく”が、

三枝の自滅を決定づけていた。


――第9話 終わり


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ