表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/116

99

「皆様にはGHQの同意の下、はるばるアメリカからこの国の荒廃を立て直すために帰ってきていただきました。皆様はアメリカの自由とチャンスを見てきています。同時に人種差別も体験してきています。差別される側の気持ちもよく分かっていることだろうと思います。しかし、この国の人々のほとんどは差別される側の気持ちを知っていない。朝鮮や中国、アジアの各地で差別する側だったからです。

 敗戦の混乱は全ての国民を平等にするチャンスです。富の偏在を無くし、誰もが豊かになる為の平等なチャンスを与える制度を作る絶好の機会です。その為には正しい情報が全ての国民に伝わるような制度も必要になってきます。

 今回皆様にはこの新生日本を立ち上げる国会議員となって働いていただく為に、日本に帰ってきていただきました。最初の目論見では半数でも当選していただければ十分だと思っておりましたが、事態は全員当選してもおかしくない位の情勢が訪れようとしいます。当選後についてまでの細かい契約条項を付けさせていただきますが、全て納得できる条項しか設けてないと自負しております。

 選挙については全面的なバックアップ体制を取りますし、立候補の地域は出身地とは違うと思いますが、しがらみのない地でなければ新しい日本を作る為の思い切った施策を貫くことが出来ない事情が発生することがあることを経験豊富な皆様であれば容易に想像つく、それが理由です。

 選挙戦や選挙戦後のことは勝っても負けても、皆様の仕事についてのバックアップは大田村商事が全面的に行います。ですので心置きなく選挙戦を戦ってください。」

 この俺の挨拶から始まり、なかなか突っ込んだ意見のやり取りが行われた。戦後の混乱を象徴するかのような全国有力者不在の小粒選挙と揶揄された戦後初の国政選挙の幕開けであった。


 この選挙戦はGHQのGS及びG2の全面的なバックアップを取り付けていた大田村商事が後押しする民主経済党の候補が局地的な優勢を確保する手段に事欠かなかった状況が、選挙戦に大いに影響した。

 選挙戦のダイジェストをなぞってみることにする。

3月15日にラジオ討論会が開かれることになった。参加者は新しく立ち上げられた旧政府の代議士の流れを汲む共和党や革新党、労働者を代表する労働党と革命党、それに民主経済党、それに幾人かのコメンテーターが生の対談をする企画であった。もちろん、これは日本史上初のラジオ討論会となった。

 日本国営ラジオ局のアナウンサーが各党の代表者の名前を告げてそれから、コメンテーターの名前と略歴を告げていくと、労働党と革命党の代表者から驚いたような声が上がった。

 彼の名は稲川大二郎という。戦前はバリバリの共産党員の論客として衆目を集めていた。しかし、戦争中は収監されていて戦後になってGHQによる解放から、一転政府選抜の欧州調査委員となりソビエト共産党の軌跡を調べる為、ドイツに派遣される一員に選ばれることになった。そして、ウクライナから亡命してきた何人もの人間のレポートをすることによって、共産主義の社会の実情が浮き彫りにされたため、自分の思想による現実が大変な誤りであったことに気づかされたのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ