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 「まさかMrシミズの言っていた証言保護プログラムが必要だったとは想像が至りませんでした。」とG2のメイス大佐がチャール少将に謝った。

「それはワシも同罪だ。そこまで深刻に想像しなかった。まさか日銀の幹部が不審死になるとはちょっと油断し過ぎた。」とチャール少将。

「日銀保管の金塊5000万円分(約500億円)が紛失していた事案を確認できた途端に担当課長が不審死なんて、G2の恥さらしもいいところだ。

「暁の猟犬」作戦で旧日本帝国の根幹を一網打尽に出来ると喜び勇んでいた足元をすくわれました。向こうも必死という事ですね。」

「その通りだ。ワシもメイス大佐と変わらん。Mrシミズの忠告を生かしきれなかった。まさか呼び出した段階で相手が手を打って来るほど素早い動きがあるという事は、一筋縄でいかない集団が相手にいるという事だ。日本に残った影の軍武力集団がこの件の背景にいる事実は我々に取って看過出来る問題ではない。」とヒューストン局長。

 「Mrシミズの件は誰にも知られないようにしないといけませんね。」とダラス次長。

「その点はマックバーガー大将からも強く念押しが来ている。彼は日本に取ってもアメリカに取っても重要な人材だと。」とヒューストン局長。

「私も彼の名前と行動については、探ることを中止しています。変な注目を集めると取り除かれてしまうかもしれませんから。」

「ああ、よろしく頼む。」とヒューストン局長。

「それから、ドイツから帰国した稲川とか言った共産主義者はレポートの提出とラジオ討論会の準備が出来たかね。」

「はい、予定通りに4月の選挙前に共産党系の代議士候補や旧日本帝国系の代議士候補、それに民主経済の代議士候補などを集めてG2肝入りのラジオ討論会を行う予定です。」とメイス大佐。

「G2広報部の若きエース、チャールズ・オハラ少尉はどれほどの実力があるか初披露だな。」

「はい、ラジオ越しに聞く声がかなり親しみを持てる声のように感じます。日本人の女性層にもファンが多いとか。うまく討論会をリードしてくれると思います。」とメイス大佐。

「この討論会で旧日本帝国系の勢力のとどめを刺し、共産党系の根本理念と現実に対して日本国民がはっきりその実態を認識させることが出来れば、Mrシミズは日本の戦後そのものを変えていく流れを作り出すことが出来るのではと想像することは飛躍だろうか。」

「いえ、局長の言う通り、貧しい者の生活に対しても建設的な配慮を持ったMrシミズの考え方はこれまでのどの国でもやらなかった手法で構成されています。富める者に対しては理性的対応を促し、貧しい労働者には企業の懐を洗いざらい公表することによって、経営内容を詳らかに検証することが出来、追加課税の恐怖による労働者優遇と経営内容によっては苦しい実態を知らせることによる賃金抑制や人員整理等の可能性も公的機関に示唆してもらう事も出来る。財務特別査察官制度の副次的運用は労働問題のネックの解消をも睨んでいる。GSも早々に特別布告としてこの運用を宣言している。それだけでなく、徴収した莫大な旧日本政府関連の支出をGSがニューディール政策と同じ手法を使って財務特別支出枠として直接運用出来る覚書を新政府から取っている現状から、日本国民に対する影響力は計り知れないものになったことが大きいです。」とメイス大佐。

「そこまでMrシミズは最初から思い描いていたと思うか?信じられんが、分からん男だ。どう思う、メイス大佐。」

「我々の味方でほっとしています。」とため息をそっとつくメイス大佐であった。


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