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「そこで、君から提案のあったGHQによる組織犯罪に対する告発に免責・減責等の特例を与えて、スムーズな全容解明に導くという方法はこの混乱の日本において非常に有効であることをG2課員の総意として認めることになった。さらに財務特別検査官制度は我々の通常の切り口とは全く別の捜査手法であり、この機関の有効性をGSとしても是非この際試したいとの意向もあり、試験的運用を行うことになった。

 Mrシミズの想定では、この資金の流れには多くの企業、団体だけでなく宗教団体も政治団体も絡んで来るとの予想であったから、財務特別官にはピッタリの予行演習になるとGSのメンバーは喜んでいたし、G2も財務特別官には参加する予定にしているから成果を大変に楽しみにしているところだ。特に宗教が絡むと訳が分からん問題に巻き込まれて大変な目にあう可能性があるが、財務特別官制度の運用から締め上げていく事は理にかなっているから、反論がされにくく、闇に埋もれる資金であっても監視していけるメリットは計り知れないほど大きい。アメリカ本国でやったら真っ先に言い出しっぺの首は飛ぶくらい危険な制度だから、GSも我々G2もワクワクしているというのが本音だ。

 Mrシミズは「金融緊急措置令」に合わせてこの作戦を考え付いたことは間違いなく旧日本軍の息の根を止める手段として誰もが考え付かなかった最高のものだと我々G2だけでなくGSもマックバーガー大将も評価している。金融機関に入れなければ新貨幣にすることが出来ないことがどんなにうまく隠れようとしても数字としてその正体が現れてしまっている敵を自然にあぶりだすことが出来る。

役人は最初の告発者として免責取引を持ち掛ければ、「国家反逆罪」であってもそれに該当しないで済むとなれば我先に詳しい状況をすすんで告発するようになる。このGHQが何十年駐留してもお釣りが出るくらいの金額があぶり出されてくる。その話をラジオや新聞から日本の終戦を勝てないと分かった段階でするべきと主張した軍人や役人の声に合わせて、巨額の資金が終戦後、何の権利もなく戦争継続・終戦反対派に流れていた事実を突きつけて、この経済的混乱を引き起こした黒幕であると指摘すれば、戦争責任者に対する激しい怒りは東京裁判で炎上すること間違いなしだ。

軍人に対する評価は地に落ちて、GSの標榜する戦争放棄も軍隊の不保持もすんなり了解される流れも出来るだろう。

 また、一部の特権階級による情報の統制や経済的優位性についての平等化や民主化に対する期待値は大変大きなものになる。

 我々が打ち出した色々な施策よりも遥かに大きな効果を持つ策をMrシミズはGHQにもたらした。さらに、アメリカ本国に対する広告の話も聞き及んでいる。その効果は我々の予想外の思惑をアメリカ本国にもたらしている。Mrシミズの見えている視界は我々の遥か上にあるように俺個人としては恐れているとも言えるし、見せて欲しいと思う気持ちも強い。そこを教えてくれんかね。」

 俺の予想外にチャール少将は柔らかい口調で俺を持ち上げたが、その癖油断ならない目は俺の一挙手さえ逃さない様な冷やかさを伝えていた。


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