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 「確かに組織犯罪の摘発は難しい。特に国家が絡むようなものは元をたどる前に消されることなど当たり前と言える。」とダラス次長。

「しかし、この件は戦争責任の根本部分を肥え太らせて温存する結果に繋がりかねない案件であり、圧力が弱まれば金を生む戦争に、すぐさま日本を引き吊り込む雑草をあっという間に日本中にはびこらせかねない力を持つ者を自由にさせることを意味する。」

マックバーガー大将を見据えて

「旧日本帝国政府は、「ポツダム宣言」を受諾したその舌の根も乾かないうちに、旧政府首脳部から国家反逆の恐れのある紙幣の増発を連合国の受諾を経ないまま行い、反政府勢力に配布したことは明らかに「ポツダム宣言」を無視する行為であり、新政府に対する反逆行為である。との理由をもってGHQ総司令官マックバーガー大将からの捜査命令を出すことが一段目。次に捜査に進んで協力してくれた者に対してはGHQ総司令としてその罪を免責することを発表。これが二段目。3月3日と4日は全ての銀行、郵便貯金口座を封鎖する。これが三段目。新札発行は全ての紙幣発行量を確認する必要がある為預金口座数と預金額を各金融機関は支店ごとに集計し日銀に3月4日に報告しなければならないこと。日銀は3月4日にGHQにその報告書を提出すること。新札発行はこの報告書により発行計画の総額とし、発行計画を立てる。これが四段目。次にGHQ特別布告として日本版新日本政府財務特別検査官を創設することを命じ、旧日本政府への新生日本政府からのお金の流れを洗い出して回収するチームをアメリカ主導で立ち上げる。このチームの調査による資金回収はGHQが管理し、その内容は広く日本国民に対して公表される。また、このチームで活躍した日本人は抜擢され新政府の中枢として登用されるようGHQからの後押しが期待されることを噂として流し、有能な人間を集めるようにする。」

GSのヒューストン局長を見ながら

「なお回収した資金については新政府の関係者も多数関わっていることは明白であり、関係者の処分を含めて資金の処分はGHQの判断で行えることを明言し、GHQ駐留費に充てた上で有効な新生日本への施策の財源として活用できるのは、信頼を失った政府の後ろから日本の新しい未来を切り開く存在としてのGSを大いに際立たせる演出とならないですか?」

さらにマックバーガー大将に向かって

「巨額の駐留費は本国政府に取って大変頭の痛い問題だと思いますが、それがある程度解決できた軍の評価はどうなりますか?」

「Mrシミズ、やっぱりお前はとんでもなく面白れぇ男だな。そんな事言ってきた日本人は初めてだ。しかも、頭のいいわが軍にも到底思いつきもしねぇことをぶち込んで来る。なるほど、これほど急ぎの事案だとせっついたのは、「金融緊急措置令」だった訳か。確かに敵の策に合わせてこちらの作戦を実行するのは俺たち軍人の神髄ではあるわな。まさかこんな若造、いや、失礼、これほど優秀な参謀が日本に埋もれていたとは、脱帽したよ。」

とひょいと帽子を脱ぐ仕草をして俺に軽く頭を下げるマックバーガー大将であった。

「しかし、まだ色々引き出し持っていそうだな。Mrシミズ!しばらくGHQでお前の引き出しを利用させてくれんか? どう思う、ヒューストン。お前さんの意見は?」

「我々の気付きもしなかった点と仕掛けの時点の確かさと、その利益の大きさはGHQ最大の利益であり、最良の時点で提案してくる人物です。まだまだ我々の思いもつかない策を持っているように見えます。最大級の礼を持って歓迎し、謙虚な気持ちでその教えを乞うと言うのは当然のことで、何にも増してMrシミズにお願いすべき件であると思います。」とヒューストン局長。


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