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 「やぁ、Mrシミズ。先日は面白かったよ。今回はそれを上回る様な面白い話を聞けるとミッチェル准将から聞いて、楽しみにしていたところだ。」マックバーガー大将は右手で簡単に紹介した。

「こちら側に座っているのがGSのヒューストン局長とダラス次長だ。そちら側はG2のチャール少将とメイス大佐だ。」

「初めまして、私は大田村商事代表させていただいてますケンゴ・シミズと申します。この度はGHQのそうそうたるお歴々にお話させて頂く機会をありがとうございます。皆さまの貴重な時間を頂きますので簡潔に申し上げます。」

そう言ってからまずGSのヒューストン局長とダラス次長に向かって

「ニューディールでは大変活躍されたお二人ですが日本の経済の混乱を治める為の処方箋はお持ちでしょうか?」

いきなりズバリと切り込んでいった。

2人とも如何にも煙たそうな顔をして

「日本政府に任せていることだ。」とダラス次長。

「「金融緊急措置令」で混乱は治まるとGSの経済の専門家の方は考えているのですか?」

「その様な小手先の技でどうにかなるような事態ではない。」とダラス次長。どうやらヒューストン局長の面子を守るためにダラス次長が矢面に立つようだ。

「恐らく日本が悪性インフレに陥った根本原因を知っていないか手の打ちようがないかのどちらかが理由だと思うのですが、どちらなんですか?」

 「我々としては軍人に対する過剰な一時金によるものではないかと、それに食糧不足と軍需産業に対する生産物の偏重と爆撃による生活物資の生産量の不足によって供給が落ち反対に外地からの帰還民・帰還兵の増加による需要増加が原因ではないかと推察しているが、我々は直接統治する訳ではないからこの状況にあれこれ口に出す気はない。」とダラス次長。

「G2の見解としてはどうですか?」とチャール少将の方へ視線を向けると

「GHQは敗戦国日本に対して間接統治を基本とするポツダム宣言によって管理、監督している。今のところ軍事と政治改革を先行させている状態で経済まで手を回している余裕はない。」とメイス大佐がG2の矢面に立つように発言する。

「帰還兵と軍の解体問題は繊細で危険なものを含みますから、ご苦労されていると思います。しかし、この悪性インフレは日本人そのものの意識に大変悪影響を残します。軍の解体、政治の男女平等、真の民主化および教育の公正性など全てに取り返しのつかない重大な歪みを残す原因となります。今が歴史の変換点という時を我々すべてが共有している。ですよね、マックバーガー大将!」

「Mrシミズ、まどろっこしい前振りはいい、ズバリとお前の思っている事をぶちまけてみぃ。あくびが出ちまうぞ!」とマックバーガー大将は右手に持っていたパイプをくいっくいっと軽く振って続きを催促する

「この悪性インフレは人為的なものです。それも極めて悪質なものでありその影響はこの改革全ての土台を倒すほど根深いものになります。」

「それはどう言った意味かね?」とMSのダラス次長。

「その言葉通りです。去年の8月15日から日銀は昼夜フル操業で紙幣の印刷を増刷し始めています。それは当然、軍・政治トップからの命令によってです。国家予算の何十倍にも当たる軍需産業に対する支払いや軍部自身に対する裏付けのない資金の提供のためです。恐らくその命令や金額などは一切の資料となるものを焼却させている為、その足取りを掴むことは関係者の抵抗もあってなかなか難しいはずです。組織犯罪を摘発する難しさはG2の皆様が良くお分かりになっている。」チラリとヒューストン局長を見る。


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