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  俺は息の詰まった重々しい声で

「昭和20年8月15日以降の日銀が大量に印刷した紙幣は、連合国統治体制に対する国家反逆の予備資金であるとGHQで断定してそれに関わる全ての人間を拘束した後、還流先を国家反逆の予備資金であるとして全てGHQで回収する。これは統治に関する重要案件であるため、日本政府の関係者は間接的にしか関わることが出来ないとして、マックバーガー大将の強権を発動して回収させる。

 最終的には国家反逆の予備資金では無かったが支払い権限のない敗戦国政府が巨額の戦争費用を支払う権限はない為、回収資金はGHQに全額没収されるという筋書きを用意しておけば色々な余禄がGHQに付いてきます。」

「あはははは!なかなか強引なことをマックバーガー大将に押し付ける気だなぁ~。」とミッチェル准将。

「伊達にGHQの親玉をやっている訳ではないはずです。これらの資金の回収が色々な効用をGHQにもたらす事を考えたら、マックバーガー大将が汗をかくくらいの事は当然です。」

「天下のマックに汗をかかせるのを当然と言ってのける人間にわしは初めて会った。これほど愉快な気分になった事はいつ以来か想像がつかん!ヘルメス中佐、お前なら言えるか?」

 自分の額をペチペチ叩きながらミッチェル准将はヘルメス中佐に問いかけたがヘルメス中佐は滅相もないと両手の平を准将に向けて返答の代わりとした。ミッチェル准将の視線が俺に向けられ続きを促して来る。

 「一番にGHQに取って利益となるのはGHQが日本駐留に掛かる費用を優先的に受け取ることが出来ること。占領日本政府には不法資金を拠出した責任があり、押収した資金の使い道についてGHQに文句を言える筋ではない。この事はGHQを派遣している各本国政府は派遣軍上層部を自力で合法的に資金調達を可能にした軍として想像以上に評価することになる。

 さらにこの事案は旧日本帝国軍の根本的資金源を断ち切ることになり、後々の武装独立を心配する必要性がほとんど無くなる。

またこの事を国民にGHQが大々的に報道する。日本の経済を混乱させている原因が敗戦直後の8月15日から軍部と官僚、政治家が結託して国家予算の何百倍に相当する大量の紙幣を日銀に印刷させて違法なお金を支払った事によって起きている現象であることを、複数人の日銀の役人にラジオでしゃべらせればいい。当然免責特権をつける条件で当時の具体的状況を。これを選挙の準備が終わった時に仕掛ければ、GHQが動かしやすい政権を作りあげる人材を調達しやすくなる。

 この動きと並行して、早くから降伏を提唱していた軍の高官を複数探し出して、沖縄陥落直後に日本の勝利の可能性が全く無くなった事は有能な軍の高官に取っては当たり前に出て来る答えであって、敗戦の責任を取る覚悟さえあれば、100万人以上の日本人の死傷者を出さずに済み、外地の混乱もある程度避けることが出来たことを強調させる。さらに日本固有の領土まで喪失させた責任まである。これらの軍人による告発の目的はいたずらに勝てない戦争を引き延ばした無能な軍人、政治家、官僚の責任によって無数の日本人の命が失われた事実を表に出し、軍中枢部や上層部だけでなく日本の軍人とそれに繋がる人間は信用できないと日本人全体に痛感させる事によって、強烈な日本軍不信を現出させることが出来ることが肝要です。東京裁判では被告は日本中から叩かれる運命となる。」


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