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  早朝から村役場の村民に対する対応を訓練して、村長に対して後を任せた。堺基地に送る食材などを積んだトラックにお嬢と共に乗り込んで、堺基地で行われる会話の要点を頭の中でまとめていると、

 「代表は今回どこまで突っ込んでいくつもりどすか?」とお嬢。

 「それはどういう意味だ?」

 「今回の代表の顔が変なのどす。いつもはもっと悪い顔してはるンどすぇ。でも今回はちょっと違う不思議な顔つきどす。」

 「お前は人相占い師になりたいのか?まったく!」考えが中断されキッと睨みつけると、その倍の圧で睨み返されてしまった。勝てる見込みのない戦いは不毛だ。

 「今回は先の見通しが全然たっていない状態と言えばいいのか。はっきり言って行き当たりばったりだから、あまりお嬢を巻き込みたくないンだ。」と俺。

 「それがそのけったいな顔つきの原因なのどすか。けれど、うちは乱戦なら得意どすえ。困った時はうちが敵を引き付けときまっさかい、その間に立て直しなはれ。それであんじょう行きますよって。」とお嬢。

 実はその言葉を聞いてちょっとホッとした自分がいた。それはそうだ、単身魔王城に向かう勇者でもない一般人は心細いものなのだ。体育会系であるが道連れがいる旅は気が休まる。

そのまま堺基地に入って食材等については食堂部の人間に任せ早々にラスカル少尉を呼び出して、ベーカー大尉の下へと連れて行ってもらった。ところがベーカー大尉は俺の姿を見るとラスカル少尉を帰して、俺とお嬢を連れて司令官室まで案内したのであった。

 部屋の奥からいたずらっぽい顔をして机に座っているミッチェル准将が俺の顔をじっと見ていた。

挨拶をしてベーカー大尉と共にお嬢を連れて部屋に入ると、

「まぁ、かけてくれたまえ。Mrシミズ、Missヤマト。」

とソファーの席を指し示しベーカー大尉と副官のヘルメス中佐にも座るように指示した。

「ベーカー大尉からMrシミズが今日何やら相談があると聞き及んで、私もひょっとして力になれるのではと老婆心からここに来てもらうことにした。」

ニコニコとした笑顔は気の良い老人に見えるミッチェル准将がいた。なかなかの狸である。

「私のような者にまでお気遣いいただきましてありがとうございます。お忙しいミッチェル司令官の大切な時間を頂くという事になりましたので、失礼とは思いますが端的にお話しさせていただきます。」言葉を切ってミッチェル准将の様子を伺うと、話の先を続けろと促してきたので

「GHQは日本と日本人をどうしたいのかをお伺いしたいのです。日本をワイマール後のドイツのようにしたいのか?」

「そのような状態は一番避けたい状態だよ。その為にGHQは日本に対して戦後賠償をほとんど求めていない。それはMrシミズも良く知っていることだろう?」とミッチェル准将。

「そうですね。それにも関わらず日本の現状は第一次世界大戦が終了した後のドイツのような悪性インフレが襲ってきている。その原因をGHQは把握した上で占領政策を行っているのですか?」

俺が問いを続けると

「残念ながらその答えを私も恐らく部下も持ち合わせておらん。」とミッチェル准将。


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