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 昭和21年2月14日 いよいよ今日ニューヨークタイムス他大手新聞社3社に俺が勝手に日本人代表として、アメリカ全市民の皆様に真摯に戦争で亡くなられた方及び傷ついた方に謝罪した。

また、日本の軽率な争いによって在米の日系アメリカ人移住日本人に対しても多大な迷惑をかけたことも謝罪した。

この軽率な争いの結果、日本は代償を払うことになりました。

この事実を持って日本に対するアメリカ国民の怒りの溜飲を下げて欲しい事。何時までも平和な両国関係が確かな信頼関係の下、築き上げられることを切に望みます。

 と言うコメントと瓦礫の山になった広島、長崎を含む大都市の写真と同アングルの戦前の写真を数点、原爆被害の少女たちや黒焦げの親子、その他の都市の焼死体の山などのショッキングな写真など地獄の光景がこの世に表されたものが全面広告の紙面に載ることになっている。こんな紙面を国粋主義者が見れば間違いなく怒り心頭で日本刀持って殴り込んで来るであろう。もっとも、記事提供はラスカル少尉の叔父さんが代わりになってくれている。

末永いお付き合いを望んでいるとのこと。頭が下がります。


 この広告の反響は予想以上であった。写真で見てしまった日本の一般市民の被害実情がアメリカ人個人の倫理観を大変刺激する事になったのだ。抵抗力のない女子供を殺し過ぎたのではないか。

原爆の投下は人としてしてはいけないものであったのではないだろうかという気持ちを敬虔なキリスト教信者を中心に巻き起こすことになったのだ。この結果、驚くべきスビードで戦災孤児に対する生活支援基金と育英基金の設立と基金募集が行われ目標基金の10倍の10万ドル以上がそれぞれに集まることになったのだ。

もちろん、後にその話を聞いたジョンソン神父は堺基地で踊り出して喜んだという。きっと彼の目には大司教という文字が浮かんでいたのかもしれない。

 一方最初はこの広告に否定的な見方をしていた五陵君や目力お嬢こと南園寺香奈子嬢は時間の経過ごとにアメリカ国民の感情が劇的に日本に対する敵意が変化していくことに驚きを隠せなかった。

それは国民性の違いと言うより、国民一人一人が自分の権利と責任を持ち自分で決めなければ誰も助けてくれないという自覚を持った個人が確立されているかないかの民度の高さの問題であるからだ。

 アメリカ国民にとって日本の政府や国は野蛮で何をしてくるか予想できない未開の不気味な国という印象であったが、女子や子供については、罪はないと誰もが感じていた。その罪なき者がこの争いに巻き込まれて悲惨な事態となった事は心を痛める善良性が国民の多くにあり、個人として助けることが出来るのであれば手を貸したいと思い、行動に移す人の数も戦前の日本人とは比較にならない程多くいたということが、敵意が減った現象の実態であろうか。

 五陵君とお嬢は俺の解説と戦略性の高さにしきにり感心していたことに、腰に手を当ててどうだと態度で返しておいた。後日の話である。


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