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 「俺も久保田君と歳が変わらない若輩者だから、堅苦しい挨拶はせんでもいいよ。うちの友田とはもう顔合わせは済んだか?」

「はい、品質保証部の友田幸四郎さんとは何度かお話をさせていただいております。清水代表は大変忙しそうだったもので、ご挨拶を控えておりました。」と久保田。

「ああ、ありがと。寿命が少し縮まっちまったよ。ところで、仕事の方は忙しいみたいだな。」

「はい、当行の富裕層のお客様だけでなく、話を聞きつけたお客様からのご依頼のお話がひっきりなしで入ってきています。訪問依頼も随分あって予約のやりくりが大変な状態です。」と久保田。

「繁盛結構!これからが本番だ。美術品の相談だけでなく、事業継続の話なんかも久保田君に入って来る。その際、五陵君に相談の上で俺にも話を繋ぐ物件が増えると思う。久保田君は醸造に詳しいと話を聞いている。今しばらくは原料調達の関係で難しいが、醸造関連は様々な可能性を持っている分野だと思っている。いずれ君には力を借りることが出来るかと考えている。何か困りごとがあったら小さいことでも気にせず俺に相談してくれ。となかくぼちぼち、おきばりさん。」

久保田君は俺の言葉に目を丸くしてた。

 あとで目力お嬢から

「代表、久保田君はもやしのようでしたけど栄養はありそうでしたね。」

「お嬢はどんな人物評価なんや。まったく。彼はなかなか優秀だと五陵君から聞いている。これからは醸造だけでなく発酵の分野も大変裾野の広い発展が期待できる。経営面の助手を付けて場所さえ用意できれば、彼もそれなりの成果を上げるだけの能力があると見てる。」

「へぇ~。代表は人相も見るのか。記憶しとこ。」とお嬢つぶやく。

 大田村商事は毎日精力的に業務をこなしていた。食糧生産は漁業海産物の増加とその加工を冬場の主業とし、雪がほとんど積もらない山林の特性を生かして、伐採原木のロープウェイを作らせている。材木の需要は日本全土が広範囲に焼き払われてしまい、建設需要は今後もうなぎ上りである。ところが材木の供給は食糧調達とインフレに振り回されて一向に増えて来ない。それによって材木価格は上昇の一途をたどることになっている。大田村商事は原木の確保と材木にする為の乾燥を進め機動的に材木供給できるような体制を取ることにした。それを踏まえて農業人口が余る冬季に一気に山林ロープウェイを作って基盤整備することになったのだ。

 建物補強工事で基礎力を育てて来た新米の大工見習も徐々に腕を磨いてきた。この人員が育ってくれば、莫大な需要をこなすことの出来る集団がやがて誕生する。今後、しばらくは大工の黄金時代が到来することは彼らの殆どまだ気付いていない。

 衣食住を制する者が大飛躍をする時代なのだ。最初に拡大するための基盤と人的資源の養成方法さえ確立しておけば、結果は自然とついて来る時代であった。

 椎茸の樹木栽培も和歌山に住む熊楠さんのお弟子さんに指導してもらいながら虎之助主導で子供たちの企業として立ち上げている。

商品として順調に出荷出来るまでには2,3年ほどかかるであろうがこう言った研究は子供たちは夏休みの自由研究のような感覚で行ってもらえば大成するのではないかと思っている。


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