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 ジョンソン神父は俺の言葉を聞いて、あれやこれや想像したようであったが、まだ付き合いの浅いお嬢に取っては腑に落ちないまま、俺を睨みつけるな!

とにかく、ジョンソン神父の祝福を受けて大田村に帰ることになった。

 帰りのトラック便においてお嬢からの粘り強い目力によって根負けした俺は、マックバーガー大将に提示した見解と施策を簡単に紹介する事になった。俺の政治的見解は以外にもお嬢にも良く同意できる内容であり、官僚に対する施策についてもよく考えているとのお褒めをいただいた。共産主義のことについてはほとんど知らず、簡単な仕組みの後に来る大きな代償が想像を超えるものであると理解した時、この仕組みは緊急の一時的処置として受け入れた場合、早期に解体する必要性がある事に全面的に同意したが、果たして権力のあるものがその様な結論が出せるだろうかとお嬢が危惧した事は歴史的妥当な見解であった。

 人間権力を持てば自分の欲を充足させることが多い。決まりがあってもさらに欲を充足させようとする。それが死ぬまで続いていく者がほとんどの人間である。反対出来る者を全て排除してしまえば、簡単に全能の独裁者になれてしまう制度が共産主義なのである。国民を大量に排除(虐殺とも言う)する独裁者は情報遮断の陰の中で何人も出て来る事が歴史的事実なのは知る事さえすれば容易に認識できる史実となっていく。(中国では大躍進1600万人~5500万人が餓死または虐殺、カンボジアではキリングフィールド、国民の1/4以上150~220万人が餓死・虐殺が有名*1)

 別に共産主義を誹謗するつもりはない。ただ、事実だけ。共産主義の遺伝子が国民に染まると共産主義を解体した後でも軍事独裁主義になりやすい事を歴史的認識してもらえば十分。日本人はそういったことをほとんど知らされてこなかった事実。横道に逸れた。

 昭和21年は混迷の時代の入り口であった。統制と配給の制度に慣れた国民と統制と配給のうまみを知った施政者と一部の上級国民が敗戦の混乱による機能不全に見舞われ、

20年12月の白米10キロが6円であったものが

21年3月に19円50銭、

21年11月には36円35銭

約一年で6倍に値上がりした年でもあった。

 到底納得できない価格の価値観が破壊されるようなことであるが、昭和21年の銀行員の初任給が月額80円であった時期に大根1本の値段が11月には8~10円したという当時の新聞記事を見て頭が理解を拒否したことであった。普通に考えれば1円が1000円位かな、それにしても賃金安過ぎ!そんな時に大根1本が8000円~10000円もするの? 理解不能の世界だった。


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