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ゆうに100人は収容できる大会議室にはぎっしりの村内の有力者ばかりではなく近隣の有力者までが顔を揃えて主催者である俺や報告担当者、村長を待ち構えていた。誰もが敗戦とそれに伴う日本全土のアメリカ進駐軍の占領という異常事態によって今後どのような世の中になっていくのかを知りたがっていた。
貴賓席には孫の顔を見るような雰囲気の太田の爺さんがいた。そう太田の爺さんが俺の行動を全て一任してくれたからこそ、今までは何の障害もなく一気に事を推し進めることが出来たのであった。
この時代の表現を借りるなら「足を向けて寝られない。」という状態か。
会議は村長からのあいさつで始まり、村の事業として外郭団体を設立して各種の事業を立ち上げることに至った経緯と今後の世の中の動きを流れに沿って予想していく話となった。
外郭団体の事業規模は集まった有力者たちの予想を遥かに超えるものになっていたため会場はどよめきが広がった。それは村全体の人口の1/4を超える1000人以上の人間が関わっていることが報告されたからだ。これは働き口ではなかった主婦や女子、戦争帰還者や満州、中国など他地域へ移住していた大田村の縁故者が一時的か永続的に大田村へ住み着くことになった配慮から積極的に仮雇用の施策を通じて、安心して暮らしていけるよう生活環境を整える事業展開を幅広く推し進めた結果としての数字であった。が、無理をする訳でもなく利益も順調に計上できている事実が皆には信じられないことであった。
村からの財政的持ち出しは一切発生してないことが告げられたからだ。
最もこれには裏がある。この時代で一番重要な物資である食についての必要量を早い段階で確保している事が大きな要因であるためだ。
日々インフレが実感され人々の賃金以上に物資の値上がりが大きい状態が続いており、いち早く物資を確保することが出来れば、どんな無能であっても利益が出せる世の中になっていることが大きな原因である。
さらにこの企業の頭脳は俺が担当している。未来を正確に予想できる人間は想像以上に混乱の時代には強い。正しい道を愚直に積み上げていくだけで道は驚くほど開けていく。
但し、外部からの強い横やりを考えて、強力な援軍は必要であるが。いずれ世の中が少し落ち着いて来ると敵はやって来るだろう。




