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 堺基地のラスカル少尉からクリスマスまでにアメリカの教会から孤児達への古着と小麦粉が送られてくると言う連絡があったのだ。

 ジョンソン神父と新聞記者のリックは良い仕事してくれる。その話を聞いた後でジョンソン神父にお礼を言ったときに、親指を立てウィンクしながら

「大事な神様の導きだぜ、プレゼント位しなきゃいかんだろ。」

そう言いって

「孤児救済プログラムは教会のトップに話してある。ありゃあ中々の仕組みだから、大いに興味を持たれている。子供には罪はない。いい知らせを待ってろ。」と自信満々で俺に披露した。

 リックも「写真がいい仕事してくれた。」大阪の一面の瓦礫と焼け野原、煤けた戦災孤児達。それと宿舎前に清潔な古着を着た風呂に入った後の戦災孤児と真ん中にいるジョンソン神父。

 人間目に見えるものには弱い。それ以上に支援が無駄にならないことに動機を見出す者は多い。

ジョンソン神父、リック。グッジョブ!

 昭和20年12月も残り後わずかとなって、進駐軍の堺基地にアメリカ本国から届けられたたくさんの子供服と毛布や食糧、小麦粉、とうもろこしなどが関心の高さを表していた。

 ジョンソン神父からは来年中に戦争孤児たちに対する寄付を取りまとめて基金として運用できる規模に出来るであろうことと育英基金に予想以上の反響があることを聞かされた。やはり、篠原美鈴に対する問い合わせが多いそうだ。

 写真で紹介された教育育英者たち。その中での篠原美鈴は寂しさや悲しみを乗り越えようとする精一杯の背伸びした笑顔が白黒の写真から心に訴えかけてくるものがあるのだ。つくづく、美人は得だねぇと小学生相手に苦笑いしか出て来ない。リック、グッジョブ!

 とにかく当面は村や村人に対しても戦災孤児たちは堂々と生きていける後ろ盾ができた。アメリカの子供の古着だがこの時代の日本の子供服よりも余程上等で、村人の子供より逆格差のようになってしまうため、大喜びしたものの晴れ着として皆取っておくような結果になってしまったことは残念。だが、子供たちの瞳に希望の灯が灯った様で戦後ようやくキラキラと輝いたことは嬉しい限りだ。


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