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 しかし、昭和20年の年末になってミッチェル堺基地司令から呼び出されたことは思わず何か不祥事があったのかと思って、少しビビることになった。確かにこれまでに堺基地を通して鶏の増産の為のトウモロコシの輸入をお願いした件、戦災孤児に対する育英資金制度や援助資金の募集、美術品の鑑定及びオークションの為の輸送など色々とお願いしていたことは確かであるが、基地司令官に呼び出されるようなことは無いとは思っていたのだが。

 当日堺基地で俺を待ち受けていたのは、にこやかなベーカー大尉とバツの悪そうな顔をしたラスカル少尉であった。

 その様子を見て何故呼ばれたか直ぐに想像できた。案の定司令官室で司令官であるミッチェル准将から真向いのソファに掛けるよう促されて、掛けた後に

「先日、実に興味深い話が流れてきました。その話の元であるベーカー大尉とラスカル少尉にシミズさんの話を聞いた。何やら色々深いご意見がありそうですな。私が出会った日本人の中ではシミズさんはとても変わっている。私はあなたの考えに大変興味があります。」とミッチェル准将。

「ここだけの話としてお約束いただけるのなら率直な意見を述べさせてもらいます。どうですか?」と俺が言うと、

「あなたにも色々と事情があるのですね。分かりました、ここだけの話としてお約束しますから率直な意見を私にお話しいただけますかな。」

と言ってミッチェル准将は副官とベーカー大尉、ラスカル少尉らにも適当な椅子に腰を掛けるように手で指示した。

「全ての国には仮想敵国というものが存在しています。今のアメリカにとってはソビエト以外にない。ソビエトは長く苦しい血の犠牲によるヨーロッパ戦線の戦勝の代償として東ヨーロッパの支配を確立した。ところがアジアにおいては何の苦労もなく満州、樺太、北方四島まで支配することが出来た。現在ソビエトで絶対の独裁を確立させたスタルヒンにとっては中国、朝鮮まで苦労なく手に入る気持ちが湧き上がっても不思議ではない。一方スタルヒンは臆病で小心な所もあり、新型爆弾を持たないままアメリカとは決して表で争おうとは思っていない。とすれば、地続きの中国共産党を隠れ蓑として、武器供与や軍事訓練の手助け、資金及び食糧援助などを通して社会主義の傀儡政権樹立を目指すことになる。アメリカは蒋介石の国民党政権を支持しているが、そもそも軍閥政権であり、政治そのものが腐敗もしている。

 アメリカとしても泥沼の内戦に干渉するつもりはない。結果的に中国は諸葛西による共産党の皆で作り、誰もが全てを公平に与えられるという言葉により民衆の選択は満州の清に替わり漢民族による共産主義国家として生まれ変わる流れになるでしょう。


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