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目録には品名と出展者、作者、おおよその制作年、参考鑑定評価額などが記載されいてた。
「美術館向けと個人向けを50点づつ合計100点にして、送りたいので選定と英文解説もお願いします。参考評価額は現在の1ドル15円を評価額として下さい。12月中には話を通したいので、なるべく早くお願いします。
後、出展者に対しては手付としての食料品の配布させていただきます。出来れば最初だけ案内いただけるとありがたいです。大田村輸送部門を五陵銀行船場支店まで送ります。」
「分かりました。英文解説は早急に準備します。出展者の皆様も対価として食糧が支払われる契約であるところが一番喜ばれていますので、問題が起こらないようにうちの行員を案内係として用意しておきます。」さらに微妙な表情をしながら五陵は、
「それからお求めになっていた女性に思わぬ人物が名乗りを上げてきました。南園寺 香奈子女子という逸材です。彼女は名門南園寺家のじゃじゃ馬娘と言われていますが、我関せずと周りの騒音を一切気にしない剛毅な性格をしています。全く男に生まれなかったことが惜しまれる人物として評価する人は多いです。ただ、周りでは嫁さんにしたくない人物と言われ、本人も全く嫁という不自由な身分になる気などないと断言しており、父親も本人に任せるとか。
頭も切れるし、経済の事もなかなか通じている。英語も堪能で男であったら外務官僚としてやっていけるだけの能力があると思います。
たまたま仕事の会食の席で彼女と出会ったので近況報告と清水さんの話が出たところ、えらい食いついてきて紹介しろと詰め寄られまして、能力的には問題ないので近日中にご紹介にあがります。」
「ありがとうございます。なかなか面白そうな人物を紹介いただけるみたいですね。」
「それは面白い人物です。但し人によってかもしれませんが。
ところで話は変わるのですが、アメリカ兵と親しい清水さんから見るとアメリカ人は日本の事をどう思っているか分かりますか?」
「今から私の言う事を五陵さんの胸の中だけに留めておけると約束いただけるなら特別にお話してもいいですが。」
「やっぱり、清水さんは普通じゃない。この場の話は私の胸の中に仕舞っておくことをお約束します。」と五陵。




