魔法 4
少し短めです。
いつも呼んでくださっている方々、本当にありがとうございます!
昨日の夜遅くまで二人は魔力を動かそうと努力していた。
大体、深夜の2時ほどまでやっていた気がする。
その努力の末、魔力を動かせるようになったのだ。
そして、今日はいよいよ本題に入る。
「じゃあ、今日は魔法を実際にやってみましょう。」
朝食と昼食を済ませ、ここ数日仕事に行っていなかったロベルトが用事を片付けに屋敷を後にして。
アフタヌーンティの時間帯に私は二人を連れて中庭にいた。
「まずは、陣の展開からね。」
私は紙に初級魔法の陣を描く。
その神を二人に見せた。
「これを作ってみて。」
今私は、中々の無茶振りをしている。
魔法を動かすことだけを習得しても、それを操れるようになるには平均で三ヶ月はかかる。
早くても一週間はいるのだ。
けれどこの子達はその記録を凌駕する。
そう、確信していた。
「できました。」
地面には、あの水晶と同じような黒い文字が浮かび上がっていた。
「…ええ。バッチリよ。」
正確かつ精密に。
魔法を発動するにおいてそれは暗黙の了解に近かった。
少しの間違いで、人が死ぬのだ。
彼らは、きっとそれをわかっている。
紙を何度も見つめ、操り、描いた。
それがどれだけ讃えられることか。
それがどれだけ、素晴らしいことか。
「じゃあ、次はそれに魔力を流し込んでみて。」
私も陣を展開し、それに魔力を流し込む。
白く浮かび上がった文字が淡く光り始めた。
ふっと力が抜ける。
それと同時に、空中に水が浮かんだ。
「でき、た。」
二人の目の前にも、小さな水が浮かんでいた。
小さな水の球はふよふよとクラゲのように揺蕩っている。
「成功よ。おめでとう。」
私はそっと二人を抱きしめた。
よかった。
空は青く、どこまでも澄んでいた。
***
「父上、これは一体…」
呆然と呟いた男性は書類を片手に驚愕していた。
「ああ、予想外だ。なぜこうもまた、陛下は厄介ごとを持ち込むんだっ…!」
男性の目の前に座るもう一人の男はダン、と机に拳を打ちつけた。
(これはまた…とんでもないものを掘り出したな。)
男性はそう思いながらも、口角が持ち上がっていた。
それは獲物を見定めた獣の眼光によく似ていた。
青みがかった黒髪が揺れる。
深海のような深い青は細まり、綺麗な長い指は口元を覆っている。
しかしその裏には蛇のような危険かつ逃れることのない思考が渦巻いているのに周りは気づかない。
それでありながら、男性の頭の中では確実に作戦が練られている。
逃すまいと。
この性質を取り入れれば、国は大きく傾く。
戦をも起こすそれは、確実に、この国の戦力となる。
ああ、このようにして時代は目まぐるしく変わり、歴史は刻まれてゆくのだ。
(帰ったら、報告しないとね。)
帝国の皇女に。
美しい、僕のお姫様に。
「父上、私は少し用ができましたので、これで失礼致します。」
「え?あっ。おい!」
男性はその作戦のために、部屋を後にした。
後ろで声を上げる父を無視して。
***




