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カナリアさんの秘密のお部屋  作者: クロ
第四章 開拓
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勉強

「さあ!アラン、ロアナ。一緒に勉強をしましょう!」


ロベルトはあの後、すぐに出かけた。

陛下と相談することがあるらしい。

と言う訳で私は、手が空いているうちに二人に勉強を教えることにした。


茶色の机に紙を出す。

そこから一文字ずつ字を書いて、二人に見せる。


「これが、"あ"の発音の文字よ。

この文字たちを組み合わせて、文章を作るの。

まずは、字を書けるようにしましょう。」


一枚の紙にそれぞれの文字を書いていく。

あ〜んまでの五十個の文字を書き終わる。

羽ペンを置いて、二人に同じものを持たせた。


「羽ペンはね、こうやって持つのよ。」


アランの手に触れて持ち方を教える。

ロアナにも同じことをしたら、二人に紙を渡した。

私の書いた手本の紙を挟むようにして座り、ペンにインクをつける。

見た目は大人でも、中身は子供。

真っ白な紙に、黒色の線が引かれる。

所々引っかかったり、インクが多すぎて滲んだりしてしまっているが、書いていくうちにどんどん上手くなっていった。

難しい文字は、手を添えて一緒に書いたり。

気づけば、二時間ほど経っていた。


***


温かい紅茶を飲む。

ほんのり果実の香りがする、いい紅茶だ。


昼間の温かい日差しが二人を照らしている。

まだ書き続けているのだ。

あれから二人は文字を全て覚えた。

今では自分で文章を書けるようになっている。

飲み込みが早い。

知識を吸収して、どんどん応用していく。

木が水分を吸収して、葉を繁らせ、成長し、実を実らす。

それは、可能性の塊。


図書館とか、知識の宝庫のようなところに連れていったら、この子達はどんな発見をして、どんな可能性を世に示すことができるのだろう?

見てみたい。


二人の文字は、二人とも違う。

アランは流れるような文字を書くけれど、ロアナは可愛らしい字を書く。

個性あふれるそれは、二人の性格の鏡とも言える。


字を書くのが好きなのかな?

二人とも夢中で書いている。

でもそろそろ、他のことを教えないと。


「二人とも。次は計算をやってみる?」


二人が同時にパッと顔を上げる。

キラキラと輝く瞳は希望に満ちている気がした。

ああ、よかった。


「じゃあ、計算をしましょう!」


足したり、引いたり、かけたり、わったり。

四つの工程を理解することができれば、後はそれを組み合わせて複雑な計算をも解けるようになる。

本当に、驚くほどの見込みが早い。

スポンジみたい…

ああ、計算は抜かされてしまいそう。

私はそれほど計算が得意な訳ではないから、ロベルトが帰ってきたら、二人に教えられることが増えるかもしれない。

私もロベルトに聞いてみたいし。


「…完璧ね。…二人は魔法、使ってみたい?」


魔法をいう単語を聞いた瞬間に二人はさらに目が輝き出した。

二人に目を凝らすと、大量の魔力が循環している。

すごい魔力量。

ロベルトと私よりは少ないけれど、平均を余裕で超えてくる。


「わかった。まずは魔法用語と、魔法についてと、詠唱について説明するわね。」


私は一枚の紙を取り出す。

そこに魔法用語を書いていった。


「これは、魔法用語っていうの。最古の魔法使いが使っていた文字のことよ。魔法にはこの文字しか使えないから、一つ一つ丁寧に、間違いのないようにね。一つでも文字が違うと展開する魔法も変わってきてしまうから。」


先ほどと同じように一枚の紙に文字を書いていく。

見間違えないように、いつもより丁寧に書いた。


私は、魔法が得意。

あの森にあった魔導書を読んで、簡単なものは理解できた。

そして、この姿になってから私は変わったと思う。

外見もそうだけど、性格が少し変わった。

狭い世界しか見えていなかったからか、昔の私は幼い。

広い世界を見たら、捉え方も感覚も考え方も思考も変わった。

だから、第二皇女としての立ち振る舞いもわかってしまう。

魔法も何が書いてあるかわかる。

なんでこうなったのかはわからない。

いつ変わり始めたのかも。

けれどそのことに嫌悪感を持つことも、恐怖を持つこともなかった。

寧ろ、心地良い。

ゆっくり湯船に浸かった時のような、体の力が抜けていく感覚に似ている。


そんなことを考えている内に二人はもう魔法用語を習得したようだ。

よし。


「じゃあ、次は"魔法"というものの原理について話すわ。

まず、世界には五大元素、所謂『属性』と呼ばれるものがあるの。炎、水、風、土、光。この『属性』ごとに魔法が存在するわ。一般的には『炎魔法』とか、『水魔法』とかね。

宮廷魔法師様とか、魔法の世界の上位の方々は『ヘロ』、『セイ』とか、属性ごとにいる精霊王たちの名前を模った言葉を使ったりするわ。

次に、魔法の位について。

魔法は主に、初級、中級、上級、究極の四つに位が分けられているの。

言葉の通り、その位によって魔法の威力や規模が変わってくるわ。

上級魔法と呼ばれるものは、皇家の人間が使えて当然と言われるぐらいね。究極になると、それは国家戦力にもなり得るわ。さっき言った、宮廷魔法師様たちは究極を使える人もいるの。それでも、宮廷魔法師様全員、っていう訳ではないから二人は使えなくても問題ないからね。

()()()には魔法の最高峰に位置する人たちが使うものだから、逆に使えたらすごいわ。


そして、魔法展開について。

魔法を発動させるには、さっきの魔法用語を使って魔法陣を展開しないといけないの。

魔法用語には、なぜかはわかっていないけれど魔力が流れるようになっているわ。

魔力っていうのは、魔法を使うために欠かせないものね。簡単に言えばエネルギーみたいなものかしら。

そのエネルギーを魔法陣として展開したものに流せば魔法が発動できるの。

初級とかは魔力消費が少なくて、連発するにはもってこいね。

上級とかは魔力消費が激しいから、一回の発動でこの屋敷ぐらいは吹っ飛ぶわ。

まあ、位によって魔力の消費量が違うの。

位が下がれば下がるほど魔力消費は少ないし、上がれば上がるほど消費量は多くなっていくわ。

それと、魔力を使いすぎると魔法欠っていう症状に陥ってしまうから、気をつけてね。

具体的には、目眩、吐き気、下手すると死に至るわ。

それと、詠唱。

初級から中級は魔法陣を展開して魔法を流すだけで魔法が発動されるわ。

けれど、上級から究極は展開だけではなくて、『詠唱』も必要になってくるわ。

詠唱は、大陸に宿っていると言われる精霊に敬意を払って行われることなの。

まあ、上級魔法に関しては省略する場合もあるわね。究極になってくると必ず詠唱はしないといけないの。


これが、魔法の原理よ。」


紙に図を書いたり、絵を描きながら二人に説明する。

たくさん言ってしまったけれど、二人はちゃんと処理できているみたいだ。



「ここからは上級魔法より上…究極魔法に近いもののお話よ。

ロベルトが最も得意とする、『複合魔法』。

これは、二つの魔法を同時に展開して組み合わせ、爆発的な威力を持つ魔法のことよ。

これは上級魔法に分類されるのだけれど、特別魔力の多いロベルトがそれを行えば、究極魔法にも匹敵するわ。

それほど、危険なものなの。

戦場ではよく使われる魔法の一つね。

その威力でたくさんの人の命を奪っていくの。


複合魔法は二つの魔法を組み合わせるから、その分展開する魔法陣の構成も複雑になっていくわ。

特に異なる二つの属性…炎や水なんかはそれこそ対立する属性だから、一番複雑ね。

これが、複合魔法のお話。


次は、性質変化についてのお話よ。

さっきも言った通り、五大元素、炎、水、風、土、光。

このうちの二つは異なる性質にすることができるの。

それが、水と光よ。

水は氷に変えられることができるし、光は闇にすることができる。

そのためにはそれ専用の詠唱をしないといけない。

氷の精霊王と、闇の精霊王。

数多の精霊の中から生まれた二つの性質の精霊王に祈りを捧げ、手を貸してもらうの。

慣れれば詠唱なしで祈りを捧げることができるわ。


これが性質変化よ。


……わかったかしら?」



二人はこくりと頷く。

明日ぐらいに実際に魔力を感じるところからやってみようかしら。


「よし!すごいわ二人とも!」


わしゃわしゃと二人の頭を撫でる。

照れくさそうにはにかむ二人を見てほんわかしていたところに侍女のアイラさんが入ってきた。


「カナリア様。ロベルト様がお帰りになられました。」


「本当ですか!」


パッと顔を上げる。

ロベルトが帰ってきたのだ。

嬉しい!


「いきましょう、アラン、ロアナっ!」


私は二人の手を引いて玄関へと向かった。



今日も寒いですね〜!

温かい飲み物を飲んでホッとしている作者です!(笑)

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