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カナリアさんの秘密のお部屋  作者: クロ
第四章 開拓
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『幸福』

朝、朝食の席につけばあの子達は既にその場所に控えていた。


「おはよう。」


「「おはようございます。」」


綺麗な礼だ。

きっと、ここまで来るまで練習したんだろう。

ああ、本当に、この子達が来てくれてよかった。


席に着く。

温かな朝食が運ばれてきた。

ふわふわのパンと、温かいスープ。

寝起きには丁度いい温かさで、料理人の気遣いが伺える。


改めて、あの子達を見てみた。

黒のスーツを着た、青年。

上にあげた髪は彼の繊細な容姿を際立たせる。

烏の濡れ羽を彷彿とさせる髪は、とても美しい。

黒の短いスーツの上を着て、踝ほどの長さのスカートを纏った、少女。

綺麗な黒髪は、私が昨日結った形で一つに纏めていた。

すっと通った鼻筋に、涼しげな印象を持たせる目元。

二人とも右目の下に黒子がある。


うん。

やっぱり、この子達にはあの名前がいい。


食後の紅茶を飲み、一息ついた後。


「…こちらへいらっしゃい。」


そっと手招きする。

子供達はゆっくり近づいて、私の前に膝をついた。

主人を見下してはいけない。

よく、身についている。

昨日、屋敷の執事さんが教えてくださったのかな。


「貴方たちの名前…アランディーノと、ヴァロアナ。…どうかしら?」


二人の顔をしっかり見て言う。


「アラン、ディーノ。」


「ヴァロアナ……」


二人は呆然とする。

その名前を胸に刻んでいるのだろうか。

少しの逡巡の後、何かを噛み締めたかのような顔をすると、二人は柔らかく笑った。


「ええ。我らが姫様。この身が朽ち果てようとも、地の果てまでお供いたします。」


アランが答える。


「わたくしたちの姫様。誠心誠意仕えさせていただきます。」


今度はロアナが答える。


「よろしくね。私たちの『幸福』。貴方たちの未来に幸在らんことを。」


二人の頭をそっと撫でた。

サラサラと流れる髪が朝日に照らされる。

黒曜石から一筋の水が流れた。


***


数えきれないほど、人を殺した。

手が血で見えなくなっても、何も感じなかった。


この黒髪は、不吉の象徴。

人を殺し、傷つけた。

決して許される行為ではない。

そんなこと、百も承知だ。

『不吉』に、『幸福』と、この方は仰った。

ならば、この人だけが、僕たちを『幸福』と呼んでくださる限り、僕たちは『幸福』。

そうでないと、姫様が仰ったのならば……………そう言うことだ。

姫様が仰ったことは、僕たちの芯となる。


僕の名は、アランディーノ。

姫様の、『幸福』


血に塗れた世界の光は姫様。


地の果てまでもお供いたします。

死ねと言われれば死に、生きろと言われれば生きる。


我らが姫様。


僕たちの、光。


///



兄さんが人を殺して。

私も人を殺して。

虚な目の中には地獄が見えた。


そんな場所から引っ張り出してくれた。

人を傷つけて、殺して。

人として許されないことをした。

だから、姫様に尽くす。

姫様に、命をかける。

これは私の自己満足。

だから、気づかないように。

姫様だけは、傷つけたくないから。


私たちを導いてくれた。

私たちを明るい場所に引っ張り出してくれた。

呪いも解いてくれて、寄り添ってくれて。


『不吉』の私たちに、優しさを教えてくれた。

世界は明るいものだと、そう教えてくれた。


私はヴァロアナ。


姫様の『幸福』


その名に恥じぬよう、生きていこう。


我らが姫様。


私たちの、光。



***

本当は#最も憎いものは の前の話です…

なぜか抜けていた…まじか…

すみません!

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