断罪の時 5
ぱらぱらと疎らな色が上がる。
私はそれを見て、笑みが溢れた。
「さあ、審査員の皆様の結果を発表いたしますわ。
この会場には、計65名の審査員がいらっしゃいます。
そして、一番多く上がったものはー
ありませんわ。」
審査員達が互いの顔を見合わせる。
そう。上がった色は全て13枚。
それぞれが全員悪。
被害者は加害者であり、加害者は被害者である。
「さて陛下、審査員の皆様の意見はこの通りですわ。…ご判断を。」
"陛下"という単語が出た瞬間に貴族達は姿勢を正す。
誰もが、彼の方の判断を心待ちにしている。
まあ、その裁きを受ける当の本人たちは顔を真っ青にしているが。
「ー裁きを下す。カール男爵、及びその妻子は修道院行きとする。」
「なっ…!」
男爵が顔を青くする。
それは、その判決が気に食わないとでもいいたげだ。
「なぜです、陛下!私は、私は決して間違いなど犯して……
極めつけには、許しを得ていないのに言葉を発するではないか。
なんて無礼で、身の程知らずなのだろう。
「口を閉じなさい。陛下はあなたに口を開いていいなど一言もおっしゃっておりませんわ。」
ピリ、とあたりに緊張が走る。
それは誰の威圧か、もはや貴族たちには判断できない。
ただその場を支配するその空気が、恐ろしく思えるのだ。
「…罪人たちを牢へ。」
陛下が騎士に命じ、彼らは連れ去られていく。
あたりには静寂だけが残されていた。
黄金に輝くシャンデリアも、真っ赤な絨毯も、大理石の床も。
全ての時が止まったように感じた。
終わったのだ。
この1秒でさえ、疲労感が凄まじい。
「ぅ……」
カクン、と体から力が抜ける。
強張っていた体が解け、無意識に浅くなっていた息が再開された。
指先が冷たい。
どうやら、思っていたよりも心身共に負荷がかかっていたらしい。
…何かに縋りつきたい。
そう思った時。
「カナリア。」
隣で聞き慣れた声がして、私は身体全体を支えられていた。
縛り付けない、優しい支え方だ。
それでも安定感があって安心する。
この腕の中にいれば、大丈夫だと思える。
大好きな香りが、
大好きな温もりに包まれて、私は声を張っていった。
「…これにて、舞台は終了いたします。最後までご鑑賞くださった皆様、心より、感謝申し上げますわ!」
時が動き出す。
全ての人間が現実に引き戻され、視線がこちらに集まった。
「続く舞踏会を、お楽しみくださいませ!」
そんな周りに、私は笑いかける。
礼をとれば、歓声と拍手が起こった。
その中で、私は想う。
どうか、わかってね。
"人間"という、生き物を。
そんな"人間"は、美しいことを。
貴方のいる世界はこんなにも輝いて見える。
隣に立つ愛しい人のためならば。
なんて言葉を言えるのは、どんなに幸せなのか。
どうか、貴方とこの先も一緒にいられますように。
まだまだ夜は続く。
そのことを示すように、窓から星がちらついていた。
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