それぞれの本意
「…やってくれましたね、陛下。」
「さてはてなんのことやら。」
内心毒を吐きながら私は陛下を見る。
…やられた。
せめてあの子の披露の場は自分で作ってあげたかったのに。
陛下は、私が一番嫌がることをしてきた。
それを陛下はわかっていて行ったのだ。
「陛下。この作戦で失うものは大きいですよ。」
「わかっている。仕方があるまい。私とてこんなことになるとは思っていなかったのだ。」
ふう、と陛下はため息をつく。
長い廊下を二人で歩く。
月光だけが灯りとなる道はなんだかもの寂しい。
「あの家は今回の件だけではありませんよ。」
「わかっている。本当に、愚かなことをしたものだ。全く、うまく隠していたことよ。」
そう、あの家は隠すのがうまかった。
だから気づくのが遅れた。
民に、苦しい思いをさせてしまったのだ。
「どうするおつもりで?」
「そのことだ。ー
向こうの考えていることがわからない。
今回の加害者は、ある意味被害者だ。
そして今回の被害者は、ある意味加害者である。
一方的に悪と決めつけられないこれは、それほど単純な話ではない。
カナリアが腹を立てているのはそこだろう。
本当に愚かなことだ。
それに気づけない犯人も、まだまだ考えが足りない。
浅はかとはこのことかと、常々思う。
「ーということでどうだ。」
「それに関しては私一人の判断では決めかねます。父上に掛け合ってみてください。」
流石に、これは私一人の判断では決められない。
ブロード家の領地の問題なのだから。
「まあ、そうだよな。そうしよう。」
ぐるっと宮殿内を一周したので、カナリアのいる部屋へと帰ってきた。
「…最後に一つ、よろしいでしょうか。」
「うむ。言ってみろ。」
「やってくれたな、腹黒皇帝。」
昔のように吐き捨て、扉を開ける。
そこには愛しい人がいた。
後ろから何やら笑い声が聞こえるが、知ったことではない。
この世で一番、この世界で一番愛しく、大事なのは君なのだから。
少し短め。
ロベルト少年は、よく陛下に遊んでもらっていました。
ちょっと親子に見られるお二人、お互いに否定しているそうです。




