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カナリアさんの秘密のお部屋  作者: クロ
第三章 過去と贖罪
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おはよう。

ロベルトの腕の中で眠ったところまで覚えている。

それからー


ぱち、と目が覚めると、日は天辺まで昇っていて、眩しい。

ロベルトを探すと、近くの椅子で目を閉じていた。

魔力の波動が落ち着いているから、多分眠っているのだ。

私が不安にならないように、ずっとそばにいてくれたのだろうか。

それがすごく嬉しくて、思わず跳ね上がりそうになった。

ロベルトを起こすと悪いので、そっとベットから降りて、またまたそっと椅子を持ってくる。

それをロベルトの隣において、ベッドから掛け布団を持ってきて、一緒に包まる。

温かい体温がゆっくりと伝わってきた。

ロベルトの香りがする。

互いの息遣いがわかる距離までに近づいたのは初めてで、なんだかワクワクする。

穏やかで、優しい魔力。

私が好きな魔力。

ああ、なんて綺麗な人なんだろう。


温かい春の日差しが降り注ぐ部屋は心地いい。

それは春のせいなのか、それともあなたがいるからか。

人がそばにいるということは、なんて幸せなことなんだろう。

誰かが愛してくれるということは、なんて幸せなことなんだろう。

大切な人が生きていて、場所は違えど生きていて、この世界のどこかで暮らしている。

愛してくれる人がいて、愛されてくれる人がいる。

ほんのちょっとの幸せは、日々を支え、"私"を支えてくれる。

それを失ったら、どうなるんだろう?

"私"は、壊れてしまうのだろうか?

それとも、"私"でなくなってしまうのだろうか?

でもそれは、もしもの話。

その時はその時。

世界が、そう導いただけ。

人の運命なんて、簡単には変えられない。

そう言う造りなのだから。

狭い水槽の中で私たちは息をして、泳いでいる。

所詮、人間など神の玩具に過ぎないのかもしれない。

運命に泳がされる、哀れな魚なのかもしれない。

けれどそんな魚にも、抗う力はあるのだ。

決められた運命に抗い、否定して人々は成長する。

運命など、基準でしかない。

その基準を破るのが難しいだけ。

だから、簡単には変えられない。

抗うきっかけは様々で、十人十色だ。

それを、是と取るか否と取るか。

それは、自分で決めること。

人は醜くて、綺麗。

愛を求め、虚構の愛を作り出す。

でも、その愛は美しい。

だって、欲しい愛が詰まっているのだから。

それはなんて醜くて、なんて綺麗なんだろう。

運命という名の水の中で泳ぐ魚は、愛という糧を求め、愛し、愛され、抗い、流される。

愛とは、思ったよりも重くて、黒くて、綺麗なのかもしれない。

このこと全部を含めて愛と呼ぶのなら、愛はなんて重い言葉なのだろう。


「ん…」


もぞ、と隣が動いた。

じっと彼を見つめる。

瞼が震え、ゆっくりと瞳が見えた。

青い青い綺麗な瞳が、こちらを映している。


「おはよう。ロベルト。」


今日も生きていてくれてありがとう。

私をみてくれてありがとう。

その瞳に映れることが、何よりも嬉しい。

私も、生きているとわかるから。

私の愛を受け止めてくれてありがとう。

あなたの隣に入れる私は幸せ者ね。


「ああ。おはよう。カナリア。」


おはようは、生きているという報告なのかもしれない。

死者は言葉を発さない。

目覚めない。

だから、「おはよう」は、生きている印なのかもしれない。

貴方のその「おはよう」は、なんて尊いのだろうか。


ああ、今日も、私たちは生きている。

純粋無垢、綺麗とは言えないこの世界で。

少しばかりの幸せと、少しばかりの醜さが合わさるこの世界で。

愛し、愛されたいと願う人は、生きているのだ。


その中で、私たちは醜くもがき、抗って、光り輝く。

時時刻刻。

私たちは、流れ行く時間の中で生きている。

その時間は何にも変え難い人生の時間。

それを大切に生きていけたらいいと思った。


そして、その時間をあなたの隣で過ごせたらいいと思った。


カナリアに何やら変化が…

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