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カナリアさんの秘密のお部屋  作者: クロ
第三章 過去と贖罪
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皇帝と真実 1

銀髪と、左右で色の違う瞳。

それは、かつて存在した美しい一族の象徴だった。

けれど、それが遺伝する確率は低く、子を成し、産んだとしても、その美しさが絶対に受け継がれるわけではなかった。

そのためか、一族は滅多に見られることがなくなったという。

ある一説では、奴隷として売り払われたり、娼館で一生を過ごす人間がいたという。

そして、何百年か経ったとき、皇妃としてその一族の娘が皇族へと嫁いだ。

皇帝と妃の間には、娘が二人いた。

第一皇女であるアイリアーナ・リベ・アーレンス。

そして、第二皇女は…行方不明だった。

十数年前、皇妃と共に姿を消した。


第二皇女の名はー


***


「ロベルト。一つ、お願いがあるの。」

少し肌寒い春の朝。

ロベルトと一緒に朝食をとる、穏やかな時間。

目覚めてから一週間。

私は幸せな日々を送っていた。

「うん?何だい?」

食後の紅茶を飲んでいたロベルトが首を傾げる。

青い瞳が私を映した。


「皇帝陛下に、謁見を。」


彼に、彼の方に、伝えなければいけないことがある。

そして、真実を明かさなければ。

私の真実を。

世界で一番大切で、愛おしい貴方に。



ロベルトが陛下に謁見の申し出を出しに出かけた。

私はロベルトが帰ってきた時に気付けるようにバルコニーでお茶をしている。

温かい紅茶と、少しのお菓子。お菓子はロベルトが帰ってきたら一緒に食べるつもりだ。

ロベルトのお屋敷にあった図書室は立派で、そこから持ってきた本を読みながらロベルトの帰りを待つ。

私が今読んでいる本は淑女の在り方についての本だ。

私はロベルトと一緒にいたい。

ロベルトも、私と一緒にいたいと思ってくれている。

ならば、ロベルトの隣にたっても恥ずかしくないようにしないと。

ロベルトは貴族。

貴族は評判を大切にする。

これで私が何かヘマをしたら、迷惑がかかるのはロベルトの家だ。

他にも、政治や経済、他国のことについての本もいっぱい読んだ。

読み終わったら、紙にそれを書き出してまとめる。

今日は白いドレスだから、インクで袖を汚さないようにしないと。

まあ、それが最近の私の日課だ。


五冊ほど読み終わった頃だった。

遠くからロベルトの魔力を感じた。

バリバリと逆立っているそれは、威嚇している猛獣のようだった。

とてもとても遠い。

でも、ロベルトをそうさせている何らかの原因があると思うと、いてもたってもいられなかった。

「カナリア様!?」

体から魔力が漏れる。

バルコニーに手をかけて、私は2階から飛び降りた。

昔の私なら、こんな大胆な行動は取れなかった。

でも、今ならできる。

だって私はー


頬に当たる風を感じながら、魔法で馬を作り出す。

それにまたがって、空を駆ける。

私は帝都に向かって馬を走らせた。


///



「おかあさん!みて!めがみさまだよ!」

帝都で母親と手を繋いで歩いていた少年は、空に向かって指差した。

「え!?」

母親は驚き、子供の指さす方を見る。

周りにいた民たちも、空を見上げた。

そこには、確かに女神がいた。

半透明の馬に跨る女神は美しい。

白いドレスに長く、絹のような銀髪。

遠目でもわかる。あの美しさは、人間の領域ではない。


「女神様…」

「女神様よ!ああ、何とお美しい!」

「おお、神よ!」


人々は空を駆ける女神に向かって手を組む。

その祈りは、女神が皇帝陛下の住む宮殿に消えるまで続いたという。


人々が祈っていたことを、女神は知らない。


面白い、続きが気になる!と思ってくださった人は、ブックマーク等していただけると嬉しいです!

励みになりますので!(笑)

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