憎悪の暴走 3
「カナリア。」
「ロベルト。」
後ろからポンと肩を叩かれ、ようやくロベルトが後ろにいることに気づいた。
どうやらロベルトの気配にも気づけないほど考えに没頭していたらしい。
「皇帝陛下はなんと?」
「調査団を派遣してくださるそうだ。私がその指揮官に当たることになった。」
ということは、公爵家に調査を任せるということだ。
しかも、調査団まで派遣してくださる。これほど力強い援軍はないだろう。
それに、その選択が一番最良だ。
あの中で唯一意識を保っていたのも、現状を把握していたのも公爵家、ロベルトだ。
これで他の家に任せたらあらぬ事実をでっち上げられるかもしれない。
「そう。なら、安心ね。」
言葉の通り安心したら、どっと疲れた。
頭がふわふわして、視界がぼやける。
だんだん息が苦しくなってきた。
「…ぁ…っ……」
「カナリア?」
それに気づいたロベルトが私の顔色を窺うように跪く。
「う………」
返事をしようとしたら、ぐわ、と吐き気が襲ってきた。
「カナリア!大丈夫かい?」
遠くでロベルトの声がする。
声が近くなったり遠くなったり。
その声に気づいた騎士様たちの声も遠く聞こえる。
気持ち悪い。
さっき消費したばっかりの魔力が戻ってくる。
体の中でそれが暴れる。
空っぽ寸前だった容に急に水を注がれ、それが溢れる。
私の器が耐え切れるはずがなかった。
手足が冷たい。
心臓の音が嫌に大きく聞こえる。
いつもより早い鼓動は、魔力のせいか、それとも、恐怖か。
「…っロベ、ると……」
次に瞬いた時には、膝から崩れ落ちていた。
跪いていたロベルトが後少しのところで受け止めてくれたので、倒れることはなかった。
私はロベルトの肩にに寄りかかり、ロベルトの手は私の腰にまわっている。
手に触れたロベルトの背中がとても暖かく感じる。
いや、私が冷たすぎるのか。
「っ!」
私に触れたからか、ロベルトが息を呑む気配がしたような気がした。
多分、気づいたのだろう。
「カナリア。魔力、少しもらうよ。」
耳元で小さく呟かれる。
返事の代わりに、ロベルトの服を握った。
ロベルトが私をゆっくりと壁に寄り掛からせる。
私はそこで、すべての感覚を切った。
ロベルトに名前を呼ばれた時だけ、起きようと。
そう思いながら。
少し短め。
ここからまた間が開くかと思います。
今しばらくお待ちください!




